米国防省が安価巡航ミサイルを大量調達契約:米陸軍と空軍が連携し

国防省が4つの新興企業から3年間で1万発以上の契約締結発表
米空軍FAMM計画(大量低価格弾薬ファミリー計画)の基礎となる国防省計画
まず陸軍用のLCCM(Low-Cost Containerized Missile)で着手し、海空用にも展開

5月13日、米国防省が今後3年間で安価な巡航ミサイル1万発以上を調達するLCCM計画(Low-Cost Containerized Missile program)ため、新興企業4社と契約を締結したと発表し、まず米陸軍用のコンテナ化された地上発射防空ミサイル開発から着手し、開発した技術を生かして空中や海上から発射可能な様々なミサイル導入につなげていく構想を明らかにしています。

背景には、ウクライナやイランでの戦いで大量の誘導ミサイルが消費され、高価なミサイル大量消費による戦費爆増や、備蓄量急減による本格紛争への備えに危機感が生まれたことにあります。例えばイラン紛争では、40日間余りで13000目標を攻撃し、各目標に複数兵器を使用していますが、これが台湾有事ともなれば10万目標への攻撃が必要との見積もあり、安価に大量のミサイル等を準備する必要性に迫られていることがあります。

今次契約が公表された4企業は、いずれも既存の大手軍需産業とは異なる「Anduril社, CoAspire社, Leidos社, Zone 5社」で、調達担当国防次官は「国防省は従来企業に囚われず、産業基盤拡大と開発期間短縮を目指し、革新的な新規参入企業に対し、明確かつ長期的なシグナルを送っている」、また開発担当国防次官は「契約は業界に、手頃な価格で期限内納入可能な企業に投資して、兵器開発と製造を進めるとの明確なメッセージを送るもの」とその意義を声明で明らかに打ち出しています

ただ具体的な計画は非公表で、2027年度予算案で、2027年から3年間で1万発以上のミサイル調達を目指すと表現されている以外は、4社との契約金額や各ミサイルの予算額を明らかにしていません。明らかなのは、戦いの緒戦で大量使用が想定される、高価で高性能なJASSM-ER(1発2.2億円以上のミサイル)とは対極的位置づけにある、安価なミサイル開発導入が喫緊の課題となっていることです。

例えば冒頭で触れたように、このLCCM計画は5月18日付ブログ記事でご紹介した、米空軍の安価なミサイルを大量導入する米空軍FAMM計画(大量低価格弾薬ファミリー計画:Family of Affordable Mass Munitions program)と一体となったもので、FAMMで米空軍は、今後5年間に1兆8000億円以上を投入し、約2万8000発の巡航ミサイルを安価に迅速に開発&導入する構想を打ち出し、上記4社もFAMMにしっかり関与しています。

5月13日付国防省発表を取り上げた同日付米空軍協会web記事は
●国防省の4企業との契約内容は不明も、4企業の関連実績等
・Anduril社→100ポンド搭載のBarracuda-500ミサイルを、今後3年で3000発納入と発表
・CoAspire社→既に空軍主要爆撃機と戦闘機搭載実績ありのRAACM(500ポンドJDAMと同規模)の射程延伸版GHOSTミサイル発表。今年中に飛行試験予定

・Leidos社→試験済「Black Arrow:AGM-190A」ミサイルの2倍の大きさで、航続距離を伸ばしたLCCM用ミサイルを3000発製造予定と発表
・Zone 5社→2024年に空軍と契約済のERAM(Extended Range Attack Munition)用のミサイル「Rusty Dagger」を、4月にF-16搭載で試験
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5月18日付ブログ記事でも「言い訳」させて頂きましたが、ウクライナ紛争で顕在化し、イラン紛争で更に危機感が深まった「弾薬不足」と「弾薬コスト爆増」問題対処のため、各軍種が様々な施策を「バラバラに発芽」させましたが、米国防省と米軍が「安価に大量導入可能なミサイル開発&調達プログラム」として、2024~25年頃から交通整理を開始したところで、全体像が非常に分かりにくくなっています。

結果として、様々なプロジェクト名(ERAM、FAMM、LCCM等)と、多様な企業とその兵器名(Barracuda、RAACM、GHOST、Rusty Dagger、JASSMやLRASM等々)が乱れ飛ぶ、頭の整理が追い付かない「業界あるある」状態となっており、軍事メディアの関連記事も「フォローに疲れた」感が漂っております。

ポイントは、「弾薬不足」と「弾薬コスト爆増」問題対処のため、米国防省と米軍が「安価に大量導入可能なミサイル開発&調達」に奔走している・・・ということです。

米国防省による4社とのLCCM契約発表(5月13日)
https://www.war.gov/News/Releases/Release/Article/4485332/department-of-war-enhances-lethal-strike-capacity-through-partnership-with-new/

米空軍のFAMM計画(5年で2.8万発を1.8兆円で)
輸送機からパレタイズ投下も含む多様な安価巡行ミサイル調達
「米空軍2027年度予算案の情報」→https://holylandtokyo.com/2026/05/18/14668/

輸送機から兵器投下検討
「批判の中:輸送機からミサイル投下追求」→https://holylandtokyo.com/2024/10/30/6414/
「欧州演習で初披露」→https://holylandtokyo.com/2022/11/15/3936/
「巡航ミサイル投下&攻撃試験」→https://halylandtokyo.com/2021/12/20/2550/
「Rapid Dragon 本格検証へ」→https://holylandtokyo.com/2020/11/06/380/
「輸送機使用に反対」→https://holylandtokyo.com/2020/07/01/562/
「MC-130からパレタイズ投下」→https://holylandtokyo.com/2020/06/09/619/

対地や対艦巡航ミサイルの廉価版検討の事例
Anduril社やNG社等も開発中
「JASSMやLRASMの廉価版CMMT」→https://holylandtokyo.com/2025/03/26/10960/
「Stand-inミサイルSiAW」→https://holylandtokyo.com/2025/01/22/6591/

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