パイロット手当欲しさに現場にしがみつく操縦者の育成へ!?
19日、開会した米空軍協会航空宇宙サイバー会議(ASC17)で、米空軍輸送コマンド司令官のCarlton Everhart大将が講演し、民間航空会社へのパイロットの流出が止まらず、深刻な操縦者不足に見舞われている対策として、「操縦だけしていればよいキャリアパス」を検討していると語りました
国費で養成された米空軍パイロットが、給料や待遇が良く、また危険が少ない仕事を求めて民間航空業界に流出することを防ぐため、米空軍はパイロット手当を増額し、飛行時間確保に奔走するなどの対策を採ってきましたが、皆が嫌がるスタッフ仕事を回避できるオプションまで繰り出してきました
司令部などの幕僚職は、前線部隊の運用を円滑にし、作戦計画を練り、将来に向けた施策や予算要求を練る重要な仕事で、ある程度前線で経験を積んだ操縦者が後輩操縦者のため、また国のためにやらねばならない仕事で、そこでの前線とは全く異なる経験で人間としての幅と視野を広げ、飛行部隊指揮官やよりハイレベルなポストにふさわしい人材となる必須の業務です
前線でずっと飛んでいたい・・・そんな気持ちを少なからず心に抱くのは人情でしょう。しかしそれは組織全体のニーズとは異なり、単なるわがままです。
そんなキャリアパスを、公に認めてまで、根拠の薄い航空機数や飛行隊数を維持したいのでしょうか? 本末転倒のような気がしてなりません
19日付米空軍協会web記事によれば
●Everhart司令官は最近、輸送コマンドの兵士たちに操縦者不足を解消するアイディアを募集し、700以上の提案が寄せられ、検討中だと語った
●そして背景にある操縦者不足を「国家的な危機だ」と表現し、戦闘機と輸送機の両方で不足しており、数千人の問題に対し複数の対策を行っていると語った
●その一環として、輸送コマンドは米空軍司令部に対し、幕僚ポストに就くことがない「飛行ポストだけのキャリアパス」を承認してもらえるように検討してもらっていると述べた
●「1900年当時から議論されてきた案だ」と表現しつつ、「俺は飛行任務だけに就きたい」との人材を引き留めたいとの意向を示した
●具体的に輸送コマンドが検討している経歴管理は、(飛行ポストだけに就きたいと申し出た操縦者には、)迷彩色の作戦機を操縦者させず、C-20、21、37などの白い機体の輸送機に搭乗させるか、操縦者養成の教官職のようなポスト配置を検討していると説明した
●同司令官は、あくまでの多数ある案の一つだと語ったが、「君が何気なくツイートする内容に気をつけなさい。それが君に跳ね返ってくるかもしれないから」と付け加えることも忘れなかった
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正式に決定されたことではないようですが、米空軍協会の航空宇宙会議は、米空軍の主要幹部や軍需産業の高級幹部、OBや軍事メディアや同盟国関係者が勢ぞろいする一大イベントですから、いい加減な案を公言するはずはありません
先日は空軍参謀総長のパイロット不足に対する最優先課題発言を紹介しましたが、パイロットが嫌った幕僚仕事を誰がやるのでしょうか? パイロット手当欲しさに必要な仕事を放棄する操縦者の代わりに、多忙な重責を担わされる非操縦者はどんな気持ちになるでしょうか?
パイロット不足狂騒曲の背後で、白けている非操縦者の姿を思い浮かべざるを得ません・・・
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