C-5は今後20年、C-17は今後50年延命使用との気の遠くなるお話
NGAL は2038年導入始で、274機を50年かけ調達との遠大?な構想
戦闘機と爆撃機優先で輸送機は成り行き任せなお話です
以下では、11月20日付米空軍協会 web 記事が紹介する米空軍の「大まか機種換装構想とスケジュール感」概要をご紹介しつつ、対中国で極めて重要な開発案件にもかかわらず、戦闘機や爆挙機の陰に追いやられ、「余りやる気を感じない」&「余りにも他の主要事業の隙間狙い事業感が漂う」「悲哀に満ちた」と「まんぐーす」の率直な感想を持つ本NGALプロジェクトを取り上げたいと思います。
NGALの「大まか機種換装構想とスケジュール感」
●NGALの要求性能を2027年度に取りまとめ、2038年までに部隊配備を開始し、2041年までに初期運用態勢IOCを確立する。
●現有のC-5輸送機52機とC-17輸送機22機の合計274機を、274機のNGALに今後50年かけて1対1で機種更新することとし、2038年に導入開始後は、B-21爆撃機並みのゆったり調達ペース(毎年約7.4機導入。ちなみにKC-46 給油機は年15機ペース)
●NGALのゆっくり調達計画から、C-5輸送機は今後20年間(2045年まで)、C-17輸送機は今後50年間(2075年まで)継続使用する必要があり、少なくともC-17 は延命改修SLEP が必要だ
が、C-141 延命改修時に行った機体延伸のようなコスト増につながる大規模改修は考えておらず、骨格部材と機体外板交換程度を想定。エンジン換装は不明
●C-5輸送機は、2010年代に1.5兆円と10年かけ実施したC-5Mへの改修&延命改修(エンジンとアビオニクスを交換し、機体構造を強化)が期待した成果を上げておらず、現在稼働率を55%に引き上げる「Drive to 55」計画を推進中も、今後 20年間(2045年まで)使用可能かは現時点で不明で、精査が必要
NGAL関連の過去関連情報
(20日付米空軍協会 web 記事とブログ過去記事より)
●前政権のKendall 空軍長官らは2023年に、次期給油機NGAS (Next-Generation Aerial refueling System)やNGALにはステルス性が必要と考え、国防省 DIU と協力しBWB
(blended wing body)形状機体のプロトタイプ機作成と2027 年までのデモ飛行実施を、ベンチャー企業「JetZero」社に委託すると発表
●その際 Kendall空軍長官や空軍関係者は、「BWB 機は空気抵抗を3割、燃料消費を5割削減の可能性を秘め、航空作戦に変革」、「国防省と民間航空業界の両方に将来航空機の選択肢提供」、「航続距離、在空時間、搭載輸送の効率の向上と、兵輸送のリスク低減に大貢献」・「燃料消費減で気候変動対処」、「民航機との技術共有で Win-Win」、「機体の大量生産に目途が立ちつつある」等とアピールし、約 400億円を投資
●ただし現在米空軍は、Z4として知られる「JetZero」社開発中の機体が、将来のNGAS やNGAL の基礎になるかどうかについては明言を避けている
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BWB (blended wing body)形状機体はステルス性もある野心的な開発であることから、前政権末期のNGAD(次期制空機:現在のF-47)開発棚上げ決断と共に、勢いを失ったと報じられていましたが、トランプ政権による突然の「F-47 開発発表」で、その今後が見えなくなっていたところでした
今回発表になった、次期輸送機NGAL の「2038年から約50年かけ導入」の「13年後から細く長く」案からすると、戦闘機と爆撃機開発で資金が枯渇し、将来給油機NGASと共に、BWB型の次期輸送機 NGALも「見込み薄」になったのでしょうか? 時間をかけて関連技術の「熟成」を待つ構想なのでしょうか?
BWB (blended wing body)機開発関連の記事
「BWB 型給油機は失速?」→https://holylandtokyo.com/2024/10/16/6370/
「ベンチャーとBWB デモ機を」→https://holylandtokyo.com/2023/08/21/4962/
「ステルス給油機検討開始」→https://holylandtokyo.com/2023/02/13/4281/
「長官が積極発言」→https://holylandtokyo.com/2023/01/25/4156/
「KC-Yと-Zの予定に言及」→https://holylandtokyo.com/2022/08/26/3558/
「BWB 機の技術動向調査」→https://holylandtokyo.com/2022/08/05/3508/


11月18日、米空軍がC-5とC-17 輸送機の後継として導入予定の次期輸送機(NGAL:Next Generation Airlifter)に関し、大まか機種換装構想とスケジュール感を示し、関係企業からNGAL機体とC-5やC-17への延命対策(SLEP: service life extension program)に関するアイティアを、来年1月26日まで期限で募集開始しました。