トヨタも約600億円出資のJoby Aviation社から
米空軍は他にも複数の企業と電動ヘリ(eVTOL)購入契約済
空軍研究所AFWERXチームの「Agility Prime」計画で
9月25日、米空軍が4月に契約したJoby Aviation社から、6つの回転翼を持つ電動ヘリ(eVTOL)初号機を受領し、加州Edward空軍基地でお披露目されました。全米で初の「電動空中タクシー:electric air taxi」機体の「納入」だと同社CEOがアピールしています
米空軍が推進するACE(Agile Combat Employment concept)構想では、部隊の分散運用を追求しているため、米空軍の電動ヘリ導入プロジェクト「Agility Prime」計画(国防省DIUと米海兵隊も協力&出資)では、施設不十分な分散基地や被害を受けた施設での移動に使用したり、作戦準備や初期段階の物資人員輸送や、その静粛性で偵察任務も期待されている模様です。
そのほか、その静粛性から、従来型ヘリでは危険な特殊部隊員の侵入・帰還輸送や敵領域での救難救助のほか、Edward空軍基地周辺の試験場や演習場での人員移動用など、66項目の任務がアイディアとして米空軍プロジェクトチーム内では検討されているとのことです
なお、同機は上昇高度11000フィート、速度時速200マイル以上、行動半径100マイルの性能を持つとJoby Aviation社は説明しています
2024年初には2機目が納入されるJoby Aviation社の機体は、今後同社とNASAも空軍と協力して試験を行う計画で、NASAのテストパイロットは「各協力機関は異なった任務使用を念頭に異なった視点で同機を吟味していくが、重なる部分も多く、効率的に協力して試験を進める」と語っています
この他に米空軍は、4月にArcher Aviation社と別の6機の電動ヘリ購入契約を結んでおり、また9月にはBETA Technologies社と同社製電動ヘリ購入契約のほか、1時間以内での機体フル充電が可能な同社製急速充電設備の工事をフロリダ州Duke Field基地で開始しています
電動ヘリ各種の空軍内試験を担当する第412試験航空団の司令官は、「航空世界の電動化は、疑いなく大きなエネルギー変革の一部分である。誇りをもって人類の将来のために試験に臨みたい」と語っています
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昨年時点では、米空軍の担当部署は、「まず空軍内の皆に電動ヘリを見てもらって、その特徴を肌で感じてもらうことが重要」と語っていましたが、今の米空軍内の雰囲気はどうなんでしょうか?
2020年初にトヨタ自動車が同じJoby Aviation社に約600億円の投資を明らかにし、当時の豊田章男社長は「トヨタは、自動車事業に加え、今回、Jobyという力強いパートナーとともに、新たに“空”のモビリティ事業にチャレンジします」と言い切っており、
都市部の渋滞や環境負荷の低減、また過疎地域の輸送手段の確保など、様々な交通課題の解決に向け、電動ヘリ(eVTOL)の移動手段としての可能性追求に大きく踏み出しています
電動ヘリ導入検討「Agility Prime」計画の状況
「米空軍が電動ヘリeVTOL導入検討に始動」→https://holylandtokyo.com/2022/06/29/3370/
「電動ヘリeVTOLでACE構想推進へ」→https://holylandtokyo.com/2021/04/13/105/
米空軍の救難救助体制の再検討
「対中国救難救助検討は引き続き迷走中」→https://holylandtokyo.com/2023/05/23/4592/
「今ごろ大問題」→https://holylandtokyo.com/2022/07/15/3463/
「米空軍トップが語る」→https://holylandtokyo.com/2022/09/08/3614/