71隻保有のDDG-51イージス艦を個別に精査し延命へ
「DDG Modernization program」計画の一環で
次期LSC(large surface combatant)の見通しが暗い中
3月14日米海軍大西洋水上艦隊司令部は、アーレイバーク級駆逐艦(DDG51:通称イージス艦)の1番艦で、就航1991年の駆逐艦「Arleigh Burke」の船体状況を精査し、「DDG Modernization program」計画の対象とすることを決定したと発表しました。これにより従来2026年には耐用年数の35年を迎え退役予定だった同艦艇を、40歳となる2031年まで延命して使用することになりました
アーレイバーク級駆逐艦(DDG51)は現在71隻が建造され、大西洋水上艦隊司令官(Brendan McLane中将)が「DDG51は史上最高の水上艦艇だ」、「米海軍水上艦艇部隊の屋台骨だ」と呼ぶ空母戦闘群の中核戦力で、現在も11隻が建造中で、全体では18隻の追加建造が契約済の「現役バリバリ」戦力です
米海軍は2020年に、「DDG Modernization program」を71隻全ての同級イージス艦に適用する計画を見直し、個々の艦艇の状況を確認して判断する方針転換を決定していますが、1番艦で最高齢の「Arleigh Burke」がそのチェックを通過したということです
同近代化プログラムでは、艦艇船体の5年延命だけでなく、最新の長射程兵器の搭載や艦艇防御力の向上も予定されており、もちろん今後建造する全てのDDG51にも搭載予定の内容だそうです
ただ、アーレイバーク級駆逐艦(DDG51)は米海軍の大型水上艦(LSC:large surface combatant)を構成する艦首の中で唯一好調な艦艇で、ステルス駆逐艦として期待されたZumwalt級DDG1000は、開発遅延とコスト超過の末にわずか3隻で建造が中断されています。
また2020年から検討開始した次期イージス艦DDG(X)は、現有イージスシステムをまずはそのまま活用して開発リスクを避けつつ、将来の拡張性余地を最大限にした新しい船体設計を念頭に、将来艦艇に求められる電子戦能力強化やエネルギー兵器搭載を見据えた発電能力強化や、より大型の攻防ミサイルを搭載するためのスペース確保を狙った新たな船体(Hul)設計に重点を置くと言われ、
米海軍は具体的に、多くのより大型で飛翔速度が速く射程が長いミサイル、艦艇の全周をカバー可能なエネルギー防御兵器、電子戦装備、各種センサー、コンピュータシステム等を将来柔軟に増強したいと考えているようですが、造船産業基盤の弱体化やコロナの影響で、現有艦艇や潜水艦の定期修理も大幅遅延状況であり、予算的にも明るい材料が皆無の現状と言われています。
新型空母フォード級の1番艦もトラブル続きで運用開始が遅れに遅れ中で、AUKUSで合意した豪州への攻撃原潜5隻提供も「現在の造船産業状況で本当に可能なの? 米海軍のバージニア級攻撃原潜でさえ建造が大幅遅延なのに・・(年間2隻計画が実態は1.2隻)」と各方面から「?」の声が上がる中、唯一順調そうに見えるアーレイバーク級駆逐艦(DDG51)1番艦の延命&近代化改修決定の話題でした
Arleigh Burke級イージス艦関連の記事
「3大近代化事業を一つに絞れ」→https://holylandtokyo.com/2021/06/11/1898/
「新型無人機対処レーザー兵器搭載」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-23
「後継イージス艦検討開始5年で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-14
「CSBAが提言:大型艦艇中心では戦えない」→https://holylandtokyo.com/2020/01/14/865/
イージス艦Arleigh Burke級1番艦の5年延命決定
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