So-netの都合で、昨日からブログのURLが変更になっています。ご注意下さい!
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
以前ご紹介したHensoldt製のTwInvis
2018年4月末のベルリン航空ショーのF-35帰隊時に
なぜかF-35がデモ飛行しなかった同航空ショー
ドイツのHensoldt社が、自社製のTwInvisパッシブレーダーが2018年4月末のベルリン航空ショーに飛来した2機のステルス戦闘機F-35を約150㎞にわたって追尾したと明らかにした模様です
いつ、どのような形で同社がF-35のレーダー探知追尾を明らかにしたのか9月30日付C4ISRnet記事は明らかにしていませんが、関連の記事が軍事メディアで複数取り上げられていますのでご紹介します
なお同パッシブレーダーについては昨年11月に、世界が注目し、ドイツ軍が自ら試験をした後、導入する方向で進めていると以下の記事でご紹介したものです
「新型パッシブレーダーが大注目で独軍が試験へ」
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-17-1
復習:Hensoldt社製のTwInvisパッシブレーダーとは
●通常の航空機探知追尾用のレーダーは、自ら航空機の探知追尾に適した周波数の電波を発射し、目標航空機が反射する電波を探知して位置や飛行方向や速度を把握するが、このパッシブレーダーは、ラジオやTV局が発する放送用電波や携帯電話の通信電波などが目標航空機に反射したものを集めて探知追尾に活用する
●世のステルス機は、航空機探知用レーダーの周波数に対して、機体からの反射を局限する形状や表面塗装でステルス性を確保するが、他の周波数に対しては必ずしもステルス性を発揮するとは限らない
●また自ら電波を発射しないパッシブレーダーは、自分の存在や位置を対象航空機や敵に知られることがない点でも、利点がある
●一方で、ラジオやTV局が発する放送用電波や携帯電話の通信電波などを利用することから、目標航空機の位置特定の精度や分解能は低く、パッシブレーダーだけでミサイルなどを誘導することはできない。同レーダーの大まかな探知位置に赤外線ミサイルを発射したり、他のセンサーを指向してより正確な情報を得ることに活用可能
●また、ラジオやTV局など一般の電波が少ない地域では活用が難しい。(想像ですが、日本が東シナ海や日本海方面で同パッシブレーダーの原理を活用することは難しいかもしれません)
2018年4月のベルリン航空ショーでの探知状況
●同航空ショーは、ポーランドとの国境から70kmほどにあるSchönefeld Airportで行われ、ポーランドのFM放送局からの強力な放送電波も活用できたことからパッシブレーダーの機能発揮に貢献した
●米国は同航空ショーをドイツ並びに欧州への売り込みの重要イベントと位置づけ、米本土から過去同機最大の11時間もの移動時間をかけて2機のF-35を派遣したが、なぜか地上展示だけでデモ飛行を行わなかった。
●当時現場では、Hensoldt社製のTwInvisパッシブレーダーの展示がやデモが急きょ決まったため、これを警戒してF-35がデモ飛行を取りやめたとの噂でもちきりだった
●Hensoldt社は、F-35の帰路を狙ってTwInvisの能力を確認すべく、また米側に警戒されないよう、航空ショーの会場から機材を撤収したと見せかけ、会場から数キロ離れた「馬牧場(ポニー牧場)」に機材を移動させ、F-35の帰路離陸を待った
●管制塔とF-35編隊の無線交信から離陸を察知したHensoldt社関係者は、F-35が搭載の航空交通管制用トランスポンダーが発する信号と、TwInvisが探知する機体位置を照合しつつ、約150㎞に渡りF-35編隊を追尾した
●ちなみにF-35などステルス機は、航空交通路の移動の際、飛行安全を確保するためレーダー波反射装置(リフレクター: Luneburg lenses)を装着して通常のレーダーに探知されやすいようにするが、TwInvisは通常の航空機探知用レーダーと異なる周波数を活用するので、リフレクターの有無に探知能力は左右されないとHensoldt社関係者は説明している
●Hensoldt社がF-35の探知に成功したと明らかにしたことに関し、米国防省F-35計画室の報道官は「ノーコメント」と対応した
●このF-35探知を受け、仏独スペイン共同の6世代機開発プロジェクトにおいて、ステルス性追求の程度が変化したと言われている
//////////////////////////////////////////
物理学における電磁波の法則から理論的には可能と分かっていても、現実の世界での実現には様々な障害があった様ですが、データの処理技術やプロセッサーの進歩により、TwInvis開発が成功したとHensoldt社は説明しています
既にこの技術は中国に流れているのでしょうか。流れていると考えるのが自然でしょうねぇ・・・。
様々な制約があるパッシブレーダーですが、TwInvisを導入したと宣伝するだけで、ステルス機運用側は行動を制約されることになります。リスクは簡単に置かせませんから・・・
「新型パッシブレーダーが大注目で独軍が試験へ」
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-11-17-1
対ステルス関連の記事
「中国の対ステルスレーダー」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-24
「中国にステルス対処の受動レーダー出現」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-05
「E-2Dはステルス機が見える?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12
「ステルスVS電子戦機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「米イージス艦のIAMD進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09
「バイスタティック無人機で対処」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-26