前線逃亡20万人、徴兵拒否200万人、兵士平均年齢40代半ばの現実
しかし結果としてドローン攻撃部隊成果は従来部隊の4-5倍
約10名で5-10㎞を担うNATO軍常識を超えた運用
2024年のドローン攻撃比率7割が、25年には8割強へ
1月発表の新計画で既に歩兵が存在しない前線が存在
人口4000万名弱のウクライナで、同国軍は4年間で推定40-50万名(うち推定死者5-6万)の兵士死傷者を出しており、ウクライナ国防相が1月時点で前線逃亡兵20万人に徴兵拒否者200万人だと認め、部隊定員に対する実際の兵士充足率が平均5~6割程度との実態に加え、兵士の平均年齢が40代半ばに至る厳しい現実の中、ある意味「不可避的」「必然的」に「ドローン」や「無人化兵
器」の導入による「軍の省人化」が急速に進んでいます。
しかし、軍による全部隊対象評価で最優秀評価を受けている部隊が無人システム部隊で、他部隊もドローン等の無人システムへの積極的投資で攻撃成功率を飛躍的に高めており、軍による2025年の目標破壊の8割以上(前年の約7割から更に上昇)がドローン攻撃によると統計され、砲兵攻撃もドローン偵察情報に支えられたものとなっているのが現状と記事は紹介しています。
また2026年1月にウ国防大臣発表の軍改革プランは、無人システムを軍事力の中核に位置付け、軍全体の戦い方から指揮システムの変革までを、データ管理を横糸に推進することを明示しており、ウクライナ軍の「省人化無人化」方針は、人員不足等から生じた「しのぎ戦術」としてでなく、正
式に「教義」や「大国に対峙する小国の戦争戦略」の位置づけを持つことになりました
そしてこの「前線の省人化無人化」は、取材中の記者がウ国防省幹部から前線兵士に至るあらゆる階層から語られた言葉、「我々はドローンを使い、ドローンで撃破し、ドローンで救い、ドローンで解放する」「人間が考える、機械が仕事をする」「ウ軍にとり唯一の勝利のチャンス。他に道は無い」「歩兵は存在しない」等々の言葉にも反映されていると記者は表現しています。
例えば、具体的なウ軍前線部隊の状況として記事は・・・
●ウクライナは、歩兵をハイテクで補完する発想ではなく、多くの場合、歩兵を、「無人機、地上
ロボット、センサー網、地雷原、無人車両搭載の大砲」へ置き換えている。
●(ドローン等による省人化無人化により、)一部の地域では1名の兵士が5〜10KMの前線防御を担っているが、これはNATO軍の戦域防御基準より遥かに少人数での防御体制である
●「Lazar Group」との約1700名のドローン部隊は、10Km毎に地上要員を、20Km毎にISRチームを配置し、無人機操縦者と無人機が4万以上の目標攻撃戦果で担当最前線を死守している
●前線の塹壕や簡易的な地下室から、操作員兵士1名が3台のドローンを同時に担当し、1台を敵の装甲車や陣地に誘導しつつ、他の2台を次の攻撃に備えて上空で待機させる体制が標準だが、投資
すれば兵士1名がドローン10台の操作も可能
●とある前線では、12.7mm機関銃搭載の無人車両が、遠隔操作で何週間にもわたって無人状態の陣地維持に成功したが、当該機関銃搭載無人車両は、1名の遠隔操作員兵士が同時に別々の3か所で担当していた同種車両の1台に過ぎなかった事例も報告されている
●最近新編成の外国人が多く配属された初の国際化UAV部隊(無人システム大隊:通称Flash)は、ウクライナ人兵士の配置要件が「戦闘経験」ではなく「英語会話力」と指定されているのが特徴だが、初めての前線任務を終えた所属ポーランド人兵士が、兵站輸送まで7割が無人化された同部隊の状況への驚きを一言「前線に歩兵がいない」で表現し、欧州各国で衝撃をもって報じられた
●なおこの国際化部隊は特別なサンプル部隊ではなく、ウクライナ軍自身の戦力再構成のひな型モデルとして編成した部隊で、ドローン攻撃だけでなく、ドローンによる敵ドローン迎撃や地上ロボット作戦も担った部隊である
●実際、歩兵数が削減されるだけでなく、「歩兵ゼロ」の地域も生まれており、地域担当司令官は「ドローンが目標を発見し、砲兵が同目標へ発砲し、地雷が移動を阻止し、特定任務で歩兵が必要な際は他地域に派遣要請して対応」と説明している
●別にウクライナ軍は、前線に沿って15Km幅の「Drone Line」と呼ばれる「無人kill zone」の設置目標を決定しており、この細部戦力編成を欧州NATO軍は特に注目している
●ドローンの供給輸送体制も大きく改善されつつあり、国防調達庁幹部によれば、発注後のドロー
ン部隊到着までの時間は、平均2~3か月から平均10日に大幅短縮され、発注翌日に受領可能なケースもあるとのこと
●無論、この「前線の省人化無人化」モデルには課題もある。ロシア軍も独自の無人システム生産を拡大し、強力な電子戦でウ軍ドローンへの妨害能力を進化させている
●この冬の記録的な低温や降雪もドローン運用に大きな打撃を与えている。マイナス20度の最前線では、ドローンのバッテリー機能不全で使用不能や飛行途中で墜落した事例が多発し、カメラの凍結や回線の短絡ショートで機能不全となる機体も続出した模様だ。
●ただ前線部隊が編み出した「ラードを防水保温剤として機体に塗布」等々の緊急対策が、部隊間で迅速に共有される等の「現場力」「組織力」も発揮されたと報じられている
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記事は最後に、米陸軍ベテランOBが率いる米軍とウ軍の連携をサポートする企業幹部が、「歩兵に代わるものなどあり得ない。無人機だけで地域確保はできない」とコメントしていることを紹介し、記事著者の「今のところ、彼の言うことは正しいかもしれない:He may be right — for now.」との言葉で締めくくられています。
もちろん、全てを無人にすることはできず、人間が担うべき役割がなくなることはありませんが、その役割や期待される内容は急速に変化していく可能性があると心得ておくべきでしょう。
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「目標撃破の8割が無人機で」→https://holylandtokyo.com/2026/01/30/13822/
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「音響ドローン探知」→https://holylandtokyo.com/2024/10/24/6355/


2月24日付Defense-Newsが、「Military Times」記者によるウクライナ国防省や軍数十名に対するインタビューを元にした記事を掲載し、圧倒的戦力を持つロシア軍の侵略に受け、「1945年以降で欧州最大の地上戦」を4年間戦っているウクライナ軍が取り組む、「無人化」「機械化」「ドローン部隊化」状況を紹介していますので、戦場レポート特有の多くの「小ネタ」を組み合わせた記事ですがご紹介いたします。
