再び米空軍がKC-46A受領停止:またデブリ

3月上旬に2週間以上停止してボーイングお灸をすえたのに
続々明らかになる現場作業員のいい加減な作業ぶり
KC-46 Boom.jpg2日、Wilson空軍長官が下院軍事委員会で、ボーイング社から引き渡しを受けたKC-46A空中給油機の機体や同社工場での受領検査などで、再び機内から作業用の工具や安全上問題となる金属片が見つかったことから、2度目の機体受領停止措置を取っていると証言しました
この受け取り拒否措置は2回目で、最初は2月末から2週間以上でしたが、その間に米空軍が求める改善措置をボーイングに徹底させたとして3月11日に受け取りを再開していたところでした
米空軍としては、早期に機体を受領して遅れている要員養成を加速し、早くKC-46を戦力化したいとの思いもあり、ボーイングの真剣な反省を期待して早期の受領再開に踏み来たのでしょうが、完全にボーイングから裏切られた形になりました
この問題の根本は、同機の設計や製造技術にあるのではなく、ボーイング社従業員のモラルや躾に起因する根深い問題であり、B-737MAX事故で急上昇中のボーイング製品への懸念をさらに増す結果となっています
2日付米空軍協会web記事によれば
KC-46 Boom4.jpg●Wilson空軍長官は下院軍事委員会のメンバーに対し、KC-46の閉じられた機内部位から更なるFOD(foreign object debris)が見つかったことから、ボーイング社からの機体受領を再び停止したことを認めた
●同長官は同委員会で、翼内部など閉じられた機内空間全ての検査を米空軍が行うなどの措置を実施中だと説明し、機体生産ラインがあるべき状態で稼働しているのかを確認するためだと語った
●また米空軍の報道官は、2度目の停止は3月24日から行われているが、FODや他の品質上の問題が次々と今週になっても明らかになっていると述べ、「米空軍はボーイングとあるべき高いレベルの品質と安全を達成すべく協議を続けている」としている
●また同報道官は具体的に、「ボーイングが問題解決のため考えている改善対策と計画を確認ししている」とも説明している
●同日午後、空軍長官は下院の別の委員会で、最近見つかったFODについて、封鎖された機内空間で工具であるレンチの放置が、また機体表面からアルミ片の残置等が確認されていると述べ、アルミ片について、機体内に入って大きな問題を引き起こす原因となると危機感をあらわにした
KC-46 Boom3.jpg●また機内密閉空間の検査結果について、密閉されていない機内空間の状況と比較するとまだ良かったが、期待されるレベルにはなかったと空軍長官は表現し、「これは製造現場の躾の問題であり、躾が崩壊している」とも述べた
ボーイング社はこの状態に関し、「ボーイングはFODがない機体の提供にコミットし、既に改善を進めているが、更に上を目指している」と報道官が述べ、「追加の機体点検体制を構築し、重要員教育訓練を強化し、FODの日を設けて意識改革を図り、清掃の徹底を習慣づける」としている
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ボーイングの状況は深刻です。
KC-46-2.jpgこれほど明確に複数のFOD問題が表面化するということは、製造現場が壊れている・・・と考えざるを得ません。2年以上の遅れを表面上で取り繕うと、現場にしわ寄せが押し付けられているのかもしれません
又は、どこかの日本の重工業のように、軍事部門から人をどんどん民生分野に転用しているのかもしれません
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