官僚機構の壁を破り迅速な前線配備を目指す
18日付米空軍協会web記事は、従来の調達や開発の枠組みに縛られず、迅速にプロトタイプ作成や装備調達を可能にする2016年制定の法律に基づき、米空軍が最初に取り組む9つのプロジェクトを紹介しています。
米空軍省の開発調達技術担当次官補であるWill Roper氏が引っ張るこれらプロジェクトですが、今後2-5年での前線投入を想定し、既存成熟技術の組み合わせで迅速に前線の要求にこたえることを目指し、一度に飛躍的な革新を狙わず、市場の技術を迅速に柔軟に取り入れ、柔軟なバージョンアップで最新の状態を維持する等のコンセプトを重んじる仕組みです
2019年度に取り組む9個のプロジェクトに関し、年度で3回進捗報告レポートを出すと自らに縛りをかけ、米軍や国防省の「悪名高い」鈍重で官僚的な調達プロセスのイメージを一新しようとの意気込みが感じられる進捗レポートの第一弾からご紹介です
18日付米空軍協会web記事によれば
●2018年12月にまとめられた第一回進捗レポートで米空軍協会が確認した、米空軍が最初にこの緊急調達枠組みで取り組む9個のプロジェクトは以下のとおりである
超超音速兵器関連
—Hypersonic Conventional Strike Weapon
—Air-Launched Rapid-Response Weapon missile-development efforts.
航空機関連
—B-52 engine replacement effort,
—F-22 upgrades,
—search for a light-attack aircraft.
サイバーやネットワーク関連
—Unified Platform for cyber operators
—fifth increment of the Integrated Strategic Planning and Analysis Network
宇宙関連
—Next-Generation Overhead Persistent Infrared
—Protected Tactical Enterprise Service programs.
●米空軍はこれらプロジェクト推進を加速するため、既に存在する知見を最大限活用する方針で、例えば超超音速兵器関連の「Air-Launched Rapid-Response Weapon」では、AFRL米空軍研究所とDARPAが知見(Tactical Boost Glide technology)を持ち寄り、ロケットでミサイルを加速する方式の最適化を追求し、より迅速な前線配備を目指す
●また「Hypersonic Conventional Strike Weapon」では、既に飛行試験が行われている「aeroshells from the Common Hypersonic Glide Vehicle」を活用してより迅速なEOC(early operational capability)を可能にする計画である
●F-22のアップグレードはソフトウェアが柱であるが、GPS、通信、核兵器、宇宙、サイバー等の関連で、一度に大きな進歩を狙って開発が遅延することをさえるため、小さな単位で何度もアップグレードを行う方式を狙っている
/////////////////////////////////////////////////
サイバー&ネットワーク関連や、宇宙関連については、どんなプロジェクトなのかさっぱりわかりませんが、今後話題になることもあるでしょうから、またその筋の方にはご承知の方もいらっしゃるでしょからご紹介しておきます。
それでも、サイバーや宇宙や超超音速兵器が「鍵」であることが伺えます・・・
Will Roper氏の関連記事
「維持費削減に新組織RSO」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-23
「ソフト調達が最大の課題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-01
「F-35維持費が大問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-20-1
「無人機の群れ第7世代」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-26
「無人機の群れに空軍はもっと真剣に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-30
「米海軍が103機の無人機群れ試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-10-1