1日付ニューヨークタイムズ紙によると、2月1日に発表されたQDRやBMDRと並んで主要な国防政策報告書となるNPRの議会への報告が、昨年末と本年1月末に続いてまとまらず、3回目の延長に入ることになりました。
本件に関しては、18日にバイデン副大統領が米国防大学での講演で,、ゲーツ国防長官を前にして大幅な核兵器削減を明示していたことから、てっきり手打ちが済んだのかと思っていましたがさにあらずでした。最終段階でホワイトハウスと国防省側で合意が得られなかったものと思われます。
(参考)「米副大統領が大幅な核兵器削減を公言」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-19
NYT紙を紹介する産経ネットによれば・・・
●NPR策定作業はほぼ完了しているが、未決着の問題に関してオバマ大統領は1日にもゲーツ国防長官と会談し、今後、数週間かけて最終判断する。
●今後5~10年の核政策指針となる8年ぶりの「核戦略体制の見直し」(NPR)報告で、核兵器数千発を恒久的に削減する方針を打ち出す。
●ブッシュ前政権が提唱していた地下貫通型の核弾頭など、新型核兵器の開発を行わない方針も盛り込む。
●核開発を進めているイランや北朝鮮への対応を不安視する声もあることから、オバマ政権は先制不使用宣言は拒否する。民主党に核攻撃の抑止を「唯一の目的」と宣言するよう求める声がある一方、国防省などは、生物・化学兵器などで米国を脅かす恐れのある敵に対する核兵器使用の選択肢を残すため、あいまいな表現とするよう主張しているという。
●現在の焦点は、NPRが、オバマ大統領が主唱する「核兵器なき世界」の実現と、同盟国を守る抑止力維持のバランスをどうとるのかにある。
●ゲーツ国防長官は抑止力維持のため、老朽化した核弾頭に代わる代替核弾頭開発を提唱しているが、バイデン副大統領をはじめホワイトハウスは「核不拡散に向けた国際社会での米国の影響力が低下する」(バイデン副大統領)と開発に反対していた
●整理すると、ホワイトハウスと国防総省が(1)抑止力維持のための代替核弾頭開発を続けるのか(2)核の先制不使用を宣言するのか-という点で対立する構図がある。
日本周辺の核抑止の一角を担ってきた、潜水艦発射型巡航ミサイル搭載の核弾頭はとっくの昔に削減の方向で結論が出ていたのでしょうか・・・
(付録)
「QDRから日本は何を読みとるべきか」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07
QDRにおける対中国の新作戦構想に関する部分(Holyland推定)
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-05
「Joint Air-Sea Battle Conceptは平成の黒船」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-09
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