米空軍協会AFA発行の月刊雑誌Air Force Magazineの1月号が「Electric Warfare Meets Austerity」とのタイトルで、大規模航空作戦を前提に生きてきた米空軍電子戦関係者の現状と不安な将来を紹介しています。予算縮小の中で不正規戦対応を軸にローコストな新装備を求められる様子を描いています。
写真左から
EF-111
F-4G
EC-130H
米空軍電子戦部隊の状況は・・・
●ステルス戦闘機や爆撃機の登場を受け、かつてのエスコート電子戦機(EF-111, F-4G)は引退済み。
●空軍の持つ電子戦機はEC-130Hが14機のみ。同機は18年間ほぼ休みなく世界中で活動を続けており、配属されている兵士は母基地で過ごす時間と展開地での時間比率が1:1との異常な不在率の激務にさらされている。
●空軍の電子戦ノウハウを持つ者は、海軍のEA-6プラウダに搭乗させてもらい、必要時は空軍の作戦を遂行している。
●海軍が現在の120機の4人乗りのEA-6から、90機の2人乗りEA-18Gへ機種更新を進めていくと、空軍隊員が搭乗する機会は減り、空軍のノウハウが失われる恐れ有り。
写真左から
EA-6B
EA-18G
将来の空軍電子戦装備は・・・
●過去に2回、B-52を大型スタンドオフ電子戦機に解像しようとする検討があったが、2回とも経費等の関係で断念された。スタンドオフ電子戦は海軍機に頼るしかない状況
●米空軍は今、出来れば既に市場にある装置を活用した低価格の電子戦ポッドを求めて企業に打診している。そのポッドはA-10やF-16に搭載でき、不正規戦に敵が使用するローテクで非対称な脅威を無力化することが求められる。その任務は路肩爆弾の起爆阻止や通信遮断などであるが、多くの点で最新SAM:SA-20を麻痺させるより困難である。
●空軍参謀総長は2012年までの現場配備を目指すこの計画に、単に良い装備を作るのではなく、敵によりコストを強いるような物を考えるよう指示している。
写真左から
JASSM
MALD
海軍EA-18Gの空軍保有は予算上無理である・・・
●一方で戦闘機とを全機ステルスにする計画は大幅に遅れている。非ステルス機が敵の強力なハイブリッド防空網を突破して攻撃する場合は、まずEA-18Gに突破口をあけてもう。
●次に、無人の空中発射型デコイECM装置MALD(Miniature Air Launched Decoys)を投入して相手を攪乱し、またステルス巡航ミサイルJASSM(Joint Air-to-Surface Standoff Missles)が敵防空網や指揮機能を破壊する。
●使い捨てとなるMALDには弾頭を搭載する検討もなされている。また無人機に電子戦攻撃EAの能力を付与するMQ-Xのコンセプトも練られている。
陸軍も電子戦に取り組んで・・
●仕掛け爆弾対策に陸軍も独自の対策を考えており、無人機の活用もその一つ。空軍がノウハウを伝授することもある。
●空軍は、第3者的組織が4軍を統制するより、現在の協力関係で電子戦を進めた方が実際的だと考えている。米空軍は現在、電子戦ロードマップの作成に取り組んでいる。
電子戦・・・長らく耳にしなかった言葉ですね・・・。「バランスのとれた戦略」とは言いつつも、切ない感じが漂う記事でした。
(付録)QDR対中国の新作戦構想に関する部分(Holyland推定)
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-05
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