米上院軍事委員会が「ロボット・自律システム軍」創設を法案に

あくまで国防省に同軍創設を「許可する」提言案で、創設を命じるものでなく
同法案成立には長い道のりで可能性は高くないが、ウや露軍の事例を見て動く
今後「ロボット・自律システム」に関し、下院や専門家や国防省を巻き込み激論の予感

6月11日付で複数の米軍事メディアが、同日上院軍事委員会が「非常に長く、非常に活発で、非常に有益な議論」を経て、米軍内の地域コマンドや輸送やサーバーや特殊作戦コマンド等と並ぶメジャーコマンドとして、「ロボット・自律システム軍」創設を国防省に「Permit:許可する」ことを含む、2027年度国防権限法案(NDAA)の概要を発表したと報じています。

同法案の概要説明で同委員会スタッフは、「ロボット・自律システム軍:Robotic and Autonomous Systems Combatant Command」のイメージに関し、大将をトップとする新コマンドで、「特に注目が高まっているロボット・自律システムの今後の導入や戦力化に当たり、各軍種の無人装備戦力化が、統合戦力能力の向上を促進しつつ迅速に進むことに役立つと考えたからだ」と法案の狙いを述べ、

また同コマンド創設案の背景には、ウクライナが2024年に無人システム部隊を設立し、ロシアが2025年に独自の無人システム部隊を発足させたことがあり、新分野を担当する「ロボット・自律システム軍」の特性を踏まえ、関連新システムの実験を行う「特別な試験評価権限と限定的な調達権限」も同コマンドが保有するだろうとも同スタッフは説明した模様です。

本件に関するメディアの扱いは、何れも「直ちに新コマンド誕生に結びつくものではない」との立場で、これは、上院でも軍事委員会の案段階で、上院本会議で承認を得るまで相当の労力や修正も視野に入れた調整が必要なことや、下院軍事委員会も先週独自にNDAA案を可決し、同法案には「ロボット・自律システム」に関する国防省の現方針修正を求める内容など多くの要求事項が含まれており、本件に関する問題意識が上下両院で非常に高いものの、議論収束は容易でないと各メディアは指摘しています。

例えば11日付米空軍協会web記事によれば
●上下両院で、AIを搭載したロボットや自律システム使用における、国防省の権限を拡大する一方で、同時に安全策として国防省や米軍へのチェック機能を設けようとする動きがみられる。具体的には両院で手法は異なるが、武力行使関連の意思決定支援・推奨等するAI搭載システムに関する問題事項を報告させ、審査プロセスを設けるなどの条項がみられる。
●同日開催のシンクタンクCNASのイベントで、国防省の初代AI統合センター長を務めた元空軍中将シャナハン氏やCNASのシャーレ氏は、AI使用に関する縛りは、国防省の内部独自規定では不十分で、国家レベルの法律で定めるべきとの点で意見が一致していた。

●一方で両氏は、AI使用に関する包括的法律は、過度に国防省に制約的ではなく、国防省が急速に変化する技術に迅速に対応可能な柔軟性を維持するものであるべきとも主張している。
●本件に関連する取材に答え、ハドソン研究所のCleark研究員は、下院案は国防省に「AI関連インシデントや脆弱性報告システム」確立を求めるものだが、国防省が明確に実施を望まない姿勢を示してきたことを求めている点で、条項の中で「最も破壊的:disruptive」だと指摘している
///////////////////////////////////////////////////

「まんぐーす」には本件にコメントできる知見はありませんが、最先端のAIツールを提供しているAnthropic社と国防省が、同社製AIの使用許可範囲を巡って対立し、国防省が同社との契約を破棄するに至った件など、国としてAIの取り扱いをどのように仕切っていくかに関する、難しい「暗中模索」が続いている現状を受けての議論だと理解しています。

日本の「安保3文書」改訂でも、AIの扱いは論点とされていますが、直感的に理解が追い付いておりません。とりあえず、日々コツコツと公開情報を眺めつつ、大きな流れを見て行きたいと思います。

ウクライナとドローン関連記事
「ウ最前線で不可避な無人化進行」→https://holylandtokyo.com/2026/03/03/14057/
「欧米渇望のウ製迎撃ドローン」→https://holylandtokyo.com/2026/03/17/14163/
「目標撃破の8割が無人機」→https://holylandtokyo.com/2026/01/30/13822/
「米企業はウで試験し備えよ」→https://holylandtokyo.com/2025/09/09/12705/
「クモの巣作戦」→https://holylandtokyo.com/2025/07/14/12101/

世界の安保・軍事情報を伝えたい ブログ「東京の郊外より」支援の会
米国を中心とした世界の軍事メディアが報じている、世界の標準的な安全保障情報や軍事情報をご紹介するブログ「東京の郊外より・・・」を支援するファンクラブです。ご支援お願いいたします。
ブログサポーターご紹介ページ
お支援下さっている皆様、ありがとうございます!そのお気持ちで元気100倍です!!!●赤ちょうちんサポーターの皆様(3000円/月)なし●ランチサポーターの皆様(1000円/月)mecha_mecha様kenj0126様●カフェサポーターの皆...
タイトルとURLをコピーしました