米議会による承認待ちで毎年の予算審議は必要も「将来見通し」確保に
大枠合意を受けロッキードは自己負担で1兆円の先行投資を発表
またロッキードは下請け企業と長期的合意を図り部品の確保に
この「大枠合意」は米議会による承認が無ければ意味を成さず、F-35の何型を何機とか、米空軍が何機とか、どの国が何機とか、1機How muchとの細部も含まれてないもので、仮に米議会が「複数年調達権限(長期的な調達枠組をメーカーと結ぶ法的権限):MYP:Multiyear Procurement」を認めて「大枠合意」を承認しても、あくまで米議会は「長期枠組は法的に認めるが、毎年の進捗や国家財政を見ながら、実際の年度予算は毎年小出し承認する」こととなります
また他国の機数に関しても、あくまで他国が提示(LOA: 買付受託書等で)している長期計画の単純集計であり、ロッキードに年間約156機を最も効率よく、かつコストを抑えて作れるように準備してほしいとの要望を「大枠」で示す性格のものです。
繰り返しになりますが、将来予算を完全に保証するものではないが、「米国と購入希望他国の購入希望をかき集めたら、毎年約156機ずつ10年間作る規模になる。だから米議会には『複数年契約の権限(MYP)』を認めてもらい、ロッキード社には製造ラインや部品&原材料確保に先行投資する等で安定維持&コスト低減に早期着手&努力してもらいたい。ただ各年度の資金は毎年議会で審議&決定する」との、国防省とロッキードの希望を「大枠」提示した位置づけです
なお、現時点でこの「大枠合意」は企業と米国防省間のものですが、ロッキードが大枠合意発表に合わせ、約1兆円の自己資金を先行投資することを発表していることから、米議会が「複数年契約の権限(MYP)」あるいはそれに準ずる長期的法的枠組みを承認する可能性が極めて高いと確信した上での「大枠合意」発表と見られています。
ただし、F-35の開発経緯や現在も「F-35 Block 4」開発が大きく遅延していること等もあり、米国防省にも米議会内にも、「ロッキードに10年もの白紙委任(MYP)をすると、更なる開発遅延やコスト上昇を招く」との危惧も根強く、米議会も国防省も、製造されたF-35機体へのチャックやコスト監視を強化する見込みだそうです。
日本など、F-35調達国への影響は把握していませんが、生産やコストの安定と見通し確保は、調達国共通の利害ですので、「大枠合意」と米議会の「多年度調達権限の承認」に期待したいと思います
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最近、米国防省は長期的や装備品発注の見通しを示すことで、サプライヤーに安心感を与え、先行的な設備投資や部品調達が可能な環境づくりに取り組んでいます。
例えば、今年8月24日に、米空軍と米国防省がボーイング社と、F-15戦闘機の「機体製造・近代化・維持管理等々」を包括する、約20兆円上限総額の「IDIQ(indefinite-delivery,
indefinite-quantity)」契約(F-15 Eagle Crest)を締結しましたが、
「IDIQ契約」と「大枠合意」の違いや、「他国を含めたF-15関連の法的枠組み準備」と「現時点でのF-35調達計画数を単に合算した内定数合意」の相違はありますが、主担当企業やサプライヤーに安心感を与え、先行的な設備投資や部品調達が可能な環境づくりを狙った点で、方向性は同じです。見守りたいと思います
2026年8月24日発表のF-15に関するIDIQ契約発表
「20兆円上限のF-15 Eagle Crest契約」→https://holylandtokyo.com/2026/09/07/15551/
ただ一方で米空軍の戦闘機導入計画は五里霧中
「戦闘機将来体制の年次報告」→https://holylandtokyo.com/2026/10/26/15944/


10月22日、米国防省とLockheed Martin社が、F-35を今後10年間に渡り毎年156機(米軍が85機、71機は他国用)を調達&製造するほか、同機体維持に関する部品や機体改修用装備や関連保守サービスを依頼&提供するとの「大枠合意:framework agreement」を結んだと発表しました。単純計算すると、米軍とは約13兆円、他国と11兆円規模の合意を意味します