まずF-35で。他の戦闘機への応用も検討
2020年1月開始で、25年3月完成予定の慎重さ
12月12日付米空軍協会web記事が、F-35の生産&調達ペースが上がらない中で、貴重な受領済機体を最大限に活用するため、事故で大破した2機のF-35の再使用可能な部分を組み合わせ、完全に使用可能な1機のF-35を再生産する米国防省F-35計画室とロッキード社等の共同取り組みについて紹介しています
大破した航空機の修理に、他の航空機の部品を活用することはあると思うのですが、記事の書きぶりからは、共に大破して修復が不可能な2機の利活用可能な部分を寄せ集め(不足部品は新品部品を調達して)、使用制限のない新品同様の戦闘機1機を生み出そうとの「前例のない取り組み」らしく、2020年1月開始で25年3月に完成予定の「新品同様の戦闘機1機」が費用対効果面でもクリアできれば、他の戦闘機への展開も考えているようです
今回対象となる大破F-35は・・・
・2014年に大規模エンジン火災を起こしたエグリン基地所属機
(現在はF-35整備員の機体補修教育訓練用に使用中)
・2020年に全輪が破損して機体前方が大破したヒル基地所属機
このような大破した2機から生み出される1機をフランケンシュタインになぞらえて、国防省F-35計画室は「Franken-bird」と呼称しているようですが、同プロジェクトには中核となる主にロッキード社の約20名の他、米空軍第338戦闘航空団内のOgden空軍補給処等の空軍兵士と文民職員た契約業者が関わっているとのことです
ロッキード社のプロジェクト主任技術者のScott Taylor氏は、「理論的には、全ての航空機の部品は異常が無い限り、分解して他の正常な部品と組み合わせて、新たな「新品」として利活用可能だが、これを実際に大規模に行って1機を完成させた事例は一度もない」、「本プロジェクトの過程は全て文書化等で記録し、将来の手法活用&確立に向けた資料として編纂したい」、
「このプロジェクトは単に大破した2機から1機を生みだすに留まらず、事故で大破した航空機を、最新の技術や工具や製造装置を駆使して、費用対効果面で受け入れ可能な形で修復する技術確立にもつながる意義のある取り組みだ」と位置付けを表現しています
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極めて大雑把に表現すれば、「エンジン火災事故を起こした機体の前方部分」と「車輪不具合で着陸時に機体前方部分を失った機体」を合体し、他の不足部品は新規調達して「新品同様の戦闘機1機」を生み出すプロジェクトですが、上記のように、将来のための記録や手法標準化を意識した手順確立検討が含まれるためか、2020年1月開始ながら2025年3月まで時間が必要とのことです
ひねくれ者のまんぐーすには、近い将来に米軍はF-35調達予定数を大幅に削減し、例えば米空軍なら現在の約1760機予定を、600~800機前後にまで縮小する可能性が高いため、事故機の利活用可能性を「戦闘機命族」が時間と金を投入して模索している・・・と見えてしまいます
F-35調達機数削減の動き
「デマ流布!? F-35需要増に生産が・・」→https://holylandtokyo.com/2023/07/18/4823/
「F-35削減派が空軍2トップか」→https://holylandtokyo.com/2023/05/19/4648/
「米海軍が調達ペース抑制」→https://holylandtokyo.com/2022/07/07/3420/
「米海兵隊も削減示唆」→https://holylandtokyo.com/2022/01/17/2586/
「米空軍2025年に調達上限設定を」→https://holylandtokyo.com/2021/09/09/2184/
「英国は調達機数半減か」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/