太平洋軍司令官がグアムを示唆しつつ米空軍に要請中
そういえばアラスカF-35とハワイF-22だけ
岩国に海兵隊F-35があり、F-35艦載空母の出入りはあるが
6月24日、Aquilino太平洋軍司令官が講演し、米空軍の第5世代機が日付変更線より西側に配備されていない現状に言及しつつ、配備を要請しているとグアム島を示唆しつつ語りました。
アジア太平洋軍担当エリアに配備されている第5世代機(F-22及びF-35)は、ハワイとアラスカ(Elmendorf–Richardson)に配備されている米空軍F-22と、アラスカ(Eielson)配備の米空軍F-35、更に岩国基地配備の米海兵隊F-35がありますが、米空軍の第5世代機は日付変更線(ハワイとグアムの中間)より西側に配備されていません
まんぐーすは、中国やロシア近傍に米軍第5世代機を配備することで、電波情報収集などの「餌食」になることを米軍として避けているのか・・・とも考えていましたが、米海兵隊があっさりF-35Bを岩国に配備したことから、米空軍はどうするのかなぁ・・・とぼんやり考えておりました
米空軍に配備要請している第5世代機についてAquilino司令官は、具体的機種や場所について言葉を選んで言及しなかったようですが、司会者との対談形式講演の別の部分でグアム島の戦略的重要性を強調し、同島を360度の脅威から防御するミサイル防衛体制整備の重要性を訴えていたことから、24日付米空軍協会web記事は、配備先はグアム島だろうとの推測をしています
FDDでのAquilino司令官発言の状況
24日付米空軍協会web記事によれば同司令官は
●(5世代機の日付変更線より西側への配備の必要性についての質問に対し、)そのような能力強化については・・・・確かに望ましいことである。強固に防御された空域での作戦において必要な能力である。それがF-22であってもF-35であっても、抑止力強化のために極めて重要なことである
●より前線に、恒久的な、突破力のある戦力の配備を要請しているところである。そしてその戦力が、地域派遣戦力として活動でき、情勢に応じて必要な場所に展開することをお願いしている。(Wilsbach太平洋空軍司令官は)素晴らしい対応をしてくれている
以上の発言では、具体的な5世代機の配備先について言及を避けていますが、講演全体ではグアム島の重要性と能力強化について強調し、記事はグアムへの配備が念頭にあると推察しています。同司令官は講演の別箇所で・・・
●グアムは戦力的に見て絶対に重要な要衝である。我々はグアムを拠点に作戦を遂行する必要があり、同時にグアムを防御する必要もある。グアムは多様な戦力の供給拠点であり、有事の作戦支援拠点としても重要な役割を担っている
●中国のロケット軍は継続的にその能力や射程を向上させており、グアムは360度から脅威を受けている。これらのドメインで攻撃を受けることを予期すべきである。
●我々がそれら脅威に対処しつつ作戦遂行する能力を確保することは極めて重要で、グアムの防御とグアムからの戦力投射能力を緊急に強化することは、私にとって極めて重要な任務である
●2023年度予算でペンタゴンは、一連の防御システム整備を提案しており、脅威が弾道や巡航ミサイルであっても、最終段階で回避機動するものであっても、それら脅威に対応できるものである必要がある
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米空軍が初期型F-22の早期退役を2023年度予算で要望し、米議会調整が難航しているところですから、維持整備が大変で稼働率が低いF-22のグアム島などへの配備は今更考えにくいとすると、F-35をどこに配備するかです。
部隊編成をして配備を宣言しつつ、実質はローテーションを繰り返す「なんちゃって配備」の可能性もありますが、対中国有事の緒戦で作戦機能を喪失する可能性が高いグアムや日本の米軍基地に、5世代機を配備したくないと考えるのはべ軍事的合理性の観点から米空軍として当然のことであり、政治的レベルの判断としてやむなく従うことになるのでしょう。
今現在、嘉手納や三沢に配備されている米空軍F-15やF-16が、対中国情勢緊迫時にそのまま「座して死を待つ」覚悟で留まるとはまんぐーすは思いません。しかしAquilino司令官の発言は重く、今後の展開に注目いたしましょう
在日米軍は有事にどうするのか?
「嘉手納で統合の航空機避難訓練」→https://holylandtokyo.com/2020/01/24/873/
「有事に在日米軍戦闘機は分散後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02
「岩田元陸幕長:在日米軍はグアムまで後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-09
沖縄戦闘機部隊の避難訓練
「再度:嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25
「嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1
「中国脅威:有事は嘉手納から撤退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13