ロビンソン米空軍参謀総長は実現せず
18日朝、カーター国防長官は、オバマ大統領が現太平洋空軍司令官(兼ねて太平洋軍航空戦力司令官JFACC)であるLori J. Robinson大将を次の北米コマンド司令官に推薦すると発表しました。
ロビンソン大将は、女性で初めて大将として戦闘部隊の司令官に就任した人物ですが、議会で承認されれば、これまた初めて地域担当の戦闘コマンド司令官に就任することになります
昨年の9月頃には、ロビンソン大将がダントツの次期空軍参謀総長候補だとの報道が出回り、複数の関係者が識見・人物両面から適任者だとの声を挙げ、パイロットでない女性米空軍トップ誕生という「驚天動地」ながら「画期的で素晴らしい」人事への期待が高まっていたのですが・・・
また、James空軍長官が強く押し、カーター国防長官の前例に囚われない人事方針からしても、同大将の空軍トップ就任は、米空軍の内外で硬いものと考えられていたのですが・・
残念ながら今年1月には、2012年6月に少将、2013年5月に中将、2014年10月に大将という「極超音速なみのスピード昇任」が経験不足では・・・との疑念を生み、米空軍参謀総長レースからは脱落との報道が出回りました
そして今回、その噂通りの「ご栄転」人事が提案されたわけです
18日付米国防省web記事によれば
●カーター国防長官は、「Politico」のジャーナリスト達によるインタビューの途中で、北米コマンド司令官と在韓米軍司令官候補者の発表を行い、オバマ大統領が両名を了承し、米上院に承認を求めることになると述べた
●北米コマンド司令官には、太平洋空軍司令官として地球の半分を担当地域とし、約46000名の兵士の指揮官であるロビンソン大将を推薦する
●ロビンソン大将は早期警戒管制機E-3やJSTARS:E-8でで900時間以上の任務に就き、現在はその多様で深い経験を元に、アジア太平洋地域という極めて困難な地域で空軍戦力を預かっている
●カーター長官は初めて地域戦闘コマンド司令官に女性を推薦することに関し、「米国防省や米軍には、極めてたくましい女性士官が多数存在し、任務に取り組んでいるのだ。彼女はそんな人材の一人だ」と語った
次の在韓米軍司令官にはあのBrooks大将
●現在の在韓米軍司令官スカパロッティー大将が欧州コマンド司令官(兼ねてNATO最高司令官)に推薦されたことを受け、カーター国防長官は次の在韓米軍司令官に、太平洋陸軍司令官Vincent K. Brooks陸軍大将を推薦した
なおBrooks大将は2003年のイラク戦争の際、中央軍の記者会見担当として、米陸軍最年少の准将ながら連日長時間の会見を「顔色一つ変えず」乗り切り、その能力の高さを内外に示した人物です
/////////////////////////////////////////////////
1月の「噂記事」によれば、今年秋にも交代予定の米空軍参謀長候補には、黒人の輸送機操縦者(KC-10やC-17)であるDarren McDew米輸送コマンド司令官、航空機の操縦経験が全く無い「非伝統的な」候補といわれるJohn Hyten空軍宇宙コマンド司令官、そして高齢がネックの「伝統的な」候補者で戦闘機パイロットの米空軍戦闘コマンド司令官Herbert Carlisle大将となります。
「噂の候補者3人」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-09
Carlisle大将は、ロビンソン大将の前任の太平洋空軍司令官として日本が大変お世話になった人物で、極めて異例ながら叙勲(旭日大受賞)を授与したぐらいの優れた人ですが、ホワイトハウスや国防長官が好まない「視野の狭い」戦闘機操縦者で、既に59才という年齢も引っかかる人が多いようです
ロビンソン大将の後任者候補の発表を待ちましょう!
ロビンソン大将関連の記事
「噂:北米コマンド司令官か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-09
「次の空軍トップ候補は?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-14
「驚嘆:女性大将が対中国の指揮を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-03