セスナ改良無人輸送機を太平洋大演習でテスト

夏の米空軍大演習REFORPACでの知られざるハイライト
ハワイ諸島を西太平洋の島々に見立てグアムから遠隔操作
戦略空輸はC-17等の大型機で、端末の空輸を無人機で

9月4日付DefenseOne記事は、日本を含む同盟国を巻き込んで米空軍が総力を挙げたアジア太平洋地域での大演習REFORPAC(Resolute Force Pacific)で、「影の重要演習項目」として、ハワイの島々を西太平洋地域に点在する対中国の米軍作戦分散拠点に見立てた、セスナ機を改良した自律型無人輸送機を用いた小規模拠点への空輸テストが、機体を約7000㎞離れたグアム島から遠隔操作する方式で、初めて太平洋地域で行われたと紹介しています

使用された機体は、電動無人機開発で過去にご紹介したことがあるJoby Aviation社が改良した「Cessna 208B Grand Caravan」で、これに同社開発の「Superpilot software」を搭載して自律型空輸任務を可能にした機体とのことで、テストの安全を確保するため「人間の操縦者が各機体に同乗して飛行を監視したが、多少の微修正はあったものの、ほぼ遠隔操作と自律飛行で試験飛行をこなした」とアジア太平洋空軍報道官は説明しています

同報道官はまた、米空軍は以前から無人輸送機の試験を行ってきたが、太平洋戦域という正に実戦空域で、「長距離移動、柔軟な経路変更、様々な気象条件への対応、同盟国等との連携作戦など、現実世界の課題を想定」して試験が行われた、とメディアに解説しているようです

「ハワイの島々を西太平洋地域に点在する対中国の米軍作戦分散拠点に見立てた試験」は、もちろん米空軍全体が対中国での戦力残存性強化のために取り組むACE構想(Agile Combat Employment)実現に向けたものであり、米軍統合部隊の機動性を高め、柔軟で生存性に優れた部隊活動を追求する一環です

また、セスナのような自律型無人輸送機を、よりリスクの高い環境の分散した地域への短距離輸送に投入可能とすることで、「C-17やC-130のような大型機を戦略的長距離空輸に集中させ、また有人空輸機部隊を小規模&近距離の空輸任務から解放可能になる」との狙いを広報担当者は語り、「REFORPACでの成果は同無人輸送機の能力を裏付けるものとなった」と演習を振り返っています。
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今年のREFORPAC演習ではJoby Aviation社改良の「Cessna 208B」が使用されましたが、2024年の別の演習ではReliable Robotics社製の「無人機C-208」が既に試験されており、また米空軍で革新的技術の早期導入を担う部署AFWERXは、Joby Aviationを含む複数企業と電動航空機などの実験にも取り組んでいます

セスナ機や「無人機C-208」の搭載量や搭載可能重量は限定的で、まだまだ課題も多いのでしょうが、様々な形で無人機の活躍の場が急速に広がっており、今後も注目していきたいと思います

電動ヘリ&固定翼導入検討「Agility Prime」計画
「固定翼型3か月のお試し試験終了」→https://holylandtokyo.com/2024/02/08/5523/
「固定翼機Aliaの試験開始」→https://holylandtokyo.com/2023/12/05/5267/
「Joby社電動ヘリで試験開始」→https://holylandtokyo.com/2023/10/05/5076
「電動ヘリeVTOLでACE構想推進へ」→https://holylandtokyo.com/2021/04/13/105/

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