24日付Defense-Newsは、イランの革命防衛軍が同国の核濃縮施設が所在するナタンツ(Natanz)近傍上空で、同濃縮施設に接近しようとするイスラエルのステルス無人偵察機を撃墜したとするイラン側の発表を紹介しています
イランの核開発を巡っては、常任理事国+独とイランとの交渉が継続中で、これに対しイスラエルは繰り返し不満を表明してきましたが、撃墜が本当ならば、新たな火だねとなりそうです
24日付Defense-News記事によれば
●イラン革命防衛軍のwebサイト(sepahnews.com)は、イラン中央部にあるナタンツの核濃縮施設に接近するイスラエルのステルス無人偵察機をミサイルで撃墜したとの声明を掲載した
●声明は「シオニスト国家のスパイ無人機は我がミサイルで撃墜された。ステルス無人機はナタンツ核ゾーンに接近を試みていた」と指摘
●更に「この行動はシオニスト帝国による新たな冒険的行為を示すもので・・・・革命防衛軍等はこれに対処する権利を有する」と主張している
●24日、イスラエルの報道官はAFP通信に対し、「外国メディアの報道には言及しない」と答えている。
●一方でイスラエルは、イラン核施設に対する攻撃をししばしばほのめかしてきたところである
最近のイラン核開発を巡る動き
●イランとP5+1(常任理事国+独)の間で、イランへの経済制裁を一部緩和する一方で、イランの核活動の一部を6ヶ月間停止することで合意
●更に7月、この合意を更に4ヶ月間延長(11月24日まで)し、両者間で10年間に及ぶ緊張状態を解消する最終合意に向けての交渉を行うことに同意
●両者間の争点は、どの程度までのウラン濃縮をイランに認めるかにある
●米側はイラン核計画を75%削減するよう求めているが、イラン側はブシェール原子力発電所用に、2021年までに現在の10倍の濃縮を求めている
●イスラエルはイランが濃縮ウランで核爆弾を製造すると主張し、イランに核濃縮を継続させるような如何なる合意にも反対している。一方イランは核兵器獲得計画を否定している
イランが新型ミサイルと無人機を公表
●24日、イランはロウハニ大統領が出席した軍の式典で、射程300km程度の対艦ミサイル2種類と、偵察用の無人機2種類を発表
●同式典でイラン大統領は「イランの国防政策は防衛的である。しかし同時に、如何なる侵略行為にも断固として戦う」とTV演説で述べた
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イスラエルならステルス無人偵察機を内緒で保有していそうですが、様々な情報を発信するイランですので、真偽については何とも言えません
イランが米軍のRQ-170無人偵察機を捕獲したと「現物」を公開したことがありましたが、イスラエル無人機の「残骸」も展示されるかもしれません
イランとP5+1の交渉は、混乱の中東にあって「唯一の希望」であり、イラン原油の市場流入等の経済的影響も考えると、世界の安定に向けた「頼みの綱」でもあります
最近のイラクの混乱が、P5+1の立場にプラスかマイナスかは微妙でしょうが、イランにとっても地域の安定は望ましいでしょうから、11月24日期限の交渉の成果に期待したいと思います