あくまでB-21製造企業CEOの皮算用ながら
開発順調でコストも想定内のB-21次期爆撃機
10月24日、コスト管理を含め現時点で極めて順調な開発状況にある次期爆撃機B-21を担う Northrop Grumman 社の CEO・Kathy Warden 女史が、四半期業績説明会見で投資家などステークホルダーに、米空軍の次期制空機NGAD がコスト高などで「計画一時停止&再検討」状態にあること等を踏まえ、米空軍が大きな戦力構造見直しの結果として、現在約100機と言われているB-21調達数を増やす可能性があると語りました
同CEOは、「米空軍は米議会に命ぜられた a force structure design review中で、また国防長官も戦力増強の多様な選択肢を検討していると公言しており、NGAD 再検討の流れでB-21も再検討されていることを我々は認識している。B-21の機数増は正に空軍が考える対象だと思っている」と同社の利害関係者に説明しています
背景には、NGAD再検討に関しKendall 空軍長官が、1機350-400億円と言われていたNGAD 価格に関し、F-35の120~150億円を超えないことが望ましいと9月に言及したことで、NGADを200-250 機導入すると仮定すると、この価格低減で数兆円が浮き、B-21導入機数増につながる可能性があるとの皮算用があるようです
もちろん物事は単純ではなく、例えばAllvin空軍参謀総長は4月にB-21導入機数に関し、「B- 21が 100機製造される頃には技術進歩で更に優れた機体が生まれる可能性があるため、100 機以上購入する予定はない」と明言し、空軍計画部長も3月に「機体数を増やす決定は 2030年代まで必要ない」と議会で証言しているところです
24日の発言の最後に同 CEOは「この戦力構成の見直し結論を現時点で示唆するのは時期尚早だろう」と述べつつ、「しかし今後数ヶ月で、米空軍が長期的にB-21 の機数をどう考えているかについて、より明確な示唆が得られるだろうと思う」と表現して本件への言及を締めています
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NG 社は、B-21爆撃機開発では順調ですが、次期ICBMの巨大プロジェクト GBSDでは渦中にあり、「空軍予算の2年分の 11兆円強のコスト超過」「少なく見積もって3年遅れ」との途方もない問題を抱えており、CEOとしては投資家の皆様に、B-21で夢を語らなくてはならない立場かもしれません
なお、このNG社CEO発言を紹介する 10月25日付米空軍協会 web 記事は、空軍応援団との立場から、研究者の「ミッチェル研究所、MITRE 社、戦略予算評価センター等の研究レポートから、米空軍には 300機以上の爆撃機が必要で、そのうち200機程度はB-2やB-21のようなステルス性を備えた爆撃機であるべき」との主張を紹介しています
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