この空軍発表前の段階で既に最低14か月遅れ
2017年8月までに18機納入するのが当初計画
しかし今は、初号機完成が最速2018年10月
6日、米空軍がKC-46A空中給油機の開発状況について声明を発表し、現状で既に最低14か月の遅れとなっている同機開発について更なる遅れを認め、初号機の納入が2018年後半になると明らかにしました。
まぁ・・この結果は、昨年3月に米会計検査院GAOが指摘した問題と開発遅延予想を、1年後の今頃になって追認したような形になり、F-35開発で地に落ちている国防省や空軍の装備品開発への評価の「傷口」に塩を刷り込む結果となっています
KC-46AはB-767旅客機をベースに開発された空中給油機で、それなりに成熟された技術を活用することから開発リスクは低いと想定され、初めての「経費固定契約」(国側は開発経費超過分を負担しない契約)ケースとして注目を集めたプロジェクトで、F-35とB-21と並ぶ国防省3大プロジェクトと呼ばれ、179機を約5兆円で調達するプログラムです
しかし実際の開発過程では、機内配線のトラブルや給油配管の処理に誤った化学薬品を使用するなどのトラブルが相次ぎ、2017年9月には給油相手の機体に給油用の棒でひっかき傷を負わせる問題が発覚して試験が大幅に遅れています。
当初契約では最初の18機を納入する期限が2017年9月でしたが、その後2018年10月に延期され、今では早くても初号機1機の納入が2018年10月になっています。
その経費も当初計画は4400億円だったものの、現在では米空軍推定で1600億円超かの7000億円、ボーイング推定でも6500億円に膨らむ予想で、予算超過部分は全てボーイング負担が負担する契約となっています
8日付DODBuzz記事によれば
●7日、米空軍報道官は声明で、「米空軍とボーイング社は、引き続きボーイングの計画に基づき同空中給油機計画を遂行する」、「しかしながら、初号機の納入は2018年後半になるだろう」とし
●その理由として「把握しているリスク、航空局の飛行承認取得に必要な時間、予定より遅れている飛行試験の状況等々」を踏まえた結果だと説明しつつ、「空軍はボーイングと協力し、遅れの影響を最小限にするため努力していく」とした。ただ更なるコスト追加は無いともコメントしている
●2017年3月に米会計検査院GAOが、同機開発計画の遅れを調査に基づき指摘予想し、「2017年2月から9月の間に、月間平均1700もの試験評価ポイントを確認する必要がある計画になっているが、それ以前の約1年間の倍以上のペース設定になっており、とても達成可能とは考えられない」と分析していたところ
●当時米空軍とボーイングは、初号機の納入時期を14か月遅れの2018年2月と公言していたが、GAOは昨年3月のレポートで早くても2018年10月になると指摘していた
●米空軍は当初納入の18機に加え、2019年度予算案では追加で15機の購入予算を計上しているが、早くて2018年10月の納入であれば、米空軍の前線部隊に加わることができるのは2019年まで待つ必要がある。
●今後のKC-46A部隊建設計画等、具体的な計画や、60年以上使用されているKC-135空中給油機の更新時期がさらに遅れる模様であり、老朽化で維持費が高騰している旧式機体の運用は、米空軍の苦しい維持整備予算をさらに圧迫することになる
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お決まりのコメントで恐縮ですが・・・
このKC-46Aは日本も4機購入することを決定しており、ボーイングが被った超過開発経費負担が、まわりまわって日本の維持経費や部品費に上乗せされるのでは・・・・と東京の郊外より懸念している今日この頃です
米空軍の空中給油機ゴタゴタ
「ブームで相手にひっかき傷」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-02-1
「空中給油機の後継プランを見直しへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-22
「KC-46ブーム強度解決?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-15
「納期守れないと認める」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-01
「Boom強度に問題発覚」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-03
「予定経費を大幅超過」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-21