米議会が再度F-35酸素供給装置の調査指示へ

2017年頃からくすぶり続ける低酸素症問題
昨年10月のNASA報告書でも残る疑義に再調査要求へ
これまでに40件以上の異常発生報告があり・・・

F-35 Japan1.jpg7月28日、下院軍事委員会が2022年度予算関連法付属書案で、F-35酸素供給装置関連でパイロットに多数発生している低酸素症などの根本原因調査を国防省に求めていることが明らかになりました。同委員会所属議員の補佐官が記者団に明らかにしたものです

F-35操縦者に発生する低酸素症など生理学的異常事例(physiological episodes)は、2017年にF-35操縦者養成のメッカであるLuke空軍基地で問題になり、5件近くの事例報告があったことから約2週間飛行停止にして調査しましたが理由は判然とせず、海軍や海兵隊でも同様事象の発生が判明しましたが、当時は実質的にはそのまま飛行を再開し、後に酸素供給装置のソフト改修を行って今日に至っています

F-35 OBOGS.jpg本件に関しては、2021年度予算関連法でも調査が求められ、NASAが複数の操縦者への聞き取りとF-35地上試験結果を踏まえて2020年11月に報告書を出しましたが、3軍のF-35全てから40件以上の低酸素症のような体調不良発生がレポートされ、操縦者が搭乗時に呼吸回数を増やして機体に対応している様子や、一度酸素不足症状に襲われた操縦者が数日から数か月にもわたり呼吸器官全般に不調を訴えていることなど、「相当な懸念事項が見つかった」ようです

今回の調査指示案は、昨年11月発表のNASA報告を受け、更に調査を深堀する必要があると判断した下院軍事委員会の「Tactical Air and Land Forces小委員会」の要求で、法的な要求事項案になったとのことです

2日付Defense-News記事によれば
F-35 OBOGS3.jpg●再調査を求めた議員の補佐官は記者団に、「(国防省が本問題を自ら解明する姿勢を見せず、)議会が命ずる形になったことは不幸なことだと思う」と冒頭で述べ、議会が要求した包括的調査により本件の根本的な技術的原因が解明され、国防省がF-35に関する大規模で高価な機体改修を決定する前に、必要な改修策が確定され組み込まれる必要があると訴えた
●我々はF-35に適応するよう強制されているパイロットに成り代わり、酸素供給装置(OBOGS:onboard oxygen-generation system)が本来求められている基準を満たし、操縦者が機内での呼吸に負担を強いられることなく、本来の任務に集中でき環境を提供したいと同補佐官は語った

●同補佐官は、これまでに40件以上の生理学的異常がF-35操縦者からレポートされており、そのうち27件が米空軍用のF-35A型で発生していると述べ、
F-35 OBOGS2.jpg●中には2020年5月に発生した着陸失敗事故で機体が修理不能になったケースも含まれ、事故報告書が「労力を要するF-35での呼吸で、操縦者の認知能力が低下していたことも副因となった可能性あり」とされたことで、F-35酸素供給装置の問題に再び関心が集まっているとも説明した

●米空軍協会機関紙の調査によれば、2017年に9件確認された事象は、18年には4件、19年に3件、20年に5件と推移している
●今後この調査要求指示法案は、下院軍事委員会で審議され、了承されれば上院ともすり合わせて法案化が決定される
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2017年にLuke空軍基地で問題になり飛行再開した際は、「問題が発生した高度帯の飛行を極力避ける」「身体への影響を局限する地上での離陸前手順や地上訓練を追加する」「追加の予備酸素を機体に搭載する」「飛行中の身体データを記憶するセンサーを装着するオプションを提供する」との措置が取られています

F-22Hawaii.jpgF-22も似たような酸素供給装置トラブルを経験してリ、2005年運用開始の3年後から問題が確認され始め、7年後にやっと原因が酸素供給装置の欠陥バルブとフィルターだと特定され対策が打たれたとの経緯があります。

酸素精製装置のソフトが改修された後の現在でも、操縦者が「work too hard at breathing」な状態なら、何とかしてあげてほしいものです。F-35に問題があっても、操縦者に罪はなく、むしろ被害者ですから・・・。

労力を要するF-35内の呼吸による操縦者の認知能力低下も副因の一つの可能性と
「F-35着陸大事故の対策機体改修は秘密」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-24
鬼門のF-35酸素供給装置
「F-35で謎の低酸素症多発」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-06-11
F-22事案を振り返る
「最終的に飛行再開・原因特定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-25
「不沈F-35と低酸素F-22」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-09
「F-22再度飛行停止と再開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-24
「F-22操縦者に謎の症状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-31

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