インド空母搭載機種選定にアピール
米印2+2での安全保障協力強化を受け?
12月21日付でボーイングが、メリーランド州Patuxent River 海軍航空基地でFA-18によるスキージャンプ方式での離陸試験に成功したと発表し、インド海軍が進める新たなインド空母艦載機選定にアピールし、併せて10月末の米印2+2での両国関係強化を意識し、両国海軍間の連携強化にも貢献できると訴えています
インド海軍は、ロシア艦艇を改造した空母「INS Vikramaditya」を保有し、初の国産空母「INS Vikrant」を2023年就航に向け建造中ですが、共にカタパルトを装備していないため、スキージャンプ式で離陸可能な艦載機が必要です。
またインド海軍は、現在艦載機として使用しているロシア製のMiG-29Kなど稼働率が悪い機体を退役させ、新たな艦載機57機の選定に2017年頃から入っており、フランス製ラファールと後継機を巡ってボーイングのFA-18新バージョン「Block 3」が争っている状況です
FA-18「Block 3」は、機体寿命を3千時間伸ばして9000時間とし、新型エンジンで推力を増し、ネットワーク力を強化し、搭載兵器を増やし、操縦席表示を刷新し、視認性低下塗装を採用するなど改良を行ったうえで、諸外国の高性能4世代機よりも低く抑えた機体で、民航機部門が苦境で、KC-46空中給油機もグダグダ状態のボーイングの命運を握る機体とも言われています
ただ、戦闘機の機種選定にありがちな、様々に複雑な側面も抱えており、各種報道から「つまみ食い」でその状況を不確かな側面も含めご紹介します
各種報道によれば
●10月末の米印2+2では、FA-18のほか、海面監視バージョンの無人機MQ-9である「Sea Guardian」(海上保安庁も試験運用中)の提供も米側が提案した模様。
(ちなみに、海上保安庁がこの運用で成果を上げたら、海空自衛隊はどうするんでしょうねぇ・・・。有人機の必要性を必死で訴えるんでしょうか・・・後ろ向きに・・・)
●インド軍は、インド海軍と空軍が同機種を導入(海軍57機、空軍117機)することで、維持整備の効率化を図りたいと考えている模様であるが、インド空軍はFA-18導入に反対の模様。
●また、米国が別件でインドに課している経済制裁に反発するインド国内勢力が、米国製戦闘機の導入に異を唱えている状況
●更に、インドの国防研究開発機関が国産の艦載機開発を強く推進しており、インド海軍が57機の調達要求機数を、36機に削減することを検討しているとも報道されている
●米海軍はFA-18「Block 3」の試作機2機を受領して機体性能を確認中で、2022年から導入開始する契約を結んでおり、500機の「Block 2」の「Block 3」への改修と、約80機の「Block 3」新規導入構想を持っていた
●しかし最近、次期艦載機の開発調達に進むべきとの方針を米海軍が固めたことから米議会と対立する構図となっており、「Block 3」の新規導入が30機程度で終了する恐れもあり、ボーイングはインドへの売込みに力を入れている
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米国とインドとは是非仲良くして頂いて、対中国体制を強化してほしいのですが、インドも単純ではありません。でも、カシミール付近での小競り合いの火が大きくなりつつあるようなので、これを機に対中国で関係強化に向かってほしいと思います
それにしてもインドは、長年ロシア製の兵器に苦しめられているのに、また欧州製の兵器でも必ずしもうまくいっていないのに、米国製兵器への警戒が強いですねぇ・・・
インド空母や艦載機関連の記事
「インド検査院がロシア製空母艦載機を酷評」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-08-11-1
「7年前:インド空母の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09-2