2022年末プロトタイプ納入で第1弾予算終了
更なるハード&ソフト開発予算確保で2030年部隊運用狙う
英はスウェーデンと次世代TEMPEST戦闘機開発と並行して
5月25日までに英国防省幹部が記者団に、Typfoon戦闘機搭載の機械走査式レーダーを電子走査式AESAレーダー(ECRS Mk2:European Common Radar System)に換装するための追加予算を英国政府に要望しており、まもなくBAE社&Leonardo社と契約を締結することになろうと明らかにしました
このTypfoon用「ECRS Mk2」レーダーはAESA(active electronically scanned array radar)で、2022年末までにプロトタイプを英国防省に納入&量産用レーダー重要設計審査を通過する契約を約500億円で2020年に結んでいますが、それ以降の開発予算契約と資金確保が今話題になっているところです
Typfoon戦闘機は「英独伊スペイン」の共同開発戦闘機で、最近の海外売込みではF-35に連戦連敗ですが、欧州内では最低限の需要を確保して欧州の戦闘機開発技術伝承を担っている欧州の主力戦闘機です。まぁ・・・欧州の次世代戦闘機開発は「英スウェーデン」VS「仏独伊」の構図となって対決ムードではありますが・・・
この話題を取り上げたのは、最近日本で、最終的な落としどころは不明ながら米国を強くけん制する狙いもあり、F-2支援戦闘機(戦闘爆撃機の意味に近い)の後継開発を英国とタッグを組んで(エンジンはロールスロイスと、ミサイル等主要搭載品をBAE社と)行う方向で協議が行われていると報道されているからで、少し欧州の戦闘機パーツ開発状況を眺めておこうとの狙いからです
なおTyphoon共同開発国の「英独伊スペイン」はそれぞれにレーダーの換装に取り組んでおり、独とスペインは既に「MK2」よりも性能の劣る「MK1」への換装を進めめており、イタリアは英国からの誘いを受けて「MK2」検討チームを立ち上げたところのようです
5月25日付Defense-News記事によれば
●24日に国防省高官はBAE社Warton工場で「我々は大きな関連契約に向け進んでいる」と述べ、25日に英国防省報道官は「ECRS Mk2搭載に向けたしっかりした計画と予算案を英国政府に提出しており、最終決定を待っている」と記者団に語った
●「MK2」AESAレーダー開発をリードするLeonardo社報道官は、「MK2レーダーのハード及びソフト開発をさらに進化するには追加予算が必要で、英政府の認可が下り次第、Typhoon戦闘機へのレーダー融合に取り掛かりたい」と語っている
●英国防省は「MK2」を、保有するTyphoonの最新型「Tranche 3」40機に搭載する予定らしいが、資金が確保できれば「Tranche 2」機体にも換装して搭載したい模様である。
●想定される「MK2」契約では、新レーダー搭載機体保有部隊の初期運用態勢確立が2030年と想定されている模様だが、それに先立って最初の「MK2」が何時英空軍に提供される予定なのかは情報がない。
●搭載機数も導入時期も予算次第となっている模様で、英国防省高官は「誰もが、より多くのMK2を、より早くと望んでいるが、全てはよりハイレベルな戦略的決定に委ねられている」とコメントしている
●英国がリードする次世代戦闘機TEMPEST計画(2035-2040年導入開始構想)もスウェーデンと協力して進んでいるが、Typhoonを最新状態で維持することにも着意されており、MK2レーダー以外にも、より強力なコンピュータ搭載や、大型スクリーン導入の新コックピット等も検討されている
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GWの休み明け早々に飛び出した「F-2後継機開発は事実上の日英共同開発機となり、政府は年末までに開発の全容を決定する」報道ですが、どこまで本気なんでしょうか?
全く状況をフォローしていませんが、グダグダのF-35維持管理に翻弄されながら、「道なき道」英国との戦闘機共同開発に投入する人材や諸資源の余裕が航空自衛隊にあるのでしょうか? そんなに戦闘機に資源投下して大丈夫なんでしょうか???
英国防予算計画「Defence in a competitive age」関連
「英空軍トップが語る」→https://holylandtokyo.com/2021/05/19/1493/
「英国の138機F-35購入計画は多くて60-72機へ!?」→https://holylandtokyo.com/2021/03/31/174/
欧州の戦闘機開発
「英戦闘機開発にイタリアも参加へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-11
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2