米海軍次期艦載機F/A-XX予算はF-47の陰でお預けへ!?

まだ最終決定ではないが下院調整は最低限の計画維持費のみ
米国防省の主張「6世代機2機種同時開発は無理がある」に軍配か
引き続きF/A-XX応援議員団は本格予算の確保を狙うが

12月9日付DefenseOne記事は、同月7日(日曜日)夜発表された2026年度予算案に関する米下院の2026年国防権授法NDAA調整案を紹介し、下院案は米国防省の考えに沿って「米空軍のF-47戦闘機の開発を全面的に支援する一方で、米海軍のF/A-XXに関しては、計画を温存するに最低限の資金しか用意していない」と報じています。

F/A-XXは、米海軍のFA-18艦載戦闘機と電子戦機EA-18Gの後継機となる次期空母艦載戦闘機で、米海軍内での機種選定(最終候補はBoeing案と Northrop Grumman案)は終了済で、米国防省の承認を得て2025年3月には発表と言われていたものですが、

国防省が2026年度予算案を提出した6月に国防省関係幹部が、「我々はF-47優先を決断した。それは米国産業基盤が1つのプロジェクトしか迅速に遂行できないとの認識の下、大統領選定のF-47に全力を注ぎつつ、将来に備えF/A-XX計画を(最低限の予算で)維持することを意味する」と説明し、「F/A-XXは温存予算のみ案」を出していた事業です。

しかしこの国防省予算案に対し、「F/A-XX強力推進派」である共和党議員団が、上院と下院それぞれで「F-47とF/A-XXの同時推進」を目指して様々に活動し、国防省予算案で積まれた「F/A-XX温存予算のみ案:約110億円」を、「F/A-XX導入開始案:1100億円~2100億円」に差し替えようと、これまで押し合いへし合いを続けているところです

12月9日付DefenseOne記事記載の予算案金額から振り返ると
●3月米海軍提出案(6月の国防省予算案もほぼ同額):約110億円
(国防省の「FIA-XX最低限の温存予算のみ」方針に沿ったもの。なお、2025年度予算は約6700億円)

●6月下院の推進派が押し返した調整案:約1600億円
●同時期に上院推進派が押し返した調整案:約2100億円

●11月、ヘグゼス国防長官がホワイトハウスの懸念も踏まえ、上下院議員に対し以下の要旨の書簡送付→「国防総省は米国産業基盤の現状を踏まえ、2つの第6世代機計画の同時進行を懸念し、F/A-XX計画を再評価する時間を確保する、との予算案提出時の当初案を強く支持し採択を要請する」
●12月7日公表の下院NDAA修正案:約110億円
/////////////////////////////////////////////////////////////

ちなみに今年4月に米海軍航空作戦部長(少将)が語ったFIA-XXイメージは
●2040年代に予期するハイブリット航空団(有人と無人航空機の完全統合部隊)への架け橋
●Al等の新機能が搭載され、計画中の海軍AI操作無人機CCAや、将来の大型無人機など、有人と無人航空機をより密接に連携運用する新時代へと海軍を導く
●またFA-XXは無給油での航続距離が25%以上伸びる(ご参考情報:F/A-18の航続距離は約1275nmで。F-35Cの航続距離は約1200nm)

現時点では、あくまで米下院の2026年国防権授法NDAA案が「FIA-XX最低限の温存予算のみ」と決まったのであって、米下院の最終予算案で変更になったり、秘密口座経由の資金提供が行われたり、上院がひっくり返す可能性も残されているのですが、何となくF/A-XXへの「追い風」は弱そうで、以下にご紹介する専門会見に賛同する「まんぐーす」は、それで良いと思います

●ハドソン研究所Bryan Clark研究員(海軍OB)の2020年下院証言→米海軍財政の厳しい現実からすれば、新しい機体を開発導入することは事実上困難で、FA-18派生形にならぎるを得ないはず。FA-18製造ラインを維持すべき(残念ながら2020年にFA-18製造終了済)

●元海軍次官Bob Work氏→海車と海兵隊がF-35のB型とC型、更にFA-18の3機種運用になって維持備面を含めて既に難しい課題に直面しているのに、4機種目のF/A-XX導入に大きな懸念を持っている。航続距離が必要なら無人機が適切なことは各種分析から明白であり、無人機開発&導入に進むべきだ

●元米海軍トップGarry Roughead退役大将(無人艦載攻撃機X-47Bを開発推進していた現役時から、米海軍内の無人攻撃機に対する消極姿勢を問題視)→2012年に無人艦載機が初飛行や着艦試験を成功させたのに、その成果は放置されたままだ。これほど重要な新技術に、これだけ意情な姿勢は許しがたい

米空軍F-47優先で後回し?の米海軍F/A-XX
「米海軍の無人僚機CCAはどうなる?」→https://holylandtokyo.com/2025/11/07/13028/
「F/A-XXは実質決定済!?」→https://holylandtokyo.com/2025/09/02/12672/
「間もなく発表!」→https://holylandtokyo.com/2025/04/14/11245/
「海軍トップ:選定は予定通り」→https://holylandtokyo.com/2024/10/10/6403/
「企業:海軍から選定計画変更の通知なし」→https://holylandtokyo.com/2024/08/19/6176/
「依然として検討中」→https://holylandtokyo.com/2021/04/06/100/
「米議会がFA-XX構想遅れに不満」→https://holylandtokyo.com/2020/06/30/634/

世界の安保・軍事情報を伝えたい ブログ「東京の郊外より」支援の会
米国を中心とした世界の軍事メディアが報じている、世界の標準的な安全保障情報や軍事情報をご紹介するブログ「東京の郊外より・・・」を支援するファンクラブです。ご支援お願いいたします。
ブログサポーターご紹介ページ
お支援下さっている皆様、ありがとうございます!そのお気持ちで元気100倍です!!!●赤ちょうちんサポーターの皆様(3000円/月)●ランチサポーターの皆様(1000円/月)mecha_mecha様kenj0126様●カフェサポーターの皆様(...
タイトルとURLをコピーしました