約360億円契約で2024年度にプロトタイプ納入
その後アイダホ州の国立研究所で3年間の信頼性テストへ
「前線基地」とは言わず「不便な僻地基地」での使用を想定
6月9日、米国防省SCO(Strategic Capabilities Office)が推進している空輸可能なミニ原発開発「Project Pele」について、1~5メガワット級デザイン設計を競っていた2社の中から「BWXT Advanced Technologies」が選ばれたと同社が発表し、約360億円で2024年度に約40トンのミニ原発デモ機を納入する契約を結ぶと明らかにしました
2024年度の納入後、デモ機は「Idaho National Laboratory」で3年間にわたる信頼性等確認試験に臨み、「拡大するエネルギー需要とカーボンフリー削減に立ち向かう先進原子炉の重要性を、関係企業と共に認識している」と同社は声明文で述べており、Northrop Grumman, Aerojet Rocketdyne, Rolls-Royce and Torch Technologiesと協力して取り組むことが明らかにされています
ただ国防省SCOは、ミニ原子炉が敵の標的になる危険性や安全性を危惧する声が根強くあることが背景なのか、このデモ機開発&試験を行う「Project Pele」後に、追加でミニ原発を調達する予定や本格的導入する戦略を明確にはしておらず、企業選定開始時のミニ原発の能力説明や、国防省として化石燃料消費や商用電力依存量を削減する一般的な長期ビジョンが存在しているだけです
一つの例として、2019年国防授権法の関連文書では、「2~10メガワット級を想定」「商業ベースで開発を進め、基地内で運用開始後は、運用民間会社から電力を購入する形式」「2027年までに米本土の米軍基地で1号機の固定デモ運用」「約9割の米本土米軍基地の電力は40メガワット級の発電所でまかなえるが、サイバー攻撃停電に備え、ミニ原発で2-10メガワット程度を確保したい」と構想が描かれていたようですが、
今では一般の基地での運用や前線基地での使用には言及しなくなり、「不便な僻地の基地」で使用との表現に限定するようになっています。
反対意見としてこれまで、ハドソン研のBryan Clark氏やテキサス大学Alan J. Kuperman教授の考えを過去記事で紹介してきましたが、その概要は
●精密誘導兵器が発達・拡散する時代に、軍がミニ原発を使用すると初度攻撃の対象になり危険
●前線への化石燃料輸送負担が減る等のメリットはあっても、攻撃に脆弱なミニ原発の前線配備を受け入れる同盟国等があるか?
●「ミニ原発」でも放射性廃棄物等は出るので、その措置・輸送に大きな手間が
●NASAやエネルギー省が、極地や惑星探査用に開発するなら一案だが、国防省には不適切
●「不便な僻地の基地」で使用なら、なぜ「空輸可能」等の機動性にこだわり高価な開発をするのか?ごまかしだ!
●安全だと推進派が主張する小型カプセル化核燃料は、攻撃を受けた場合周辺に飛散して放射能汚染を拡散させる
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日本では、夏の電力需給ひっ迫で「原発再稼働」を求める声が高まっていますが、目立たないながら日本企業による「ミニ原発」(基本固定式:東芝など)の開発本格化ニュースも目にするようになっています
日本の国情を考えると何とか利用できないかと思いますし、山間部にトンネル掘って(廃線のトンネルを利用して)安全に利用できないものかと素人ながら妄想しております
でも米軍が日本に持ち込むとなると、パヨクの皆様から途方もない声が上がりそうなので、壁は高いだろうな・・・と思います
ミニ原発関連の記事
「米国防省が航空輸送可能なミニ原発配備へ」→https://holylandtokyo.com/2022/04/19/3147/
「ミニ原発反対論」→https://holylandtokyo.com/2021/06/29/1960/
「サイバー停電に備えミニ原発開発」→https://holylandtokyo.com/2020/03/11/779/
「米陸軍が前線での電力消費増に対応戦略検討」→https://holylandtokyo.com/2022/04/25/3138/
「国防省の気候変動対策」→https://holylandtokyo.com/2021/10/11/2318/
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