米民間企業が広大なドローン試験場を開設

ジョージア州に東京都の3/4の広さ(約40万エーカー:1,619 km²)で
電磁波妨害への規制緩和や免除は当局と前向き協議中
米軍演習場の複雑な手続き回避でベンチャー企業が使用可
民間企業運営の柔軟性で軍と企業の連携促進
既に米軍部隊やベンチャー企業の使用実績
近傍に関連企業の工場や研究所誘致の検討も

4月17日、米ジョージア州の民間企業Second Bend Labs社が、広さが東京都の3/4(約40万エーカー:1,619 km²)のドローン試験場を一般企業対象に提供営業開始すると発表し、米国政府が進める「米国製ドローンによる支配」に向け大きな課題となっていた試験場の確保に、大きな一歩を刻みました。

開設されたドローン試験場は、米空軍Moody空軍基地が連邦航空局FAAと調整済の訓練空域内の低高度戦術訓練用(A‑10、救難部隊、ドローンなど)の特別空域(高度1000~8000フィート使用可能なCorsair South MOA)の一部に設けられ、地上には多様な地形と約8㎞の河川沿いの水域を有し、陸上および海上用ドローンの試験にも適しているとのことです。

ブログで繰り返し取り上げてきたように(末尾過去記事参照)、ウクライナ戦争でドローンによる軍事革新が世界的な注目を集め、米国政府も「米国製ドローンによる支配」との目標を掲げてドローン開発や米軍での応用に積極姿勢を見せていますが、大きな課題の一つが、ウクライナや中国が確保しているが米国内で確保が困難な「ドローン演習場や試験場の確保」となっているところです。

米国での一番の問題は、ドローンに対する電磁波妨害やGPS妨害の環境を再現可能なエリア確保で、米国防省が連邦航空局FAAや連邦通信委員会FCCと法令規制の緩和や免除を調整しているのですが、なかなか難しいようです。

Second Bend Labs社開設の試験場も、電磁波妨害や電磁波兵器やGPS妨害使用については「現在調整中」ではありますが、同社CEOは「連邦政府関係者が現地を訪問し、規制緩和について協議する意向を示している」と述べ、落としどころを探っているFAAやFCCにとっても、前向きな協議が可能な環境にあるエリアである模様です

その他4月17日付DefenseOne記事は本件に関し、
●電磁波環境の協議に関しCEOは「政府機関グループが4月末に発足し、具体的検討に着手予定。何が可能か、今後細部を詰めるが、顧客の期待に応えられるよう取り組む」と決意を語る
●また同社幹部は「既に一部の顧客には施設を開放しており、新技術や新戦術のテストや開発、既存スキルの向上など、現実の戦闘環境の複雑さを反映した条件下で使用してもらっている」

●この施設は民間企業運営なため、米軍の演習場や試験場とは異なり、民間人が容易にアクセスできる場所であり、国防省の複雑な許可申請に不慣れなスタートアップ企業が使用容易な環境を提供している。
●同時に、従来、軍の演習場であったエリアを利用することで、射撃や爆発物使用を伴う軍用ドローン試験が可能な環境がすでに整っている。(まんぐーす注:軍演習場を通過することなく、直接企業施設エリアにアクセス可能なレイアウトになっていると推定)

●同施設は軍部隊や企業の受け入れ実績
・3月に米空軍のthe 123rd Special Tactics Squadron
・ドローン企業の「T3i」や「Red Cat」など

●使用企業関係者の声→従来の試験場は「too static:静的すぎる」。既存の演習場や試験場は、ドローン技術が日進月歩で変化する中で、新しいシステム能力を迅速に評価し、他システムと統合するインタラクティブな環境にかけている

●軍の前線部隊兵士は、「我々操作員は、試験官であり評価者でもある。試験を反復し、データ収集し、それを開発者や上級司令部へフィードバックする必要があり、訓練とテスト頻度を大幅に増やす必要がある。従来の移動、通信設定、射撃と言ったシンプルな手法では通じない」、「ドローン関連訓練には、多くのシナリオに基づく反復訓練や、実際にドローンが飛行する実戦的なテスト&訓練環境が不可欠必要」と同施設の重要性を語っている
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この試験場が開設されたCorsair South MOA は、A‑10とCSAR(戦闘捜索救難)部隊が、低高度・実戦想定の「Sandy」任務手順に基づく、低高度偵察、脅威制圧、ヘリ護衛、救難地点確保、空中給油などの高度な統合訓練を行う演習場らしく、最近話題のトピックとのつながりを感じます

同施設開設を持って、米国の「米国製ドローンによる支配」に向けた課題が一挙に解決されたわけではありませんが、「民間企業」がこの問題に乗り出すことで、様々な問題解決のハードルを下げることに成功しており、日本で軽易に活用可能なアイディアではありませんが、ご紹介しておきます。

Second Bend Labs社の施設紹介サイト
https://www.secondbendlabs.com/

米国内でGPS妨害や電波妨害試験が困難
「米国内GPS妨害試験はいばらの道」→https://holylandtokyo.com/2026/03/18/13486/
「米国内基地ドローン防御演習での課題」→https://holylandtokyo.com/2025/09/10/12313/
「試験場確保困難でメーカー育成多難」→https://holylandtokyo.com/2025/07/28/12266/

中国はドローン対処にも総力結集
「ドローン対処に 3000社投入」→https://holylandtokyo.com/2025/05/28/11509/

A-10とCSAR任務はどうなる
「A-10のCSAR任務は将来誰が?」→https://holylandtokyo.com/2026/04/23/14540/

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