中露担当の2名の次官補代理がコロナ情報戦の現状を
中国はコロナ責任転嫁を休戦し軍は協力姿勢に!?
9日、国防省報道官室主催でロシア・中国・欧州の地域担当国防次官補代理3名がTV討論を行い、コロナウイルスに関する中露による情報戦の状況を紹介し、ロシアが最も強烈で「手を洗っても効果がない」等の誤情報をばら撒くなど卑劣な一方で、中国は米国に責任転嫁しようとしたものの、その後は大人しく、むしろ米軍と協力する姿勢を見せつつあると語りました
中国の変わり身の早さや、日本を始め関係国に支援物資や人員を盛んに派遣していることについては吐き気が止まりませんが、ロシアよりは良いとの指摘は興味深く、反面で手段を選ばないロシアの冷酷さや非道さが浮き彫りになっているようです
日本では、お笑い芸人やアナウンサーが偉そうに立ち回り、好き勝手な見方を撒き散らしていて嘔吐しそうな気分の毎日ですが、彼らの姿に隠れて中露の状況が報道されていませんので、彼らの得意分野とする安価で手軽で影でコソコソ実行しやすいSNSや電子媒体を活用した情報戦の事例を学んでおきましょう
10日付Military.com記事によれば
●米国防省のCarla Gleason報道官が進行する形で、3名の地域担当次官補代理がコロナウイルスに関する中国やロシアの情報戦について語り、常日頃から中露が発している米国民を対象とした誤情報をモニターしているが、コロナとの戦いでも、根本的に中露の活動に違いは見られないと、その卑劣さを語った
●中国は一時、同ウイルスが米国から持ち込まれたとの情報流布に努めたが、ロシアは、それ以上にウイルスに関する誤情報を大量に撒き散らしており、米国の公衆衛生当局による努力を無効にし、米当局に対す不信感をあおろうとしている、と担当の各次官補は説明した。
●ロシア担当のLaura Cooper女史はロシアの行為を具体的に、「各国政府や保健当局が懸命に呼びかている感染防止策を混乱させて効力を弱め、世界の保健衛生状態を危機にさらす行動だ」と非難し、3月末に流布された「手洗いに効果はない」との複数の発信を指摘した
●そして1月初旬からその兆候が見られ、「複数のロシア政府系メディアが、米国の巨大製薬会社が自らの利益のために未知のウイルスの恐怖と噂を撒き散らし始めた」と説明し、米国の衛生当局の発する情報の信頼性低下を図るロシアの動きだと同女史は非難した
●更にロシアは3月中旬に入って、イタリアではコロナの大量感染は発生しておらず、普通のインフルエンザによる死者や患者が混同されて大げさな数字が報じられている等の誤情報まで複数のチャネルで発信していたとも説明した
●中国担当のChad Sbragia次官補代理は、中国政府がコロナウイルスを中国に持ち込んだのは米陸軍兵士で、ウイルス兵器だとの噂を流布させた件を指摘し、1月の段階から米国責任説を中国系メディアが発信していたと説明した
●ロシア担当次官補も、「ロシアやイランからも、米国が意図的にウイルスを流布させたとする米国起源説を、米国の一般大衆に流布している」と説明した
●ただし中国担当次官補は、「この中国の主張は、米中の軍事協力関係を対立構図に一変させてしまう極めて残念な言いがかりであり、我々は中国が誤った解釈を正すように意思疎通を図った」と経緯を説明し、結果として中国政府が態度を改めるのは早かったと振り返った
●そして「それ以来、中国側は彼らの主張から引き下がり、そのような権威主義的な主張やコメントを聞かなくなった」、「最近の中国外務省の声明では、ウイルスの起源に関する公式な立場を明確にせず、時間を掛けた科学界の分析にゆだねる、との立場になっている」と現状を説明した
●これら各国からの誤情報に対処するため、まず中露を含む全ての国に対し、誤情報を流布させることを止めるよう、またそのような組織を取り締まるように働きかけているとロシア担当次官補は述べた。
●一方で、これら膨大な全ての誤情報に対し、もぐら叩きのように対応することは不可能であり、このような誤情報に惑わされないよう、国民に正しい情報を伝えることに焦点を当てているとも説明した
●ロシア担当次官補はまた、「組織の透明性を大切にしている。多くのブリーフィングや資料の提供により、米国政府が一丸となって透明性高く活動状況を発信することに努めており、これこそが誤情報や情報戦に対処する最も重要な基本姿勢だと考えている」と述べた
●中国担当次官補も同様の意見だと述べ、「中国から発信される誤情報に振り回されて立ち止まるのではなく、我々が守ろうとしている世界システムの団結や力を打ち出して対応することが大事だ」と表現し、中国軍がコロナ対応で米軍との協力の方向に踏み出しつつあるとも述べた
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中国が「米国起源説」を早々に引っ込めたのであれば結構なことですが、米国も極めて厳しい状況にありますから、風向きを見て、「科学界」を巻き込んで「米国起源説」を大発信するかも知れませんねぇ。
それにしても、「透明性の確保」とか、「もぐら叩きでは対処できない」とか、「我々の社会システムの力」だとか、中露からの情報戦に米側担当部署が疲弊し、国内世論との板ばさみで呆然と立ちすくんでいるようにも聞こえます
このような危機に、卑劣な手段を遠慮なく繰り出す中国やロシアを断固として許すわけには行かないわけで、日本の出鱈目なタレントコメンテーターなどは無視し、より広い視点でどっしり構えていたいものです。
情報管理と情報戦
「海兵隊が艦艇にサイバーチームを」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-08
「ドキュメント誘導工作」を読む→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-22-1
「国防省5カ年計画を非公開要望」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-31
「ハイブリッド情報戦に備えて」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-05
「中国を欺瞞でだまそう」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-21
「対ロシア情報戦に国家として」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-03-24