無人機MQ-9の対中国海上作戦への応用演習

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「Exercise Agile Reaper」を西海岸海軍基地を中心に
中東だけじゃなく、アジア太平洋での有効活用を探る

Agile Reaper3.JPG24日付米空軍協会web記事は、過去20年間の対テロ作戦で大活躍した無人機MQ-9を、対中国を想定したハイエンドな海上作戦で活用する戦術を検証する演習「Exercise Agile Reaper」の様子を断片的ながら紹介しています

無人機MQ-9、通称「Reaper」は、ステルス性もなく低速度で飛行することや、電子戦に脆弱と見られており、高度な防空網を構成する中国らロシアとの本格紛争では出番がないとみる向きが多く、能力向上計画もなく、米空軍や軍需産業界でも厳しい環境でも活動できるMQ-9後継機の検討が始まっています

Agile Reaper2.jpgそれでも約250機もあるMQ-9を活用できるはずだと、MQ-9関連教育を担当するニューメキシコ州のHolloman空軍基地の部隊が、海上作戦における「strike coordination and reconnaissance」や「combat search and rescue」などなどに、その航続性能と長時間在空能力を生かした運用法教育シラバスを考案して米空軍に正式承認されたことで演習「Exercise Agile Reaper」につながったようです

細部については明らかにされていませんが、3機のMQ-9が加州Point Mugu海軍航空基地を拠点に、空母戦闘群や潜水艦など米海軍アセットや、特殊作戦部隊や海兵隊、C-130輸送機なども参加して、9月3日から29日にかけて演習が行われたようです

また参加MQ-9部隊である第29攻撃飛行隊は、同飛行隊長が語る「数年前から取り組んできた」より軽快な機動展開を可能とする態勢を準備していたようで、中東への展開とは異なる部隊の心構えもあるようす。MQ-9にも大いに期待したいと思います

24日付米空軍協会web記事によれば
Agile Reaper5.jpg21日のインタビューで第29攻撃飛行隊長のBrian Davis中佐は、MQ-9操縦者やセンサー捜査員の教育プログラムに約1か月間の期間を加え、より複雑な作戦地域を想定した内容を付加したと説明してくれた
そして「海上阻止や多くの緊急対応能力を多く取り入れ、strike coordination and reconnaissance能力をさらに強化し、combat search and rescue能力にも力を入れた」と語った

演習「Exercise Agile Reaper」はこのMQ-9の新戦術に焦点を当てた初の演習で、中東での作戦からの転換を意図したものであり、演習用に隊員が作成した演習ワッペンには、MQ-9と中国の形が赤くシルエットで描かれている
同飛行隊長は更に、「この演習は、我が部隊が世界中どこへでも、未経験の場所へでも迅速に機動展開できることを示す良い機会であり、統合戦力に海洋作戦状況を提供する能力を示すチャンスでもある」とアピールしている

Agile Reaper.jpg演習の細部について同隊長は言及を避けたが、MQ-9は米海軍がどこを攻撃すべきかを判断する情報提供で貢献していると述べ、strike coordination and reconnaissanceで特定海域の海面状況を把握して有軍における飛行や攻撃行動の可否判断を支援するほか、近接支援や敵の高速艇への対処作戦にも関与している模様
また同隊長は、「他の米空軍アセットと比較して航続距離が長く、空中給油機などの支援なく有人機では難しい連続行動が可能である。演習には2000nm飛行して参加したことで関係者から驚かれた」と述べ

更に新たな指揮統制、目標照準、航法方式のため、宇宙アセットとも連接していると述べ、海軍航空基地で衛星通信アンテナを設置していると説明してくれた
機動展開容易な無人機管制装置を試す機会も演習で得られたと語った同隊長は、従来の大きなコンテナ内の操縦装置を必要としない形でMQ-9操作を行ったと説明し、「我々が迅速に展開を完了し、MQ-9の運用を開始し始めたことで、他の演習参加者たちを驚かせた」と様子を振り返った
そして今回の演習の教訓を、教育プログラムに反映して改善を進めたいと述べた
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Agile Reaper4.jpg「演習に2000nm飛行して参加した」ということは、例えばグアム島や南太平洋の島国から発進し、広い西大西洋の特定地域の海面状況監視を担当して味方の移動の安全を確認したり、攻撃目標を探知して海軍に伝達したり、小型目標であれば自ら攻撃するのかもしれません

ステルス性がなくても、なるべく海面を低空で飛行し、必要時に監視のため高度を上げるなどの運用により、残存性も向上できるでしょうし、敵も攻撃すれば自らの位置を暴露するので、割り切れば無人機の気軽さを有効に活用できる場なのかもしれません

れにしても中国の形を赤く描いた「演習ワッペン」とは・・・。少なくともオバマ政権時代には政治的配慮から絶対許されなかったデザインでしょう・・

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「CSBAが米空軍の将来体制を提言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-24
「ハドソン研:68機MQ-4では不十分」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-23
「米海軍のMQ-4グアム配備」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-29
「CSISが米空軍の無人機用に苦言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-31

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