米空軍が次世代巨大貫通弾の開発&試作2年契約

イラン核施設攻撃に14発使用されたGBU-57の後継開発
ARAとの新興企業で、GBU-57開発のボーイングは支援提携
3万ポンド弾GBU-57より軽量の2.2万ポンド以下弾を要求
約10個の小型版と3~5個の実物大弾頭を納入へ

9月8日付Defense-Newsは、6月にイランの核施設攻撃に使用された巨大貫通弾GBU-57(MOP:Massive Ordnance Penetrator)の次世代後継爆弾の開発試作のため、米空軍がARA社(Applied Research Associates)と2年契約を締結(契約金額は非公開)し、GBU-57を製造したボーイングはARA社と業務提携を結んで尾部キット開発等を通じて支援に回ると報じています。

この巨大貫通弾は、地下の実験室、トンネル、軍事施設、敵の重要要員の保護シェルターなど、強固な施設で守られていたり、地中深くに構築されて通常の爆弾や貫通弾では破壊が困難な目標を損傷または破壊するための重要な武器で、6月のB-2爆撃機7機を投入したイラン核施設攻撃作戦「Operation Midnight Hammer」では、初代巨大貫通弾のGBU-57が計14発投入されました

元祖巨大貫通弾のGBU-57は、2004年頃から開発議論が始まり、シミュレーションに精通した多数の博士が、米国内スパコンを秘密裏に大量使用して開発を行い、並行して2006年頃からイランが計画を開始した同施設を、2名の専従チームで分析を続けた成果を踏まえ、攻撃直前まで改良と試験を繰り返してきた「執念の兵器」と言われていますが、

ARA社は、この経験を持つGBU-57製造のボーイングと提携し、新爆弾の尾部キットの設計開発を任せつつ、システム全体の統合や試験要領等についてボーイングから支援を受け、2年間の契約期間の中で、新しい巨大bunker-buster弾の試作版を製造後、試作貫通弾の小型版約10発と実物大の完成品3-5発を製造して試験用に納入することを求められている模様です

また、2024年2月に次世代巨大貫通弾開発に関するRFIを出し、関連企業に情報提供を要請した際、GBU-57の重量が約3万ポンド(約1.3トン)であるのに対し、新貫通弾は2万2000ポンド(約1トン)以下を目指していることが明らかにされ、更に敵のGPS妨害を受けた環境でも使用可能なこと等が求められていると報じられています。
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重量が約3万ポンド(約1.3トン)から2万2000ポンド(約1トン)以下に抑えられているのは、次期ステルス爆撃機B-21の機体サイズに合わせたものでしょうが、どのような「新技術」が投入され、「Operation Midnight Hammer」の教訓がどのように反映されるのかが気になるところです。

公開される情報はほとんど無いでしょうが、ちまちまとフォローしていきたいと思います。

米軍による3つのイラン核施設攻撃
「攻撃は15年の準備の賜物」→https://holylandtokyo.com/2025/06/30/12041/
「当日の国防長官と統参議長速報会見」→https://holylandtokyo.com/2025/06/23/11980/
「攻撃原潜からトマホークが」→https://holylandtokyo.com/2025/07/01/12008/

3万ポンドGBU-57:MOP開発
「超巨大貫通弾MOP完成か?」→https://holylandtokyo.com/2013/01/25/8947/
「シリア化学兵器に?」→https://holylandtokyo.com/2012/07/28/9153/
「イラン核施設の完全破壊は困難」→https://holylandtokyo.com/2012/03/05/9256/
「巨大貫通弾配備」→https://holylandtokyo.com/2011/11/18/9395/

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