三沢の米空軍戦闘機も当面ローテーション派遣で穴埋め

F-16退役開始で2026年受入開始予定のF-35態勢が整うまで
三沢F-35部隊の態勢整備計画が不透明な中で

5月12日付米空軍協会web記事は、米空軍三沢基地配備のF-16戦闘機36機の退役開始に伴い、後継機に決定している48機のF-35戦闘機部隊態勢が整うまでの間の過渡期を、嘉手納基地で実施しているような米空軍戦闘機のローテーション派遣で戦力補完するとの、米太平洋空軍発表を紹介しています

ただし米太平洋空軍報道官は、「この機種交代transitionは、ローテーション派遣で行われます(戦力補完されます)」、「このローテーション派遣で、日本防衛や開かれて自由なインド太平洋地域を維持するという任務を確実に継続することができます」と米メディアに述べるのみで、細部は何も明らかにしていません。

米国防省は2024年7月3日に、在日米軍の戦闘機態勢変更方針を発表し、「48機の嘉手納F-15Cを36機のF-15EXへ」、「36機の三沢 F-16を48機のF-35Aへ」、「岩国海兵隊 F-35B の機数を調整(Modify)」すると明らかにしましたが、移行スケジュールについては「over the next several years」でと曖昧な表現にとどめており、嘉手納後継機F-15EXの初号機が2026年3~6月に到着すると現地指揮官が言及する程度にしかわかりません。

前述のとおり、米空軍三沢基地配備F-16の後継機はF-35ですが、後継F-35の三沢到着は「2026年春以降に開始:won’t start receiving fifth-generation F-35s until spring 2026」としか報じられておらず、後継F-35部隊の態勢完了時期ももちろん不明状態です。また退役するF-16の行先や時期も一切言及されていない状況です。

「ローテーション派遣による機種移行間の戦力補完」を受けている先輩の嘉手納基地では、2022年10月にローテーション派遣戦力受け入れ開始以降、米空軍の正規軍と州空軍の「F-15Es, F-16s, F-35s, and F-22s」が「派遣機数は非公開」ながら、交代で嘉手納に派遣されており、正規軍は約6か月交代、州空軍は海外派遣期間の制限により正規軍より短い派遣期間でローテーションが現在も続いています。

米空軍三沢基地でのF-35飛行隊が運用体制を確立すれば、英空軍RAF Lakenheath基地の米空軍F-35飛行隊に続く、世界で2番目の米空軍海外F-35飛行隊となりますが、先輩の英空軍基地での米空軍F-35部隊は、2022年末頃から23年前半までには2個飛行隊52機態勢が確立する当初計画にも関わらず、

3年後の現在でも配備機数非公開の1個飛行隊(495th Fighter Squadron)のみが態勢確立を宣言し、もう一つの「493th飛行隊」は今夏までにはなんとか・・と「ソバ屋の出前」状態に陥っており、F-35取得機数が当初計画からどんどん乖離して年々抑制傾向にある中、三沢F-35部隊の将来は「全く見えない」現状と申し上げてよいと思います。

なお同記事は、三沢から離れるF-16の将来について、「これら戦闘機は、航空電子機器や電子戦やレーダーシステムの近代化改修を伴う耐用年数延長対象となり2040年代まで運用継続する可能性もあるが、州空軍への移管や破棄処分の可能性もある。国防省は最近、退役F-16を部品提供用にウクライナに移管し始めており、その対象となる可能性もある」と言及しています
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記事全体の雰囲気から察していただけるように、また「まんぐーす」が繰り返し以下の過去記事等でご紹介しているように、対中国有事に米空軍は第一列島線上の日本の滑走路にほとんど期待をしていません。

また米空軍戦闘機パイロットさえも、無人機による攻撃に日常的に直面しているウクライナや、米空軍と同等以上の最新戦闘機F-35を保有するイスラエルの状況(フーシ派の安物ドローンやミサイル攻撃受けまくり状態)を見て、戦闘機による「航空優勢」とか「制空」の概念が、如何に空虚で空しいものかを感じ始めており、安価なドローン撃墜訓練に取り組む米空軍戦闘機部隊を見て、「税金泥棒」と国民から非難される日が近いことを認識していることでしょう。

Stimson Center による当然の帰結レポート
「日本やグアムの滑走路には期待できず」→https://holylandtokyo.com/2025/01/06/10547/

米空軍関係者の本音は、
「幹部の発言:嘉手納には期待なし」→https://halylandtokyo.com/2024/05/22/5868/
「F-15EX部隊完成は 2026年?」→https://holylandtokyo.com/2024/09/18/6281/

最近の嘉手納へのローテ派遣状況
「F-15Cラストフライト」→https://holylandtokyo.com/2025/04/23/11203/
「追加でF-35とF-15E到着」→https://holylandtokyo.com/2025/04/15/11255/
「バーモント州空軍F-35展開」→https://holylandtokyo.com/2025/01/31/10619/
「嘉手納にF-15EXを」→https://holylandtokyo.com/2024/07/05/6097/

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