2024年に徴兵期間が4ヶ月から1年に延長も
徴兵対象者の僅か6%しか応じず大半は進学理由に延期
この現状に台湾系米国人?研究者の提言
正直申し上げて、まんぐーすは台湾の徴兵制や台湾の大学制度や社会状況についてよく把握しているわけではありませんので、Patrick Ko氏の提言が、包括的な問題認識の上で考察されているのか、どの程度台湾軍や台湾社会の現状を把握して行われているのかについて全く判断できませんし、Patrick Ko氏の英語提言の理解度も怪しいところですが、現代の西側先進国である台湾の若者が、世界中から「国家の危機」と見なされる状況下にあって、どのように反応しているかを見る材料としてご紹介しておきます
投稿が描写する徴兵期間延長後の現状
●2024年、1年間の兵役義務を負う徴兵対象者のうち、実際に入隊したのはわずか6%で、大半は大学進学のために兵役を延期することを選択。集まった徴兵兵士が少なかったため、台湾軍が計画していた徴兵兵士へのドローン、携帯型地対空ミサイル(スティンガー)、対戦車ロケット弾の訓練は延期された
●台湾国防部は徴兵対象者への訓練が遅れていることを認めているが、徴兵対象者が自らを自虐的に「砲弾の餌食」と呼ぶ現状は看過できず、改革が必要
●国家的な危機が叫ばれる中、台湾軍の兵員数は、2022年の16万5000人から2024年には15万3000人に減少しており、早急な対応が必要
Patrick Ko氏の改革提言概要
●徴兵者へ扱いや訓練内容に不満の声が高い現状の背景には、徴兵兵士を担当する適切な人員不足と教官不足がある。人員と教官不足は、退役軍人を教官として雇用するか、徴兵最終段階の徴兵者が新兵に基礎訓練スキルを指導する道を設けることで解決できる可能性がある。
●台湾軍の高い自殺率が軍への国民の信頼感に悪影響している。圧倒的な業務量と人員不足からくる兵士への負担増が心理的影響を与えていると報道されているが、兵士数に対して「心理カウンセラー」が圧倒的に不足しており、兵士2318人に対し僅か1人である現状を改善すべき。また台湾軍は本問題について、民主主義の同盟国等からヒントを得るべき
●米国ROTC制度やスイスの徴兵制度を参考にして、大学進学者が卒業後軍人になるルートを整備すべき。
・大学在学中に大学専攻科目以外に軍事訓練や教育を受ける代わりに、奨学金や手当の支給を受け、卒業後は5年間の兵役義務を負うのが現行の台湾制度だが、まず米国に比して対象大学が少ない。
・またROTC後に士官として入隊した者には、台湾国防部は引き続き奨学金と学費援助を提供するインセンティブを検討すべき
・台湾は1年間の徴兵の代替として、米国式ROTCモデルを採用した台湾国内の大学教育を受け続ける方式を採用すべき。学生は定期的な体力トレーニング、夏季訓練、野外訓練演習に加え、倫理、戦術、リーダーシップ、軍事科学に関する週1回の授業に出席することとし、卒業後は、一定期間の軍務に就くか、予備役に入隊することを前提として
・海外大学を希望する学生にはオンラインやデジタル教育を準備し、国内のROTCルートに類似したオンライン軍事教育参加の方式を導入する。オンライン学習を補完し、体力面の強化を図るため、学期休暇中に集中的な訓練受講を義務付ける。この制度の卒業生には現役軍に入隊するか、予備役プログラムに参加するかを選択させる。
●予備役への定期訓練
・予備役の訓練強化も重要。台湾と同様に、スイス軍も主に徴兵によって構成され、兵役後すぐに予備役に加わるが、スイス予備役は定期的な訓練への参加が義務付けられている。台湾の軍人は現在、166万人という大規模な予備役に対し、スイスに類似した定期的訓練を考える必要がある。
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冒頭で「言い訳」させていただいたように、まんぐーすが台湾の現行制度をよく把握できておらず、Patrick Ko氏の改革提言内容への理解も不十分(記事だけでは理解困難)な点を改めて強調させていただきます。
それでも、現代の西側先進国である台湾のような国が、平和に慣れた状況から、国民や若者の意識を変えるのは大変なことだということをお知らせしたく、ご紹介しました。
また久々に、古い記事が多いですが、様々な理由で徴兵制を導入している国を紹介した過去記事を掲載いたします
台湾軍の根深い問題と改革
「台湾が徴兵を4か月から再び1年間に」→https://holylandtokyo.com/2023/01/04/4103/
「台湾が統合強化と権限分散の軍改革へ」→https://holylandtokyo.com/2021/05/26/1705/
「台湾軍の対中国体制に危機感」→https://holylandtokyo.com/2021/03/08/155/
世界の背景多様な徴兵制
●ロシア脅威に対抗
「ルーマニア・チェコ・リトアニア復活へ」→https://holylandtokyo.com/2015/07/06/7963/
「スウェーデンも復活決定」→https://holylandtokyo.com/2017/03/05/7359/
●脅威対処と国民意識醸成
「イスラエル女性兵士」→https://holylandtokyo.com/2012/12/31/8998/
●若者の社会教育?とイラン対処?
「UAEが徴兵制導入」→ https://holylandtokyo.com/2014/01/24/8568/
●究極の男女平等を追求
「ノルウェーは女性徴兵へ」→https://holylandtokyo.com/2013/06/17/8784/
●国民意識と社会福祉への人員確保
「オーストリア徴兵制維持へ」→https://holylandtokyo.com/2013/01/23/8945/

