中国対処は依然として最重要事項だが
米国第1主義では中南米での麻薬、移民、パナマ運河問題も
現在の米軍能力で中南米までカバー可能か?
ラテンアメリカ対処には車事力と経済政策の両輪が不可欠も
大統領就任初日にトランプ政権は、米軍北米コマンドに対し、「違法な大量移民、麻薬密売、人身売買、その他の犯罪行為を含む侵略行為を撃退することで、国境管理を厳密にし、米国の主権、領土保全、安全保障を維持せよ」と求める大統領令を出していますが、その流れを新しい国家防衛戦略NDSで明確にするだろうと、記事は国防省関係者や専門家の意見を踏まえて説明しています
無論、第1次トランプ政権やバイデン政権がそうしてきたように、対テロ戦争からの方向転換と対中露を念頭の本格紛争対処重視の看板に変化はなく、軍事力の前方投射態勢維持、共通の敵への同盟関係構築強化、強力な核抑止力の維持、主要人口密集地ミサイル防衛能力構築の流れにも変化はないものの、西半球により視線を向けること、つまり「アメリカの裏庭」と言われるラテンアメリカでも、中国の悪意ある活動に対処する・・・との言いぶりで説明するだろうとも記事は紹介しています
背景には、「長期にわたる中国、ロシア、イランのラテンアメリカ浸透工作に、米国政府はほとんど効果的対策を打ってこなかった」と専門家が指摘する現実があり、これを受けて新しい国家防衛戦略 NDSでは、「殺傷力を高め、侵略を抑止し、敵に対抗し、米国の国境を守るという軍の計画が示されている」模様で、
記事は具体的な行動の事例として・・・
●麻薬カルテル、特に中国とつながりのあるカルテルへの対応を引き続き強化。例えば、9月19日に行われた3度目の麻薬密輸船とみられる船舶への攻撃のような作戦(麻薬組織はアルカイダのように米国を攻撃しておらず、船舶攻撃の法的正当性は議論があるが・・・)
●パナマ運河への影響を劇的に拡大してきた中国の影響力排除。同運河を支える重要な 2港湾の運営を、中国企業から米国企業 BlackRock へ移管推進。また、パナマ政府の「一帯一路」構想からの完全離脱・・・などを挙げています
一方で記事は「米本土と西半球防衛の重視」の懸念事項として
●ラテンアメリカ地域への支援には、軍事力だけでは「片手落ち」で、官民が一体となった経済的支援パッケージが不可欠。そうでなければ米国は中国との競争に負け、多額の資金と軍事資源を無駄にする
●現状でも対中国と中東とウクライナ支援で手一杯の米軍に、追加でラテンアメリカへ戦力派遣要求をすれば、世界全体で米軍の即応態勢を損なうことは確実で、「西半球重視」に見合った追加資源を国防省に提供することが不可欠
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まんぐーすを始め、多くの日本人にとって、「アメリカの裏庭」と言われるラテンアメリカは未知の世界で、フェンタニルに代表される麻薬問題や移民問題を直感的に理解することは難しいと思います。
そんな中でも、「間もなく発表される:expected to be released soon」新しい国家防衛戦略(NDS:National Defen se Strategy)には、「西半球」との言葉や中南米に関する記述が増えているでしょうから、このご紹介記事が軽い予備知識となれば幸いです
ヘグゼス国防長官が、9月30日に全世界で勤務している米軍の将軍数百人を、一堂に集めてヴァージニア州の海兵隊基地で行う異例の会議は、NDS関連かもしれませんね・・・
それから、もしかしたらと思うのですが、米国のインテリジェンスの世界では、「中国経済の崩壊」に伴う「中国軍事力張り子のトラ」論が台頭しているのかもしれません。
過去の国家防衛戦略
「バイデン2022国家防衛戦略NDS」→https://holylandtokyo.com/2022/11/01/3818/
「トランプ2019国家防衛戦略」→https://holylandtokyo.com/2018/01/23/7090/

