剛腕Colby政策担当次官が上下院で説明
「第1次トランプ政権時の2018版NPRで十分だ」
新START失効や中国の核増強を踏まえた対応は検討中
両日とも「第1次トランプ政権が作成した2018年版NPRが十分な内容を含んでおり、正式な核態勢見直しを行う予定はない」、「第1次政権時に表明された関連諸政策は、非常に優れたものである」との基本的姿勢を説明しつつ、5日の下院軍事委員会では、(第1次政権時からの変化事項である)中国の急速な核兵器増強や新START条約失効を踏まえ、「公の場であるここでは触れることはできないが、いくつかの課題に焦点を当て、核戦略を検討しているところだ」と少し踏み込んだ説明をしています
この「核態勢の見直し:NPR:Nuclear Posture Review」は、5年から10年先を見据え、米国の核政策、戦略、能力、戦力態勢を定めた報告書で、国防省が、国務省やエネルギー省と協議の上策定されています。1994年に初作成され、以後2002年、2010年、2018年と2022年の5回作成されており、結果的には政権政党交代時に作成された形となっています。
2025年に誕生した第2次トランプ政権には、2026年1月発表のNSS国家安全保障戦略が「第1次NSS」と大きく方向性が異なっていることや、前述の「中国の急速な核兵器増強や新START条約失効」、また「仏の核増強と欧州前進配備構想」も踏まえ、新NPR作成発表を予想する声もあったようですが、今回は作成しない方針となった模様です
本件に関し3月5日付米空軍協会web記事は
●直近のバイデン政権作成2022年版NPRでは、核兵器は核紛争を抑止することを「唯一の目的:a sole purpose」とする「宣言に向け前進する」との主旨の内容が盛り込まれているが、トランプ第1次政権発足時の2018年版NPRはこの点に関し、「重大な非核兵器戦略攻撃を含む極限の状況において」核兵器の使用を検討するとの主旨が記されており、この点が特筆すべき差である。
●また2018年版では、紛争発生時に米国が核による先制攻撃を行う可能性も残しており、これは戦略的な曖昧さを残すための選択である
●現在進行中の関連大規模兵器プロジェクト、B-21爆撃機、長距離スタンドオフ兵器(Long-Range Standoff Weapon)、Minuteman III ICBM後継機、そして国家の核兵器C3システム近代化については、2019年版も22年版も同様に扱っており、各計画は進行中である
●2026年NSSが記載している「核戦力の近代化と適応:modernize and adapt our nuclear forces」との表現に関しては、Colby次官は「ご安心ください。核戦力は我々政権の最優先事項です」と議会説明している
●「中国の急速な核兵器増強や新START条約失効」への対応に関し、トランプ政権が核弾頭の増強や、爆撃機への核兵器搭載数量を増強するか依然不透明であるが、2019年版は「合意が遵守、予測可能性、透明性を確保することを条件に、軍備管理の機会を検討する用意がある」、「状況が許し、結果が米国、同盟国等の安保を向上させるなら、将来の軍備管理交渉に前向きな姿勢を示す」とも述べている。
●中国に関し、2026年NSSは中国核戦力について直接言及はないが、「対決でなく力により中国との紛争を抑止」、「戦略的安定、紛争回避、エスカレーション緩和に重点を置く」と記載し、2019年版NPRには「平和的な安保環境と関係安定追求のため、両国の核政策、ドクトリン、能力について中国と有意義な対話を追求」と記されている
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素人的には、最新の「米国の核政策、戦略、能力、戦力態勢を定めた文書」は、バイデン政権作成の2022年版NPRなのだから、2019年版NPRの内容をそのままコピペ流用する形でも、第2次トランプ政権用の2026年版NPRを示すのが「筋」ではないかと思うのですが・・・?
「2019年版の・・・の表現に基づき政策を進める」との説明で、米国社会では通じるのでしょうか?
過去のNPR(核態勢見直し)関連記事
「バイデンsole purpose断念」→https://holylandtokyo.com/2022/11/04/3888/
「ト1次政権NK核魚雷に」→https://holylandtokyo.com/2018/01/17/7086/
「ト1次リーク版NPR」→https://holylandtokyo.com/2018/01/15/7084/
「検討状況を長官語る」→https://holylandtokyo.com/2017/06/16/7276/
「ト1次政権NPR推測」→https://holylandtokyo.com/2017/02/10/7396/
新START失効関連記事
「失効に向けて」→https://holylandtokyo.com/2026/02/05/13899/
米国防省:中国の軍事力レポート関連記事
「2024年版」→https://holylandtokyo.com/2024/12/20/10484/
「2023年版」→https://holylandtokyo.com/2023/10/23/5162/
「2021年版」→https://holylandtokyo.com/2021/11/08/2409/
2022年版「核態勢の見直し(NPR)」関連の外務大臣談話
→https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/page4_005683.html


3月3日と5日の上院及び下院軍事委員会で、米国防省No3の剛腕実力者ながら、ヘグゼス国防長官と「必ずしも折り合いが良くない」と見られるElbridge Colby 政策担当国防次官が、これまで新政権誕生時に作成されることが多かったレポート「核態勢の見直し:NPR:Nuclear Posture Review」に関し証言し、