従来の780日間をさらに更新
2010年から運用開始の同機の後継は民間企業製か
11月12日、米宇宙軍が運用する再利用可能な実験無人宇宙船X-37Bが、記録更新の908日間の宇宙飛行を終えフロリダ州Cape Canaveral宇宙センターに無事帰還しました。2020年5月17日に打ち上げられた同機6回目の飛行で、5回目に記録していた780日間の宇宙滞在記録を更新しました
X-37Bは「9m×4.5m×3m」とマイクロバス弱程度の大きさで、ロケットの先端に取り付けて打ち上げられ、帰還時は滑走路に着陸する無人宇宙船です。OTV(Orbital Test Vehicle)が正式名称の実験船ですが、、宇宙でどんな実験を行っているのか非公開部分が多く「謎の宇宙船」とも言われ、追跡マニアが「中露の衛星を追跡している」等々の「噂」や「推測」を流して時に話題になったりしていました
2010年4月に最初の打ち上げられた1回目の宇宙滞在が224日間、2回目が468日間、3回目が675日、そして2017年5月に帰還の4回目は718日間、2019年10月に帰還した5回目は780日で、この記録が今回6回目の飛行で908日に更新されたわけです。
「謎の宇宙船」と呼ばれながらも少しずつ情報公開の動きも見られ、6回目のフライトでは以下のような試験・実験を実施していると「ほんの一部分」ながら公開されています
●米空軍士官学校の教授や学生が運用している実験小型衛星「FalconSat-8」の運搬放出
●米海軍研究所の太陽光発電エネルギーを電磁波送信するアンテナ試験
●NASAによる素材研究実験「METIS-2」→耐熱コーティング、放射線シールド素材等の試験と、「植物の種子実験」→宇宙環境が植物の種子に与える影響を、将来の惑星間飛行や他惑星への移住計画に備え確認
●帰還のための大気圏再突入の際、「リング形状」の装置を機体後方に付けて飛行し、着陸前に切り離す空力特性試験を実施
米宇宙軍は、X-37Bが今後あと何回宇宙飛行実験を行うか等について明確にしていませんが、2年前から宇宙軍はX-37Bの後継検討の必要性を発信し始めており、折しも民間企業Sierra Spaceの「Dream Chaser」とのX-37Bとそっくりの宇宙船が、国際宇宙ステーションへの物資輸送を2023年夏に実施する予定となっており、有力後継候補と言われているようです
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このX-37Bを最初にブログでご紹介したのが2010年4月で、あれから12年・・・。しみじみしております。
あまり深い付き合いはなく、道ですれ違って挨拶する程度ですが、昔から知ってるご近所の方・・・のようなX-37Bでした
X-37B関連の記事
「宇宙滞在記録を更新中」→https://holylandtokyo.com/2022/07/29/3458/
「6回目打ち上げ:少しソフト路線に?」→https://holylandtokyo.com/2020/05/15/672/
「ちょっと明らかに?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-05-11
「中国版X-37B?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-15
「中国衛星を追跡?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-07
「Sシャトルの代替?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-12
「米が宇宙アセット防護計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-16
「関連小ネタ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-04
「X-37Bをご存じですか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-20
「Dream Chaser」解説のwikipedia
→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%B5%E3%83%BC_(%E5%AE%87%E5%AE%99%E8%88%B9)