データ共有や融合を支えるBACNとは

BACN2.jpg6日付Defense-Techは、中東の「とある国」に所在する非公開の米空軍戦力展開基地を訪問して取材し、対ISIS作戦を支える最前線で、RQ-4グローバルホークの一種が情報ネットワークのハブ(BACN)として極めて重要な役割を果たしている様子を報じています
朝食に卵と共に供されるベーコンと同じ発音のBACNは、「Battlefield Airborne Communication Node」の略で、RQ-4のBlock 20に通信中継機材を搭載した形態の「E-Q4」が、この役割をイラクやシリア上空でほぼ常時継続的に行っている模様です
BACN.jpgアフガンでは同様の任務を、 ビジネスジェットのE-11A Bombardierに機材を搭載して使用している模様で、対ISIS作戦同様に、欠かせない役割を担っているようです。
作戦運用にかかわることで詳細な記述はありませんが、「低高度を飛行する通信衛星のようなもの」と表現されるBACN機の様子をご紹介します
6日付Defense-Tech記事によれば
RQ-4 Misawa.jpg●BACN機材は、各種データを敵脅威が厳しい空域で作戦する操縦者たちに放送方式で提供することにより、「見通し線外:beyond-line-of-sight」での活動時に状況把握を向上させる意味で、操縦者たちの命綱となっている
●同基地に展開する第380展開航空団の司令官Charles Corcoran准将は、「BACN機材を搭載したグローバルホークが24時間体制でシリア上空に在空しており、我々の作戦を支えている」と語った
●BACNはNorthrop Grumman製で、(遠距離や見通し線外の)データリンク間の通信のギャップを埋める役割を果たし、同准将はこれを「低高度通信中継衛星」とか「個人用携帯電話通信中継タワー」と解説してくれた
●同戦域にはRQ-4・Block 20 にBACNを搭載したE-Q4が2~3機配属されており、データリンクの中継のほか「UHFやVHF無線通信の通信距離の延伸」を担っていると同准将は説明した
BACN3.jpg●Block 20にBACN機材を搭載したRQ-4は引っ張りだこで、米空軍は5月にBACN搭載グローバルホークE-Q4Bを追加発注する契約を約40億円で結んだところで、2018年5月には完成する模様である
●なお、RQ-4のBlock 30は、光電センサー、赤外線センサー、SAR(レーダー)、SIGINTセンサーを搭載し、 Block 40はSARとAESAレーダーを搭載し、対処に余裕のない移動目標情報を収集する。
●またRQ-4は2014年に、連続無給油で34.3時間の連続飛行記録を更新している
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敵の攻撃兵器の射程が伸び、我の航空アセットにより長い航続性能と兵器搭載量が求められる将来、更に衛星の脆弱性が叫ばれる今、BACNのような「プロが求める装備」がクローズアップされるのでしょう。
RQ-4 1.jpg日本もグローバルホークを「たらいまわし」にしていないで、こんな使用法も検討してはいかがですか?
 
でもだめか・・・そんな将来の作戦構想より、戦闘機数と飛行隊数をいかに死守するか、そのために如何に戦闘機数と飛行隊数の増加を、次期中期防で打ち出すかで頭がいっぱいでしょうから・・・
追伸・・・東京新聞半田記者の論考(http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-22)を紹介した際、「半田はBlock 30とBlock 40の機能役割が異なることを理解していない」とのご指摘がありましたので、上記で捕捉させていただきました
RQ-4グローバルホーク関連
「日本導入RQ-4の悲劇」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-22
「U-2偵察機は引退せず:RQ-4と共存へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-25
「RQ-4操縦者の7割が下士官に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-13-1
「RQ-4やMQ-9の将来方向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-06

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