2014年のタイ軍事クーデターが大きな転換も
2011年「Pivot to Asia」以降でも東南アジアへの関心は右下がり
米国の「西半球重視」で東南アジアのユーラシア大陸国は更に
USAID(米国際開発庁)の実質的解体のインパクトも大きく
2011年に米国が打ち出した「アジア重視:Pivot to Asia」においても、所詮米国側の関心は、中国正面の第一列島線上にある国家である「フィリピン・台湾・日本」が中心であり、今後米国が新
国家防衛戦略NDSで「西半球重視」を打ち出せば、援助機関USAID解体による東南アジアへの関与の大幅減少もあり、タイを中心とするユーラシア大陸の東南アジアへの米国の関心はますます薄れる可能性がある、との地域専門家意見を紹介しています
1月5日付Defense-News記事概要を時系列でピックアップすると
●1833年→タイ(当時はシャム:Siam)が、アジア諸国として最初に米国と修好通商条約を締結
●1954年→米英仏豪NZとタイ・フィリピン・パキスタンが、対共産圏包囲網構築を目的とする「マニラ条約」を結ぶ(ベトナム戦集結の1977年まで。後にASEANに)
●1982年→米タイを中心とした「世界最大規模の多国間演習Cobra Gold」開始。現在も継続中
●2003年→米国がタイを「米国の主要非NATO同盟国:a major non-NATO ally of the United States」に指定
●2011年→米国が「Pivot to Asia」との表現でアジア重視打ち出す
しかし・・・
●2014年→軍によるクーデターでタイに軍事政権誕生
クーデター以前は米国がタイへの最大の武器輸出国だったが・・・
●2016年~22年で、中国のタイへの武器輸出約600億円←米国の2倍の額
(中国からタイへは:防空ミサイル、対空レーダー、戦車、今は最初の潜水艦対応中)
●2023年→タイからのF-35戦闘機8機売却要請を米国が却下
専門家やシンクタンクの分析
●IISS報告書(2024年)
・中国や北朝鮮からのミサイル脅威が高まっても、タイ政府は米軍がタイ国内に中距離ミサイル配備することを許可しないだろう
●豪州Lowy研究所
・米タイ軍事演習は、中国タイ演習に比して高度な中身だが、その差は縮まりつつある
・米中の争いが緊張を増す中でも、タイは中国側に傾斜しつつあり、台湾有事の際に、タイが米軍のタイ軍基地へのアクセスを認めない可能性が高いと米国は考えている
・米国は「印日韓豪」を重視しており、様々な議論の枠組みでも、フィリピンを除けば「東南アジア」はほとんど含まれていない
・トランプ政権によるUSAID(米国国際開発庁)の解体も相まって、米タイ関係は悪化し、米国の影響力は低下した
●米国シンクタンクAEI
・タイはシンガポールよりも北方にあり、他の東南アジアショックより中国に近く、物流等の面で
有利な位置。しかし両国の利害はもはや一致しておらず、「デカップリング」の大きなリスクにさらされている
・米タイ間の武器取引はさらに減少し、Cobra-Gold演習等の訓練も継続しながらも縮小方向に向かい、数少ない東南アジアの作戦拠点候補であるタイのウタパオ海軍航空基地へのアクセスも一層減少のリスク大
・情報機関同士の情報共有や交換に支障が出ることを関係者は強く懸念している
・2011年の「Pivot to Asia」が打出し当時は、南アジアと東南アジアが現在と比較してより大き
な位置を占めていたが、焦点は東へと移り、現在では特に、日本から台湾、フィリピンに至る中国沿岸を取り囲む「第一列島線」に重点が置かれている
・新国家防衛戦略NDSで東南アジアは、以前よりも小さな限定的役割を果たすだけ。完全撤退とは言わないが、一部からの部分的な撤退の様相を呈するだろう
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中国の経済崩壊や、中国と他国との外交関係の先細り感を、タイはどのように見ているのでしょうか。
人権問題や民主的選挙にうるさかったバイデン政権など米民主党政権と異なり、トランプ政権は軍事政権であってもタイが望めば「よりを戻す」ことに「ためらい」はないと思うのですが・・・
タイと中国や米国関連
「米国がF-35売却拒否」→https://holylandtokyo.com/2023/05/30/4702/
「Cobra Gold演習がコロナ前規模に」→https://holylandtokyo.com/2023/03/02/4349/
「対中国で分散作戦演習JPMRC」→https://holylandtokyo.com/2022/11/14/3900/
「中国戦車追加購入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-04-05
「中国潜水艦購入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-07-13
米国と比以外のASEAN諸国関係
「米軍艦が8年ぶりカンボジアへ」→https://holylandtokyo.com/2024/12/17/10464/
「インドネシアは塩対応」→https://holylandtokyo.com/2023/05/24/4640/
「カンボジアに中国軍施設」→https://holylandtokyo.com/2022/06/15/3354/


1月5日付Defense-Newsが米国とタイ関係の希薄化を取り上げ、米国にとってアジアで最も古い70年以上の歴史を持つ同盟国ながら、特に2014年のタイ軍事クーデターによる両国関係の冷却と、それを受けたタイの中国傾斜に伴い、武器輸出から共同演習から情報共有等々に至るまで、様々な分野で両国関係が長期低落を続けており、対中国や北朝鮮を見据えた航空機や各種ミサイル展開拠点候補としてタイは重要な地政学的位置にあるはずだが、