前回2023年9月の第1弾「Victus Nox」では27時間要したところ
本来は2025年打ち上げ予定も契約業者トラブルで遅延
米宇宙軍は、2023年9月にプロジェクトの第1弾である「Victus Nox」計画で、命令から27時間での衛星打ち上げを成功させましたが、命令からより短時間で、より実戦的な条件設定での「緊急衛星打ち上げ」能力獲得を目指すため、第1弾計画の打ち上げから3年の準備期間を要したものの、
様々な条件を厳しくしたプロジェクト第2弾「Victus Haze」計画での打ち上げに成功し、別衛星の点検等を目的としたRPO(ランデブー&近接運用)試験を今後行います
今回の「Victus Haze」計画に参加したのは、衛星(Pioneer satellite)を約17時間(16時間42分後)でNew Zealandから打ち上げた「Rocket Lab社」と、点検される役割を持つ衛星(Jackal spacecraft)を5月に打ち上げていた「True Anomaly社」で、両者との契約は2024年に完了していましたが、「True Anomaly社」の打ち上げロケットが不調で、2025年予定の計画が1年遅れたとのことです。
打ち上げ成功の声明で、宇宙軍は「今後両社はダイナミックに連携しながら、(RPO能力向上の基礎となる、)様々な想定シナリオの下でのspace domain awarenessとcharacterization
capabilitiesの実証を行う」と述べ、両社は「衛星の「TacRS:緊急打ち上げ」を即応可能で再現性のある能力にするため、宇宙軍のために必要なデータ、運用経験、および組織的知識を生み出す」とアピールしています。
なお本件を報じる22日付米航空宇宙軍協会web記事は、宇宙軍が「Victus Nox」と「Victus Haze」計画に加え、少なくとも以下3種類の「Victus」シリーズ「TacRS:緊急打ち上げ」計画を予定していると報じています。
「Victus Surgo」は、国防省のDIUと共同でのSpaceX利用の高機動性宇宙船打上げ計画
「Victus Salo」は、SpaceX利用のMIT製造の任務搭載物打ち上げ計画,
「Victus Sol」は, Firefly 社ロケット利用の作戦搭載物打上げ計画
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衛星の「TacRS:緊急打ち上げ」能力強化の話題は2年ぶりに取り上げますので簡単に振り返りますと、宇宙での戦いが激化する中、米宇宙軍は自身の衛星が「攻撃を受けたり」「機能不全になったり」、または「能力強化に緊急に追加衛星を配備したい」場合に、衛星を短時間で準備して打ち上げる必要がありますが、そのための能力獲得を目指すのがこの「Victus」シリーズ計画です。
宇宙軍トップのZaltzman大将は2年前に、「私は関係者に、何日単位ではなく、数時間単位に短縮するよう強く求めるつもり」と語っており、その要求レベルは極めて高いです。ただ、数時間でロケットや衛星が準備可能なはずはなく、例えば「Victus Haze」計画では、以下のような「事前指示や準備指示」が出ることになっています
2024年3月12日付記事「次のステップVictus Hazeへ」によれば
●衛星準備は、要請から1~1.5年以内に実施。NOX計画時と同サイズで異なる任務用衛星準備
●宇宙軍からの「hot standby態勢」指示で、ロケット提供者と衛星製造企業と地上管制施設(地上施設はHazeで追加)は、まず48時間で打ち上げ可能な待機態勢に入る。
●続く「alert態勢」指示で、「hot standby態勢」を30日間維持できる態勢に
●その後に出される「notice to launch」指示で、24時間以内に打上げ可能な態勢を確立
●軌道上に到着後48時間以内に任務遂行可能態勢を確立(今回は36時間で完了)
●他衛星に接近して当該衛星をRPO(rendezvous and proximity operations)する能力要求
米軍としては、SpaceX社だけでなく、複数の打ち上げ企業を活用して選択肢を確保しておきたいのでしょうが、今回計画が1年遅れ、「True Anomaly社」が当初予定のロケット企業からSpaceX社ロケットに乗り換えざるを得なかったように、SpaceXの圧倒的優位は如何ともし難いのが現状です
衛星緊急打ち上げ能力獲得へ
「次のステップVictus Hazeへ」→https://holylandtokyo.com/2024/03/12/5622/
「第1弾Victus Nox打ち上げ成功」→https://holylandtokyo.com/2023/09/22/5057/
「第2弾Victus Haze計画の企業募集」→https://holylandtokyo.com/2023/08/30/4992/
「2019年頃の検討状況」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-01


6月22日米宇宙軍のSpace Systemsコマンドは、人工衛星の「TacRS:Tactically Responsive Space mission:緊急打ち上げ」能力を強化するプロジェクトの第2弾である「Victus Haze」計画に関し、当初計画の2025年打ち上げからは約1年遅れとなったが、宇宙軍の命令から僅か約17時間後の6月19日に打ち上げた衛星が、任務遂行可能な態勢になったと発表し、今後同衛星が軌道変更等して別の衛星に対するRPO(ランデブー&近接運用:Rendezvous and Proximity Operations)実証を行うと明らかにしました。