1個数万円の音響センサーとスマホを組み合わせ
約1万セット配置でも安価にロシアドローンを探知し機銃迎撃
独やルーマニアで NATO諸国に披露され大反響
9月18日、米空軍協会「All, Space & Cyber Conference」での北極圏活動をテーマにしたパネル討議で、欧州米空軍司令官とNATO空軍司令官を兼務するJames B. Hecker 米空軍大将が、北極圏におけるロシア軍活動活発化等を受け、地域の空地状況把握のため厳しい気象環境での中~高高度無人偵察機 MQ-9やRQ-4運用に挑戦していると語り、北米空軍アラスカコマンド司令官のほか、ノルウェーとスウェーデン空軍トップが、気候変動で北極圏の地政学的位置受けが大きく変化しつつある状況を説明し、北極圏での空地状況把握の重要性を訴えました
そんなパネル討議の中で、Hecker 大将が「中~高高度の監視や状況把握も重要だが、ウクライナや中東で大きな注目を集めている低高度域での監視&状況把握も強化が必要」と述べ、ウクライナ技術者が開発した安価で画期的な対ドローン音響センサーネットワーク「Sky Fortress」を紹介していますので、取り上げます
Hecker 大将はパネル討議で・・・
●ウクライナ軍の費用対効果の高いISR システム「Sky Fortress」は、音でドローンを検知するスマホ活用の音響センサーネットワークである。これらセンサーは位置情報等データをドローン迎撃機動部隊に中継し、最小限の訓練でドローン撃墜を可能にする
●独のRamstein 空軍基地やルーマニアの基地に同システムを持ち込み、数か国関係者が見守る中で検証し、うまく機能することが分かった。更にNATO 諸国の空軍トップを集め、技術原理を含めて「Sky Fortress」を説明したが、皆一様に興奮を隠せない様子だった
●センサー1個当たり数百ドルと手頃な価格で非常に効果的なシステムで、ロシアのドローンに対し有効性が既に証明されている
7月25日付の別報道が「Sky Fortress」を紹介し・・・
●ウクライナの技術者2名が開発した「Sky Fortress」は、約2m弱のポールにつけられた「マイクとスマホ」で、飛来するドローンの音を検知するという、シンプルながら効果的な技術を使用
●ウクライナは 9,500個の「マイクとスマホ」からなる広範なネットワークを展開し、収集データを一元管理し、iPad 経由で迎撃機動部隊にドローン移動情報を提供して防空能力を大幅に強化した。このシステム使用で数時間程度の訓練とコストで、ドローンを対空砲火で効果的に無力化することが可能になった
●前出の Hecker 大将は「Sky Fortress」の費用対効果の良さを強調し、センサー1台あたりの価格は400~500ドルで、ネットワーク全体の価格はパトリオットミサイル2発よりも安い。ウクライナは、イラン製無人機を含むロシアの膨大な低コスト攻撃無人機と戦っているため、この費用対効果は極めて重要と語っている
●また、「Sky Fortress」は電磁波使用のレーダーと異なり、「地形による電波の影」の影響を受けにくい点で、またドローンの通信周波数妨害機能を備えることで撃退効果を高めている
●ロシアのドローン 84機による大規模な攻撃の際、ウクライナ軍は 80機のドローン迎撃に成功し、「Sky Fortress」の大規模ドローン攻撃対処能力を証明した。「Sky Fortress」に他のNATO 諸国が強い関心を示している
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ウクライナの人々の祖国防衛への強い思いが生んだ素晴らしいアイデアが、軍事の世界に革命をもたらしています。
久々に、背筋が伸びるような思いがするニュースをお伝え出来てうれしいです!
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