「Switchblade」との滞空型無人攻撃機
最新型であれば40分在空可能でカメラ探知の目標に突入
6月22日付Defense-Newsは、3月に米国がウクライナに100セット提供すると表明したAeroVironment社製「Switchblade」との滞空型無人攻撃機を、フランス陸軍省がFMS契約で6か月以内に米国から調達すると報じています
同兵器は、約10年前から米軍地上部隊に提供され、アフガニスタンやイラクやシリアで使用されてきたようですが、今年4月に米国がウクライナ支援で提供すると発表するまで、その存在は公表されてきませんでした。
下で紹介する解説映像が示すように、人ひとりが担いで持ち運べる大きさ重量のタイプもあり、迫撃砲の様に射出すると翼を広げ電動モーターで推進力を得て飛行し、GPSで指定の位置に向かい、最終的には先端のカメラ映像で地上から人が操縦して目標に指向します。
速度は時速100~180㎞程度で、ウクライナに提供される2020年に完成した最新型の「Switchblade 600」は、射出用ランチャー含め約23㎏、飛び出す飛翔体重量は15㎏で、連続飛行時間約40分(約40㎞飛行可能)と紹介されています
最新型「600」は対戦車弾頭である「タンデム成形炸薬弾頭」を搭載し、戦車や装甲車両を破壊する映像がネット上では公開され、ソフトターゲット(レーダーアンテナ、通信装備等々)用だった初期型「300」から大幅に能力アップしている模様です
米からウクライナへの提供表明時の解説映像(8分)
フランス陸軍や関係者は調達数量や価格を公表していませんが、仏メディアの中には82セット導入予定と仏国防筋情報を伝えるものもあるようです。「Switchblade」シリーズを製造するAeroVironment社も個々の交渉については言及を避けていますが、4月に米からウクライナへの提供が公表されて以降、複数の国から問い合わせがあると明らかにしています
フランス国防省関係者は、射程5㎞から50㎞の範囲の戦闘車両を破壊するオプションを検討しており、他に2つのプロジェクトを開始し、2024年にデモ試験を行う予定となっているようです
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「6か月以内に調達」とのスピード感に、欧州大陸の大国であるフランスの脅威感と言うか緊迫感を感じましたのでご紹介しました。ナポレオン時代からロシアと対峙してきた歴史を持つフランスは、ウクライナ侵攻の長期化と揺るがないロシアの姿勢に、底知れない恐怖を感じているのでしょう。
それと・・・中国企業もあっという間にコピー兵器を開発製造するということをお忘れなく。初期型「300」は、ランチャーと運搬袋含めて僅か2500gで全長50㎝、リュックサックに収まり、数個セットあれば飛行場を数時間無効化するには十分な兵器です。
仏軍宇宙コマンド司令官が語る
「ウクライナ侵略は衛星通信へのサイバー攻撃で始まっていた」→https://holylandtokyo.com/2022/06/23/3365/