次の国防長官候補を大統領別に
上院と下院の結果で軍事委員会委員長は・・
米空軍出身の空軍応援団議員の当落予想は
11月1日付米空軍協会 web 記事が、5日火曜日に行われる米国大統領選挙と上下院議員選挙の影響を「次の国防長官候補」や「上下院軍事委員長の予想」や「米空軍応援団議員の当落予想」や「米空軍出身者の当落予想」と絡めて主に米空軍への影響の視点で掲載していますので、余り突っ込んだ分析ではありませんが、「ハリスかトランプか?」だけの視点ではない、大統領&上下院選挙の見方として取り上げます
まんぐーすは、日本メディアによる吐き気を催すほどの「ハリス押し・トランプ下げ」にも関わらず、「ハリス押し」だった米メディアが次々と「にわか中立」を表明する様子や「掛け率」 等から、トランプの地滑り的勝利を予想しておりますが、こればかりは開票以降のお楽しみとして、記事を上記の視点でご紹介します
●次の国防長官は誰に?
・現在のオースティン国防長官(71歳)は、任期の4年間をがんと闘いながらの勤務で、交代は確実
・トランプ大統領誕生時は、複数メディアがTom Cotton(R-Ark)上院議員が最有力だと報じている。同議員は米空軍計画支持者であり、最近は現計画を超える 100機以上のB-21爆撃機を取得すべきだと主張している
・ハリス氏が勝利すれば、初の女性大統領が初の女性国防長官を任命すると予想されており、複数のメディアが有力候補として Christine Wormuth 現陸軍長官と、オバマ時代に政策担当国防次官だった Michelle Flournoy 女史を上げている。Flournoy 女史は4年前も最有力候補だったが、突然オースチン氏が指名された経緯がある。
・Wormuth 氏は陸軍長官ながら陸軍人との関係が良くないとの批判的意見があり、Flournoy 女史には軍需産業との関係が深すぎるとの見方もある
・ハリス大統領誕生時の「穴馬」としては、米空軍懐疑派の Adam Smith下院議員が挙げられている。同議員はF-35を痛烈に批判し続け、核兵器三本柱のICBM 不要論も展開しており、予算超過で大問題の次期ICBM計画 GBSDにも大反対の論陣を張っている人物である
・他の文民高官人事では、政権交代の有る無しにかかわらず、現在の政策実現のため留任を強<希望しているKendall空軍長官の処遇が注目されている。来年1月に76歳になる同長官だが、調達&開発担当国防次官経験や空軍長官としての働きぶりから能力を疑問視する声はなく、次の大統領や国防長官次第であろう
●上下院選挙の結果影響は?
・上院は、共和党が75%の確率で勝利して過半数を確保すると予想されており、その場合、国防政策決定に大きな影響力を持つ上院軍事委員会の委員長は民主党から共和党議員に代わる。その場合の委員長には、戦闘機を大幅増の340機規模にし、B-21次期爆撃機を空軍計画の2倍の200機導入を提唱しているRoger Wicker(R-Miss.)議員が就任することになる
・大統領が誰になろうと、予想が難しい下院の議会選挙結果(現在は共和党が多数派)が国防政策のカギを握ると考えられている。共和党が多数を維持すれば、宇宙軍創設の中心推進者である Mike Rogers(Ala.)委員長が留まるか、F-35に強い不満を示しているRoo Wittman(R-Va.)が委員長候補である
・仮に下院で民主党が多数を確保した場合、前述の米空軍懐疑派 Adam Smith 下院議員が国防長官にならない場合に限り、同議員が下院軍事委員長に就任することになる。スミス議員が国防長官就任の場合は、空軍退役軍人の Chrissy Houlahan (D-Pa.)議員が委員長になる可能性がある
●空軍大応援団:2名の共和党議員(共にネブラスカ州)は?
・Don Bacon 下院議員は空軍准将で、戦闘機部隊、特に空軍州兵の再編を推進し、また新長の採用と定着を促すため、下級兵士の大幅な給与引き上げを主張してきたが、世論調査では民主党候補に後れを取っている
・Deb Fischer 上院議員は上院軍事戦略部隊小委員会の委員長を務め、核兵器近代化の熱心な支持者だが、海軍の退役軍人で無所属で組織も資金力もない Dan Osborne 候補と接戦となっている
●退役軍人の上下院議員立候補状況と見通しは?
・上下院議員を現在務めている元空軍・予備役・州長兵士はわずか 2名だが、今回の選挙には 30名が立候補している
・メディア分析専門の Five Thirty Eight によれば、5日の選挙で米空軍出身議員が大幅に増加する予想となっており、30名の内、11名が当選確率99%で、3名も有利な選挙戦を進めている。逆に残り 16名には勝利の見通しはない。
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だからどうなんだ!・・・とのご指摘を受けそうですが、雑談の「小ネタ」にご活用言頂ければ幸いです
大統領選挙を受けての「政治任用」で、極めて特異な例として語り継がれているのが、大統領が共和党の2代目ブッシュから民主党のオバマに政権交代した2009年に、オバマに請われて留任したロバート・ゲーツ国防長官です。
特に、オバマ大統領が「Change:変革」を掲げて当選した初の黒人大統領であり、2代目ブッシュが始めたイラク戦争後の混乱が中東全域に拡大する中にあった当時、新しい国防長官を任命しての「人心一新」を誰もが予想していた中での留任が、大きな話題となりました
ロバート・ゲーツ国防長官について、ここで改めて語るつもりはありません。以下の過去記事 2本から、まんぐ一すがこのブログを始める契機ともなったゲーツ長官という人物を振り返ってみてください
「ロバート・ゲーツ語録 100選」→https://holylandtokyo.com/2022/03/26/2046/
「土官学校卒業式で語る」→https://holylandtokyo.com/2020/03/08/776/
【おまけのご参考】
米大統領選、投票日はなぜ火曜日? 11月にも理由が
→毎日新聞記事 https://mainichi.ip/articles/20241103/k00/00m/030/075000c