だからと言って、何か問題があるとは書いてませんが
2日付Defense-Newsが沖縄に駐留する嘉手納基地の米空軍F-15戦闘機部隊を訪問した取材記を掲載し、現場整備員チームのリーダーである軍曹の証言として、航空機整備員不足が問題なっている米空軍の中でも、嘉手納米空軍の整備員は米本土に比べて経験の浅い若手整備員が多いと紹介しています
まんぐーすの記憶では、米空軍の整備員不足の原因は、A-10攻撃機(約260機)を全廃して熟練整備員をF-35整備員転用しようとしていた計画が、中東でのA-10の活躍を知る議会の猛反対でとん挫したことにあります
米空軍は操縦者養成部隊の機体整備を民間企業に委託したり、整備員の養成数を増やして不足分を穴埋めしようと懸命に努力しており、同記事によれば整備員4000ポスト当たり200人の不足レベルにまで状況は改善したようです(昨年11月時点では3400名不足でしたが)
しかし、整備員の人数だけそろえても経験不足の整備員が多く、またある程度の技能を獲得すると民間航空会社に流出する問題もパイロットと同様に頭の痛い課題となっているようで、そんなしわ寄せが前線部隊にどんな影響を与えているのかを垣間見る興味深い記事ですので、断片的ながらご紹介します
2日付Defense-News記事によれば
●2月14日に嘉手納基地の第18戦闘航空団を訪問取材した我々は、54機のF-15戦闘機や15機のKC-135空中給油機を支える整備員チームの現場チーフであるJohnny Brown軍曹から話を聞くことができた
●米空軍は整備員不足を解消すべく整備員養成数を増やすため、アリゾナ州の砂漠地帯に野外保存されている機体まで活用しているところである
●F-15戦闘機をわずか1時間足らずで再発進させるため、忙しく機体の周りを動き回る整備員たち見守りながら同軍曹は、米空軍全体の問題である整備員不足と熟練整備員の流出問題に加え、嘉手納基地の地理的位置が特殊な状況を与えていると語った
●同軍曹によれば、米本土の基地であれば整備員は平均して4~5年はF-15の機体整備を継続して行い技量を高めるが、嘉手納基地に来る整備員の多くは経験の浅いうえに、任期2年で転属していくという
●そして同軍曹は、「必要な人数はそろっている。しかし我々は経験の浅い整備員を訓練しながら、任務に必要とされる機体を必要な時期に必要な数準備しなければならず、その両立が厳しい課題となっている」と語った
●また「我々は常に新人を受け入れ、送り出さなければならない」、「新人は悪くない学びの姿勢を備えているが、(米本土とは)異なった環境の中で、新人を効率的に彼らそれぞれに合った教育をする必要がある」とも表現している
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対ロシアで緊張感高まるバルト3国や東欧諸国正面と並び、対中国で緊張感高まる東シナ海ににらみを利かせる嘉手納の戦闘機部隊ですが、その内部事情は「水面下で必死に足をばたつかせて浮かんでいる」状態なのかもしれません・・・
米空軍部隊の海外実戦派遣の頻度や期間が高止まりし、家族持ちの整備員を極東の離れ小島に赴任させるのは厳しく、結果として経験は浅いながら、身軽な独身の兵士を送り込んでいるのかもしれませんねぇ・・・。興味深い現場レポートでした
米空軍整備員不足の苦悩
「整備員3400名が不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-11-1
「米空軍機の稼働率が異常低下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-02
「整備員不足対処案も苦悩続く」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-03
「F-35整備員確保の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-14
「A-10全廃は延期へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-22