シリアでのロシア軍機による威嚇や米軍上空飛行
ペルシャ湾でのイランによる民間タンカー拿捕未遂受け
7月17日、米中央軍は同軍担当エリアに、F-35戦闘機と追加のF-16戦闘機、更には追加のミサイル駆逐艦を派遣すると発表しました。今年の春以降にシリア上空で駐留米軍や米軍偵察機に対するロシア軍の威嚇飛行が活発化していることや、最近のペルシャ湾やホルムズ海峡でのイラン勢力による商用タンカーへの発砲などの事案を受けての戦力増強です
ペルシャ湾やホルムズ海峡周辺では、7月初めにイラン勢力が2隻の商用タンカーを拿捕しようと試み、内1隻のタンカーにはイラン勢力が発砲する事案が発生し、米海軍ミサイル駆逐艦USS McFaulが急行してタンカーを解放した事案が発生したばかりです
このようなイランの行為に対しては、A-10攻撃機がまず海洋抑止任務に派遣され、次いでF-16戦闘機や米海軍P-8哨戒機派遣で戦力強化が図られ、追加でミサイル駆逐艦USS Thomas Hudnerも決定された模様です。
現在約900名の米軍兵士が展開しているシリアでは、7月に入り、無人偵察攻撃機MQ-9がロシア軍戦闘機にシリア西部上空で威嚇飛行されたり、シリア東部では米軍展開エリア上空を定期的にロシア戦闘機が飛行し、米軍有人機の500フィート以内にロシア戦闘機が接近するなど、ロシア軍による脅威が増しています
これらシリアでのロシア軍機の活発化を受け、6月に米軍はF-22を中東域に派遣していましたが、その帰国とタイミングに合わせるような形で、オースチン国防長官とMichael Kurilla中央軍司令官が協議してF-35派遣を決定したとのことです
過去に遡ると、2019年に米軍無人偵察機RQ-4がイラク軍機に撃墜された事案もありましたが、シリアと対イラン正面のペルシャ湾方面の両方に目を光らせる意味を含んだF-35派遣だと国防省高官は記者団に背景を説明した模様です
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しばらく中東の話題には触れていませんでしたが、ウクライナや対中国の話題に世界の目が向いている隙をつくように、世界では様々な勢力がうごめいています
ウクライナを巡る世界経済への悪影響、中国経済の「不動産バブル崩壊」による今後20年間は継続するであろう不良債権問題、これらを受けた欧米経済の加速的減速を受け、台湾正面だけでなく、世界各地に不穏な動きが拡大することを強く懸念しています
中東における動き
「サウジとイランが中国仲介で国交」→https://holylandtokyo.com/2023/04/21/4550/
「秋までに100隻規模の無人艇部隊を」→https://holylandtokyo.com/2023/01/06/4118/
「60か国がAI活用海洋演習実施中」→https://holylandtokyo.com/2022/02/14/2685/
「B-52が9か国戦闘機と編隊飛行」→https://holylandtokyo.com/2022/04/06/3105/