静止軌道上の物体監視へDARCレーダー初号機完成

米英豪3か国のAUKUSプロジェクト第2弾
西豪州の岬の先端の港町Exmouthの郊外に
Deep-Space Advanced Radar Capability (DARC)

2月21日付米空軍協会web記事が、2023年12月に米英豪の3か国国防相がAUKUS枠組みでのプロジェクト第2弾として、細部非公開の「人工知能AI」や「量子コンピュータ」や「ドメイン認識技術」と併せて合意した、静止軌道 (GEO) 上の各種衛星やデブリを観測する地上観測レーダー網(DARC:Deep-Space Advanced Radar Capability)の初号機レーダーが、豪州西岸の港町Exmouth郊外に完成し、2027年稼働開始に向け試験を開始していると取り上げています

DARCは、豪州西部の初号機に続き、当初は2029年末までに英国と米国にも各1個建設(Northrop Grummanが担当)される計画でスタートし、大量の衛星やデブリが地球周回軌道に漂う現代の宇宙環境を想定していない「冷戦時代の弾道ミサイル追尾用レーダーや10年以上前に設置された光学望遠鏡など」の観測追尾能力を抜本的に改善するため、最新技術を使用したレーダーを米英豪の3か所に分散配置し、地球から 22,000 マイル上空までの静止軌道上の物体をくまなく継続監視可能とし、

かつ、既存の地上レーダーや光学望遠鏡、宇宙配備の監視衛星からの情報と融合処理することで、静止軌道上にある衛星やデブリの状態やその変化を、より正確に精密に迅速に観測することを目指すシステムとのことで、宇宙ドメインでの作戦や戦略上の課題になる、「いつ、どこで、誰が、何を」したのかが不明な状態を減らすことを狙うAUKUS枠組みでのプロジェクトです。

なお、豪州の初号機建設は予定より3か月早く終了し、2024年9月に送信テストが開始され、現在も試験が進行中で、施設のフル稼働は2027年になる見込とのことで、関係者は、静止軌道上で活動する500 基以上の衛星を24 時間全天候下で継続監視し、宇宙ゴミや衛星運用を阻害する敵対行為の検出も重要視しているとのことです

第2号機は英国ウェールズの旧軍事基地であるCawdor Barracksで2030年2月に完成予定で、現在は建設許可を得るための環境アセスメント承認に向け調整が行われており、3号機は2032 年までに米国本土のどこかに設置するための環境と空域評価実施中で、DARCはこの2032年に完全稼働体制を確立予定です。

米宇宙軍は本記事に対し、「DARC により、米国とその同盟国等は宇宙物体の動きを効果的に把握でき、デブリ発生イベントのリスクを軽減できるようになる」、「宇宙領域認識の向上により、必要に応じて宇宙領域における無責任な行為者による悪意ある活動を特定する能力も強化される」とコメントを寄せています
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初号機と2号機の配置からすると、米本土の第3号機は米西海岸設置が予想されますが、情報がほとんどないAUKAS枠組み第2弾の「人工知能AI」や「量子コンピュータ」や「ドメイン認識技術」と共に、今後も少しづつフォローしていきたいと思います。気力が続けば・・・

AUKUS第2弾で2023年12月合意の深宇宙監視計画
「3か国宇宙監視レーダーDARC設置へ」→https://holylandtokyo.com/2023/12/11/5338/

AUKUSとの関連も感じる記事
「3か国空軍でE-7の能力強化」→https://holylandtokyo.com/2023/07/21/4871/
「豪がB-21爆撃機購入も一時検討」→https://holylandtokyo.com/2023/05/15/4588/
「量子技術の軍事への応用」→https://holylandtokyo.com/2022/01/14/2577/
「AUKUS 締結発表」→https://holylandtokyo.com/2021/09/20/2255/

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