中間選挙が終わるまでは静かに・・・か?
10月31日、ペンタゴンでマティス国防長官と韓国のJeong Kyeong-doo国防相の会談が行われ、今年春に実施されたKey Resolve演習以降中断されている「大規模な」米韓合同演習を2019年どうするかについて、今年12月1日までに決定すると会談後発表されました。
秋に予定されていたVigilant Ace演習が中止され、本当は山ほどトランプ大統領に文句を言いたい米国防省と米軍幹部だと思いますが、極めて政治的な背景のある演習中止であるため、いろいろ工夫すれば何とか能力維持はできる・・・とのスタンスで語っています
両国防相の会見の雰囲気からは、12月1日に来年も大規模演習中止し、代わりに●●や○○を実施し、能力や即応態勢を維持するとの発表がありそうな予感がしますが、とりあえずフォローいたします
10月31日付米空軍協会web記事によれば
●両国防相の会談後の発表は、Vigilant Ace演習を含むいくつかの重要な演習が中止され、来年の予定について関心が高まっていた中で行われた
●4月のKey Resolve演習以降の演習中止がなければ、年間大小合わせて30回以上行われてきた米韓合同演習の中止は、両国間の軍事同盟にとって大きな変化であるはずだ
●ただ両国防相は、全体として外交的努力と朝鮮半島の非核化に向けた取り組みが中心となっている中でも、即応体制の維持にコミットしていると繰り返し述べた。
●韓国国防相は、「最初に述べておくが、米韓合同演習は大小合わせて年中行われており、その一部が現在中止になっているに過ぎない」と強調した
●またマティス長官も、「両国はこの演習関連の課題に緊密に取り組んでいる」、「韓国国防相が述べたように、演習の一部が中断されているだけで、全ての共同演習を止めたわけではない。従って今の段階で戦闘能力の損失を懸念していることはない」と語った
●更に同長官は最近の大規模演習の中止を、外交的な交渉による事態進展を信じての一時的な措置であり、将来の状況によっては事態に適応する必要があると強調した
●韓国国防相は、「大規模演習中止の影響を緩和するため、即応態勢や能力の穴を作らないよう、「combined staff training」等を検討していると説明した
●Dunford統合参謀本部議長も、先週ペンタゴンで韓国参謀総長と会談し、以下の即応体制を維持するかを協議している。
●マティス長官は最後に、「両国は韓国民とその自由を守る事を真剣に考えてきた長い歴史を共有している。両国軍はプロ意識の高い人材の集団である。演習中止の影響を緩和する対策について耳にされたと思うが、アセスメントを通じ、可能だと考えている。スタッフ演習などで侵略抑止能力を失うことはないと確信している」と述べた
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個人的に思うのは、大規模な演習中止で損なわれるのは、将軍クラスの部隊運用能力と若手士官以下の現場力だと思います
中小の演習で鍛えられるのは中堅から大佐クラスの士官で、将軍クラスは中小演習ではやることが実質なく、演習計画に承認するだけで、将軍自身の能力向上にはつながりません
また大規模な米韓演習では、兵たん面での動きが大きく、不断日の当たらない戦闘職域以外の若手士官以下の兵士を含めた部隊全体が汗をかき、貴重な経験を積むことになります。
戦闘職域でも、大規模になればなるほど、相手と深く準備や協議を行う必要があり、両国間の特に前線若手士官や兵士が鍛えられます
Dunford議長など、先週の韓国軍トップとの会談の後、即応態勢を言いするのは容易ではないと漏らしており、米軍トップとして、在韓米軍の命を預かる軍人トップとして精一杯の反発でしょう。
大規模演習でない、何か有効なアイディアが出るでしょうか? 「combined staff training」の意味することろが謎ですが・・・
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