米国防省がF-35の受け取り拒否

開発試験フライトが終了し、運用試験と評価フェーズに入ると発表した同じ週に・・・
2~3週間の交渉で解決とのみ見通しらしいですが
Winter2.jpg12日、米国防省のF-35計画室は、F-35製造段階での品質管理に問題があり、その問題への対処に関する費用負担の協議がLockheed側と終結していないことから、問題解決までF-35の受け取りを停止していると認めました。本件はロイターが最初に報じ、その報道を後追いでF-35計画室が認めた形です
11日には同じF-35計画室長が11年にも及ぶ開発試験飛行の最後のフライトが11日に終了し、今後は運用試験と評価フェーズに入ると成果を強調していたのですが、そんな時に「水をさす」受け取り停止問題が明らかになったタイミングの悪さです
機体受け取り停止につながった「F-35製造段階での品質管理問題」とは、機体の構造材をつなぐ際にドリルで穴をあける部分の腐食防止措置が不十分で、200機のF-35Aに対し当該部分への腐食防止の再塗装などが必要になった件で、その対処自体は難しくないようですが、経費負担をどうするかで国防省とロッキード間で話がついていないので受け取り停止らしいです
ロッキード側は2018年全体の機体製造機数と納入には問題ない程度の話だとコメントし、国防省も空軍も「大きな問題ではない」とのスタンスの様ですが、今後量産体制に入る前に、品質管理問題をロッキードに念押しする意図もあるようです
調達担当のEllen Lord国防次官は
Lord.jpg●問題自体は解決に向かっていると考えているが、この受け取り停止は、機体の品質管理に関するロッキード側のいい加減さに対する毅然とした国防省側の態度を示すものでもある
●F-35計画を推進しようとする中で、受容可能なレベルという点で我々も思慮深かったとは言えない状態だったが、この問題を契機に前進したいと考えている
●この腐食問題は、企業の製造レベルへの期待を明らかにする一つの事例である。現時点では国防省側が期待するレベルが達成されていると確認できない
●ロッキードのCEOとは毎月あって国防省の期待を話しているが、「今後製造される機体が、我々の期待するレベルを達成するとの信頼を確かなレベルにするプロセスの途上である」、「企業の全てのレベルと協議をつつけており、信頼を確実なものにしたい」
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F-35 fix.jpgまず、これから運用試験と評価(operational test and evaluation)に入るということです。この運用試験と評価は、なあなあ関係のロッキードとF-35計画室ではなく、国防省の機関ながら議会により設けられた独立系の性能評価局が関与することになると思います。
まだまだ開発と製造の同時進行は進み、まだまだ多くの問題が明らかになり、修理改修経費が膨らむことでしょう
そんな中にあって、左うちわのロッキードが「品質管理」で手抜きし、ますます費用がかさむ「負のスパイラル」です。
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