露最大の軍需企業CEOが米との関係など語る

Chemezov.jpg20日付Defense-Newsが、ロシア軍需産業の7割を担う巨大企業「Rostec」のCEOであるSergey Chemezov氏との独占インタビューを掲載し、米国とロシアの関係が注目される中、同社と中東やインドやイラン等との武器売却交渉の状況や、米国軍需産業との協力等について状況を紹介しています
インタビューはUAE開催中の兵器等見本市「IDEX in Abu Dhabi」会場付近で行われていますが、同CEOが2018年開始予定のUAEとの「第5世代軽戦闘機共同開発計画」を明らかにしており、米国と中東諸国との関係が微妙になりつつある中、中東との接近度を機を失せずアピールする「立ち回り」はさすがです。
Chemezov4.jpg折しも20日は、マティス国防長官が初の中東訪問の最初の国(2番目はイラク)としてUAEを訪問し、皇太子と会談していたタイミングであり、UAEと結託して共同開発話を披露したのでは・・・とまで感じさせる同CEOの同日の動きです
そして米国との関係に関する発言からは、微妙な表現で相手の反応を探るような言い振りが見られ、まだまだ米国とロシアの関係は、双方の探り合い状況にある雰囲気が感じられます
20日付Defense-News記事によれば
Chemezov3.jpgロシアは米国に次ぐ軍需装備輸出国で、1兆6千億円を超える利益を上げている。「Rostec」はそのロシア軍需産業の7割を傘下に置く巨大企業で、企業収入の7割を軍需装備品で上げている。ただ企業は民需の割合を高めて5分5分にしたい意向を持っているようである。
●20日、「Rostec」CEOのChemezov氏は「IDEX」での記者会見後にインタビューに応じ、会見で明らかにしたUAEとの「第5世代軽戦闘機共同開発計画:light combat fighter」の補足説明や、米国を含む他国とのビジネスの状況を語った
UAEとの「5世代機開発計画」は、協力関係の詳細を今後詰めていくことになるが、UAE政府かUAE企業との共同事業を2018年から7~8年かけて行う方向で、機体製造はUAEの要望に応えてUAE国内で行い、周辺諸国への需要にも応えたいと同CEOは語った
●同CEOは、従来米国が押さえていた市場に参入する自信を示し、競争力の高い価格と品質の組み合わせで、幾つかの分野で米国から市場を奪えるのとの自信を示した
●同社はインドとも5世代機の開発協力を発表したばかりで、インドの「第5世代先進medium combat aircraft」開発を支援する事が明らかになっている
Chemezov2.jpg●また同CEOは細部に触れなかったが、インドネシアにSu-35戦闘機を輸出する交渉が行われており、近いうちに契約が結ばれるだろうと語った
エジプトも同社と交渉中で、Mig-29戦闘機に関心を示している。エジプトと同社は、2014年に航空機、ミサイル、沿岸防御関連で約3800億円の契約を結んだ実績もある
●同社はイランに地対空ミサイルS-300を約1100億円で輸出したが、更なる装備品輸出の可能性も同CEOは示唆し、「我々は攻撃兵器をイランに輸入しない取り決めをしているが、防御兵器については対応可能である」と表現した
米国との関係については
●国防分野でのトランプ政権との協力強化に関する質問に対して同CEOは、トランプ大統領がビジネス好きで、ビジネス優先と発言していること等に触れつつ、「cautious optimism」を示した
Chemezov5.jpg●そして「トランプ大統領はビジネス界を代表しており、ビジネスとは経済的利益でアリ、経済的利害は政治を常に上回る」「結局のところ、経済関係が良ければ米露関係の改善に好影響があるだろう。それを望んでいるし、世界の政治環境にも自然と影響を与えるだろう」と述べた
●同社関連の事業についてはボーイングとエアバス社との関係に触れ、Rostec製のチタニウム合金を使用した航空機部品で協力関係が続いていることに言及しつつ、「民間航空機用に米国企業と共に開発した合金部品は、軍事装備品にも使用可能だから」と語った
●トランプ大統領のロシア軍需産業への姿勢についての質問に同CEOは、「どれくらい我々にフレンドリーか判らない。ロシアにまだ来ていないんだから」と語った
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フリン氏の辞任に伴い、20日にトランプ大統領が次の安全保障担当大統領補佐官候補に現役兵士であるH.R. McMaster陸軍中将を指名しました。同中将の肩書きは「Director of the Army Capabilities Integration Center」で、軍事戦略の専門家として名を馳せてきた人物らしいです。
trump-mcmaster-kellog.jpgMcMaster陸軍中将の指名を、上下院の軍事委員長であるマケイン議員やThornberry議員が諸手を挙げて歓迎する意向を直ちに発表するなど、いい人のようです。
臨時で現在安保担当補佐官を務めているKeith Kellogg退役陸軍中将が、NSCの「chief of staff」になるのは良いとしても、ネオコンで悪名高い「John Bolton」が何らかのポストに就くともトランプ氏が明らかにしており、気になるところです
写真は、左が「McMaster陸軍中将」、右が「Kellogg退役陸軍中将」です
いずれにしても、いつもラフな格好の「バノン氏」を含め、なかなかいい男のティラーソン国務長官や上記のメンバーがどのような対露姿勢を打ち出すのか、気になるところです。
対中国では「ビジネス重視」が明らかになりつつアリ、対露は対IS協力が焦点となりつつも、ロシアと中東やイランの関係も無視できない気がしますが・・・
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