整備作業終了時に使用した「放電エッチングペン」が
10年ほど前からの習慣で使用も半年前に使用停止
11月8日付米空軍協会web記事が米空軍輸送コマンド報道官からの情報として、米空軍C-130H型機で「54H60プロペラ」を使用している機体のプロペラに亀裂が見つかり、9月27日から同型機で同プロペラを使用している116機が飛行停止になった件について、これまでの調査で整備作業終了時に「電気放電エッチングペン」でプロペラに整備完了を示す数字を記入したことが原因らしいと報じました
「電気放電エッチングペン:electric arc etching pens」を使用し、整備が完了したことを示す数字をプロペラに記録する方式は10年前ほどから導入され、6か月前まで行われていたと同報道官は文書で説明したようですが、時には「酸性の液体で数字を記入:acid wash」することもあったとのことで、正式に手順化された手順だったかは不明です
報道官は「一連番号をプロペラに記載するプロセスが、C-130Hで見つかった亀裂を引き起こした。亀裂を引き起こした根本原因や仕組みを理解するには、更なる分析が必要である」、「我々の焦点は、安全にかつ迅速に飛行停止状態にある機体を飛行可能にすることである」と声明で述べていますが、飛行停止になった116機のうち、何機がこれまでに飛行を再開したかについては、作戦運用上の非公開事項だとして明らかにしませんでした
米空軍が保有しているC-130H型機は、2021年9月末時点で141機で、内116機が問題の古いプロペラを使用していたわけですが、全てが州空軍か予備役部隊に配属されている機体です。ただしC-130H型機の改良型である、特殊作戦軍のMC-130H Combat Talon IIと EC-130H Compass Callも影響を受け飛行停止になったようです
米空軍は2021年から、C-130H型の83機に8枚羽の新型「NP2000プロペラ」を導入するよう進めてきましたが、今その動きを加速しようと製造企業Collins Aerospaceと協議をしている模様です
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なぜ「電気放電エッチングペン」を使用して番号をプロペラに記載する必要があったのか? なぜ6か月前にその方法を止めたのか? 「酸性の液体」で記録する手法とどちらが正規の手順なのか? そもそも整備終了時に数字を記載することが正式な手順だったのか?・・・等々、多数の「?」が頭の中に浮かびます・・・
世界のベストセラー機であるC-130ですが、他国で同様の亀裂が見つかったとの話は聞きませんし、航空力学の粋を集めたプロペラ表面に「電気放電」を行う米空軍兵士の大胆さに驚かされるばかりです。でもこれが米空軍整備部隊なのかもしれません・・・
それにしても、飛行停止から40日以上経過していますが、飛行再開になった機体数は少なそうですねぇ・・・
「米空軍C-130H輸送機の飛行停止解除見通し不明」
→https://holylandtokyo.com/2022/10/11/3736/