2月2日にH3ロケット5号機で打ち上げ
「みちびき」6号機に米宇宙軍のQZSS Hosted Payload組み込み
「みちびき」7号機にも米軍装備搭載を合意済
測位衛星「みちびき」6号機は、7台の衛星で構成する日本独自の衛星測位システムを構成する重要な衛星で、またH3ロケット4回連続打上げ成功との側面でも、日本にとってうれしい成功ミッションだったわけですが、米宇宙軍の宇宙状況監視センサー(QZSS Hosted Payload)を、日本の衛星に搭載して打ち上げる2020年日米合意の約束を果たした初ミッションとしても、歴史に大きな一歩を刻んだ打ち上げ成功でもありました。
米宇宙軍が搭載したセンサーは、スペースデブリ(宇宙ごみ)等の宇宙物体を観測するもので、センサーで得られた情報は米宇宙軍の宇宙監視ネットワークに送られ、日米両国だけでなく、世界の安全保障にとって今重要な、インド太平洋地域の情報を、静止軌道から提供する貴重な役割を果たすことになります。
なお米宇宙軍のセンサーを海外衛星に搭載するのは「みちびき」6号機が3ケース目で、それ以前では2024年8月にノルウェーの2つの衛星に、米軍の北極圏通信用装置を搭載して打ち上げたのが最初だったようで、まだまだ始まったばかりの、「国際協力」枠組みでの宇宙状況監視強化の取り組みです。なお4ケース目は細部非公開ながら2025年後半に予定されており、次の「みちびき」7号機への米軍装備搭載も2020年日米合意済とのことです
まんぐーすは細部コメントできませんが、この日米合意に対し2023年、RAND研究所の専門家等が合意に基づく契約の価値に疑問を呈したようですが、最近の中国の動向や宇宙状況を踏まえ、米宇宙軍は以下3点から契約の必要性を説明したようです。
・低軌道で中国ロケットが分解して破片が飛び散り、地球落下まで監視が必要
・軌道上の中国衛星数が1,000を超え、西太平洋監視用の衛星も急増し多数存在
・静止軌道上の中国衛星には他の衛星を危険にさらす「クレイジーな」動きの衛星も含まれている
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米国防省関係者は、宇宙軍発足後の集中初期投資期間が終了し、2025年度予算では予算総額が減額される時代に入ることを受け、広範地域をカバーする必要がある宇宙軍任務達成には、他国や民間企業との協力は宇宙軍にとって重要不可欠だと繰り返し述べており、あらゆるパートナーシップを今後も活用する道を追求するのでしょう。
米宇宙軍の宇宙状況監視担当の大佐は2日の打ち上げ成功に際し、「ますます競争が激化する宇宙で、米国防省の抑止に対する日本の貢献はインド太平洋軍の作戦にとってこれからも鍵となる」、「我々は宇宙の近代化、データ共有、衛星通信などについて日本と引き続き協力することを楽しみにしている」とのコメントを出しています。
陸海空軍の活動は人の目に触れやすいですが、宇宙での協力は触れる機会がほぼないことから、民意等々の反応を気にせず進めやすい分野です。
米宇宙軍が他国や企業との協力強化模索
「国際&企業協力強化に規格設定を」→https://holylandtokyo.com/2024/05/13/5833/
「AUKUS で宇宙監視レーダー設置」→https://holylandtokyo.com/2023/12/11/5338/
「米宇宙軍が同盟関係強化へ」→https://holylandtokyo.com/2023/10/11/5103/
「空自と宇宙軍が本格協議開始」→https://holylandtokyo.com/2023/07/26/4884/

