1年半前に「65か月間」が、「24~30ヶ月以内」へ大幅加速
陸車を謀総長が大号令で「先駆者」装備を目指す
概念的なご説明で良く分からない短縮策ですが・・・
今日の本題である、どのように短縮を可能にするかに関し記事は、Alex Miller 陸軍最高技術責任者(chief technology officer)へのインタビュー内容を引用し、非常に抽象的な説明ながら、以下のように説明しています
●参謀総長から、通常の防衛調達プロセスの複雑な迷路を進むのではなく、迅速に行動して良いものを手に入れるよう指示された。計画承認後、10年かけて技術を成熟させ、起こり得る全ての清在的リスクを把握したと連邦政府を安心させるような手法では、変化の激しい今の環境に即した装備は入手できない、とも言われた
●更に参謀総長は、リスクは常に存在するから、責任を持って現実的にリスクを負うなら受け入れ、ゼロリスクを追及して全てのリスクを管理しようするな、とも言われた。各部署用のポリジーや規制に縛られるべきではないし、法的、道徳的、そして許容できる利用可能なものはすべて活用せよとも指導を受けている。
●このレベルでプロジェクトを迅速化するためには、陸軍は産業界と従来とは異なる連携を模索する必要があり、例えば、性能のトレードオフ関係にある部分の処理を、官側が知ったかぶりをするのではなく、産業界のアイディアに任せることで、良い方向に迅速に進む可能性もある
●例えば、企業連合に部品や部材を選択させることで、現実的なサプライチェーン構築を迅速化し、結果としてサプライチェーンの安定性と柔軟性を高めるために活用する手法も考えうる
●一例として、General Dynamics Land Systems (GDLS)社と早ければ5月に契約する予定だが、GDLS が自発的に組織編制したり人材配置することを許し、官側の過剰な縛りをなくして柔軟性を与えることで、様々な決定や技術導入の迅速化する方向を考えている。官側が過剰に解決策を指定しない手法だ
●このやり方は、現場責任者が適切なリスクを負うことを許容する、従来ソフトウェア開発に採用されてきた手法だが、この考え方を高レベルの承認が必要だったハードウエアにも生かしたい。開発初日からデザイナー、テスター、ユーザーがー丸となって取り組む体制にする計画だ。
●以上で説明した方法が実現できれば、物事を違うやり方で進める先駆者的プロジェクトになる。プロセス変革とイノベーションの先駆者として、他の開発プログラムに対し、「あなたも同じことができる」と言えるようになる
以上が、当初「65か月間」だった開発期間を、約1/3近くに短縮可能と米陸軍が主張する「理由」で、全く理解できないのですが、追及している「近代化改修」内容は、以下のように2024年春の段階と変わっていない(進展がない?)印象です
2024年5月時点での改修方向
●Bradlley 歩兵戦車両の後継車両(2027年に機種選定完了し、20230年頃から部隊導入)とタイミングを合わせて部隊配備したい(→この部分は今も同じ)
●今後 18か月間をかけ、「戦車内の自動装でん装置」「新たな駆動機関(powertrains)」「active protection systems」等の技術成熟度を確認して高め、「M1E3」に搭載したい。特にウクライナの無人機脅威の教訓から、「Active Protection System」は最も重視される要素の一つ
●機動性向上の点から、単体量を現在の73トンから 60トン程」に抑える野心的な構想を持っており、無人や遠隔操作タレットも検討対象
●燃費改善や静粛性追求のためハイブリッド推進機関も検討対象となっているが、瞬発力も同時追求
今回の技術責任者への聞き取りでも似た内容です
●本当に追求したいのは、「この40年間で駆動系や発電は何が変わったのか?」との疑問への回答
●更に重要な課題は、自動装填機能の搭載。ただ、戦車の自動装填装置は技術的に難しく、実現には時間がかかる。産業界がどう解決できるかを見極めたい
●Active Protection Systemを統合したい。現在は完全には統合されていない。
●車内人間工学や戦車制御システム、照準についても、急速に改善できる可能性がある
●120mm滑空砲やそのフィン、スカートなど、うまく機能する技術要素が数多くある
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M1 戦車は初期型「M1A1」が40年前に導入開始された装備で、最新型「M1A2」でも導入開始から25年以上経過している旧式装備で、基本的にはメーカー生産は終了し、米軍は車両を修理しながら共食いりサイクル活用している装備です
その大ベテランの最新型 M1A2の改修計画「M1A2 System Enhancement Package」は、迷走を重ねた末に2023年秋に実然中止が決定され、米陸軍の「存在意義をめぐる迷走」の象徴とも「やゆ」される中、打ち切りと同時に持ち上がったのが、戦車の機動性や生存性を追及する、本日ご紹介している「M1E3」計画です
下に列挙した米陸軍関連の過去記事が示すように、戦車も装甲車も攻撃へりも大砲も、迷走を重ね、やり直しを繰り返し、予算だけたっぷり消費して「もの」にならないのオンパレードです。そして今での止められずに、全てが3年後に結論・・・みたいな状況です。ですから、ほとんど話題にもならない今の米陸軍です
再来像が描けない米陸車の迷走
「迷走米陸車M1戦車の改修にM1E3計画」→https://holylandtokyo.com/2024/06/19/5977/
「今度は極超音速 155mm砲弾を目指す」→https://holylandtokyo.com/2024/08/27/6204/
「3000億円投入済もFARA 中止」→https://holylandtokyo.com/2024/02/22/5567/
「射程1000マイルの巨砲開発中止」→https://holylandtokyo.com/2022/05/30/3281/
「とん挫済:軽戦車MPF」→https://holylandtokyo.com/2022/03/29/2914/
「やり直し歩兵戦闘車 Bradley 後継選定」→https://holylandtokyo.com/2020/07/21/577/
米陸軍全体では、・・
「陸軍2024年に部隊大幅削減含む改編不可避」→https://holylandtokyo.com/2024/01/04/5394/

