報道はF-35とB-52エンジン問題を受けた関連企業への宣戦布告と
RFI自体は特にF-15EXとF-16エンジン調達に言及とか
RFIは2034年まで年間180基以上を調達目標に調達革新狙う
新提案募集RFIで現状企業を「遅延とQC不十分と全般陳腐化」と酷評し、
「競争推進し、業界革新とsupply chain強靭性を確保」と新企業募集示唆
まずRFIの内容に入る前に、同記事が米空軍のエンジン企業への不満の背景と示唆している、F-35戦闘機のエンジン品質と改修遅延(F135エンジン製造および改修担当はPratt & Whitney社)、そしてB-52爆撃機エンジン換装(新エンジン納入担当のRolls-Royce社)の状況を、ブログ過去記事等から現状の推測も交えご紹介
【F-35エンジン(P&W社のF135)】
●同エンジンはエンジンブレード耐久性が要求性能より低く、機体稼働率低迷と維持整備費増の大要因
●米空軍は最新型F-35「Block 4」により大きな電源や冷却性能が必要なことから、エンジン交換を検討し、F-47用に開発されて来たATEPエンジン(P&W社とGE社両方が2機種開発)を小型化して搭載を検討も、現F135改修(約2600億円)より3倍経費(約8000億円)が必要で2023年春に米国防省判断で断念。(米空軍だけでなく、海軍や海兵隊、更にF-35使用同盟国にも負担を強いる等、ハードル高すぎ)
●P&W社は、自社提供F135不具合対処に、多額の追加予算を得て2023年度予算で改修に着手も、既存F-135エンジンの不具合も相次ぎ、改修版F135開発も順調とは言えない状態にあり、米会計検査院GAOも「エンジン製造企業は生産開始から20年間経過して現在でも、契約仕様通りのエンジンを納入不可能な状態だ」と酷評
【B-52のエンジン換装(Rolls-Royce社が新エンジンF130提供予定)】
●B-52延命のための近代化の柱であるエンジン換装は、現T-33エンジン(P&W社製)を、民航機用Rolls-Royce製のBR725エンジンを基礎としたF130エンジンに換装することで、燃費3割向上や信頼性&静粛性向上の他、機体寿命が来る2060年までオーバーホール修理不要との計画で、改修を2028年から30年代にかけ実施を予定
●しかし、B-52近代化はエンジン問題で停滞し、結果としてコストが4500億円増加し、改修B-52初期運用能力の獲得が既に最低15ヶ月間遅延していると、米会計検査院GAO が指摘
これら問題を受け戦闘機エンジンに関する8月3日発の情報提供要求RFIは
●締め切りは8月28日で関連情報の提供を要請
●情報提供要求RFIの背景と狙い&具体的なエンジン調達ニーズ
・今の空軍用エンジン産業は、主要エンジンと関連部品全体の生産遅延、品質管理問題、更に深刻な課題(製造基盤の減少と材料不足)等、重い課題に直面。政府は関連産業界に対し、業界の革新とサプライチェーンの強靭性確保のため、関連産業界に戦略的競争を促す
・米空軍は、2034年まで毎年180基以上のエンジン調達を目標とし、複数年の戦闘機エンジン調達プロジェクトに着手(RFIは、特にF-15EXとF-16のエンジン調達に言及の模様)
●エンジン調達と維持「パラダイムシフト」の5本柱(記事が不明瞭で、誤解の可能性あり)
・従来調達から、業界主導の技術革新と能力拡大を促進する方向へ
・より高性能で信頼性が高く、かつ安価な新エンジン供給の責任をベンダーに
・信頼性の高いサプライチェーンを確保する責任もベンダーに
・エンジン初期購入価格だけでなく、ライフサイクルコストに重点
・厳格な製造に関するproducibility requirementsを企業に課す(例えば、急増需要に対応可能なように生産規模を拡大し、米空軍とFMS航空機(F-15EXやF-16等)用エンジンの安定した供給を保証できるパートナーを選定)
●他のRFI記載要求事項や説明事項
・エンジン開発と製造のスケジュール等、詳細情報を要求
・どの程度の最小生産量でSupply chainにおける民間資本投資(設備拡張、工具の近代化、高度な自動化など)が可能か
・レアアースなど、確保が困難な原材料に関しては、米空軍として確実に入手可能なように対応する。エンジン製造や増産において、最も入手リスクの高い原材料や製造段階でのボトルネックは何か
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ちなみに、現在のF-15EXエンジンはGeneral Electric(GE)社のF110-GE-129で、
F-16エンジンはBlock 30以降、それ以前のP&W社F100-PW-200や229に加え、GE社製のF110 GE-100,や132も使用可能です。
Defense-News記事の「舌足らず」とまんぐーすの背景知識不足から、RFIが強い調子で明文化している「政府は関連産業界に対し、業界の革新とサプライチェーンの強靭性確保のため、関連産
業界の戦略的競争を促す」や「エンジン調達や維持整備に関するパラダイムシフトの5本柱」等の表現が意味している、関連業界への「強烈なインパクト」(恐らく・・・)を旨くお伝えできていないと懸念しております。
最近は米国防省や各軍種から、「現状アセットより安価な無人アセットや精密誘導兵器」の提案募集や情報提供要請が「山のように」発出されているのですが、それらがウクライナや対イラン作戦の教訓を踏まえたものであるのに対し、この米空軍用エンジンに関する関連業界や企業への「挑戦状」とも言えるRFIは、米軍需産業界の現状への警鐘であり、現実として隠し切れない「組織劣化」や「製造開発能力の減退」へのカンフル剤なのでしょう
ジェットエンジンのような「当該国の総合工業力を示す技術の塊」を扱う、新興企業が簡単に生まれるとは考えにくいのですが、RFIを正式に出すからには「手ごたえ」や「勝算」があるのでしょうし、SpaceX社が「ロケット開発」で「業界の常識を次々と塗り替えている様子」を目の当たりにしている米国防省や米軍も、「米国の底力」に期待しているのかもしれません
米空軍のRFI掲載webページ(8月3日付)
→ https://sam.gov/workspace/contract/opp/0da4cca1eb604f32bb90a2b601cd593f/view
F-35エンジン問題
「AETP断念しF135改修へ」→https://holylandtokyo.com/2023/03/16/4422/
「GE社とPW社が対立主張」→https://holylandtokyo.com/2022/09/29/3681/
「AETPなら調達数削減覚悟」→https://holylandtokyo.com/2022/09/13/3644/
「AETP不採用で産業基盤崩壊?」→https://holylandtokyo.com/2022/08/24/3562/
「空軍長官:国防省に下駄を」→https://holylandtokyo.com/2022/08/09/3515/
B-52エンジン換装と近代化改修関連
「あと36年100歳まで頑張るB-52J」→https://holylandtokyo.com/2024/02/27/5575/
「B-52近代化:B-52Jへ」→https://holylandtokyo.com/2023/10/19/5134/


8月3日付Defense-News記事は、同日米空軍が公示した戦闘機エンジン調達に関する情報提供要求RFIを取り上げ、最近の米空軍F-35戦闘機エンジン品質や改修エンジン開発、またB-52エンジン改修に見られるようなエンジン企業の現状に米空軍が不満を募らせた結果として、米空軍は「新しいエンジン、そしておそらくは新しいエンジン製造業者を探している」と、当該RFIの内容(提案対象にはF-15EXとF-16戦闘機に関し多く言及がある模様)を紹介しています。
